対話の場の素地
大騒ぎだった先週から、いったん休日を挟んでの月曜日。
今週はできるだけ対話の時間を取りたいな、と思い動き出した1週間でした。
火曜日、道徳の時間があったので、一つある取り組みを試してみました。
p4c、(philosophy for children) 子どものための哲学、というものです。
私は大学時代、ゼミでお世話になっていた先生からこの手法を教えていただき、大学生同士の実践などを何度か行ってきました。
より深く、より安全に、対話ができることが魅力的で、難しいながらも楽しいと感じられる手法です。
実のところ、私の担任クラスの子どもたちは対話的なやりとりを苦手としているように感じられます。
短絡的に暴力的な言葉を選ぶことも多いし、何かトラブルが起こると、自分たちで解決しようとする前に私に報告だけしてくることも多いです。
そして、私自身も子どもたちと対話的に関われているかというと、自信はありません。目先の指導にばかり焦点を当てているようにも思います。
そんな思いがあり、今週の道徳では、p4cには欠かせない、「コミュニティーボール」を作ることをやってみようと思ったのです。
※コミュニティーボールとは、毛糸で作った大きなボンボン状のものです。対話が始まる前に、参加者全員で自己紹介などをしつつ、少しずつ毛糸を巻き付けて作っていきます。
まず、円座になって座るのですが、その時点でザワザワ…。
女の子たちは静かに座っていましたが、男の子たちはお互いの顔が見えて、すぐ隣に友達がいることのソワソワと楽しさのほうが勝ってしまい、いつまでたっても友達の話を聞く体制にはなりません。
「ボールを持っている人だけが話せる」
というルールも、守ることができませんでした。
結局、毛糸もうまく巻けず、その一時間はなんだかザワザワとした空間を過ごしただけで終わってしまいました。
なかなかの前途多難…。私も心が折れかけました。
p4cはうまくいきませんでしたが、少し希望の光が見えた出来事もありました。
私が、個人的にもっと対話をして心の声を聴きたいと思っていた子どものうちの一人と、放課後に週一のペースで補充の勉強をすることになりました。
普段の態度は、まあまあ反抗的です。わざと声を出して授業を妨害するようなことをすることもあるし、廊下は基本的に走っています(笑)
でも、放課後の静かな時間は私の話に耳を傾けてくれるし、助言も素直に受け止めてくれます。
チャンスかもしれない、と思い、勉強の合間に少しだけ話をしてみることにしました。
話した内容は他愛もないことですが、少しその子の心を見れた気がしました。
補充の時間が終わり、その子は教室を出ていきました。
しばらくして、ちゃんと帰れているかな、と思い教室の窓から昇降口のあたりを眺めていると、彼の姿がありました。
すると、彼はふっと上を見上げ、私に向かって小さく手を振りました。
手を振ってくるなんて、予想外でした。
でもそれだけ、彼も所属意識や愛情を求めているのだと思いました。
対話の場で騒いでいた彼らは、まだ対話の素地が整っていないのかもしれません。
どうしたら素地は育っていくのか、もっともっと考えていかなければなりません。
あっという間に6月に突入しました。
まるで夏みたいな暑さが続きましたが、今日は雨ふりな一日。
梅雨が迫ってきていることを感じさせられます。