Nutmegが解決するタビナカの業界課題とは?【観光DXを根本的に行う姿勢・秘訣】
NutmegLabsでCEOをしている中口です。前回はコロナ禍で苦労しながらPMFを達成した話をしました。
今回はPMFを感じられるようになったNutmegが、タビナカ業界で一体どんな課題を解決しているのかを詳しくご紹介したいと思います。
一般的なサービスEC系のSaaSでは、オンラインの予約・決済だけを提供しているところが多いと思いますが、Nutmegの特徴はそこで留まらないタビナカ全般の課題を解決することです。
このタビナカ全般の課題を解決するには、普通の発想や従来のSaaSの価値だけでは不十分。どういうビジネスをしているのか、何を気にしてサービスを提供しているのかをこの記事で詳しく解説します。
Nutmegに興味を持って頂いた方はもちろん、観光業界に興味がある方、将来を見据えた次世代型のSaaSに興味がある方など、少しでも内容を楽しんでもらえれば嬉しいです!
どんな課題を解決している?
タビナカという市場でグローバルNo1になるためには、単純な課題解決ではこの域に達することはできません。なぜなら既にグローバルで多くの競合がおり、各国のマーケットでSaaSを提供しているからです。
そこでNutmegが着目したのが「観光事業者・観光客」の課題を同時に解決するという観点。今までありそうでなかった分野に先端的に踏み込むことにより、プロダクトの強さを通じてグローバルな展開をしていきます。
具体的にどういった課題を解決しているのか見てきましょう。
SaaSの提供先:観光事業者が対象(B2B)
NutmegはマーケットプレイスのようなB2Cで販売を行うのではなく、観光事業者の直販を支援するための「SaaSサービス」です。Shopifyのように個々の観光事業者に導入することで、彼らの販売活動を通じてサービスを提供しています。
この意味では「B2B」として観光事業者を対象にSaaSを提供しており、その収益源はもちろん観光事業者から料金を収受するビジネスモデルです。
具体的には流通総額に対するテイクレートの課金と、機能単位で提供する月額のサブスクリプションを提供しています。
提供モデル:実は観光客も対象にしている(B2B2C)
通常はB2BのSaaSと聞くとサービスの提供先だけを見ているイメージが強いと思いますが、Nutmeが違うのはその先にいる「観光客」も対象にしていること。
つまり単に観光事業者の業務を効率化するだけではなく、観光事業者の直販を伸ばすために必要なステークホルダーとして観光客も対象にしなくてはならないのです。
この点が他のSaaSとは大きく違い、観光事業者と観光客を「Win-Win」の関係を築くことができるのがNutmegの本質的な課題解決だと考えています。
タビナカを自由にしたい
なぜこういった発想になったのか?普通であればサービス提供先の観光事業者だけ見ていれば済むでしょう。しかし私が過去に経験したB2Cとしてのマーケットプレイスモデルでは、タビナカに潜む本質的な課題を解決することができませんでした。
デジタル化が遅れたタビナカ市場では、シームレスでスムーズに現地体験が楽しめるような「自由な世界」が求められており、単に販売の一翼を担うECサイトでは不十分なのです。
タビナカの本質は「参加の時に楽しさが感じられる」と思っており、一番大切で本質的な部分がデジタル化されていないため、観光事業者にとっての非効率性や観光客にとってのペインが多く潜んでいます。
ではどういったペインが存在しているのでしょうか?次から具体的にご紹介します。
タビナカにはペインがたくさん
タビナカの現地体験へ参加する上では、想像以上に多くのペインポイントが存在しています。これは業界全体のデジタル化が遅れているのも原因ではありますが、よく多くの顧客とのタッチポイントが存在するのも理由の1つ。
どういったタッチポイントで、どのようなペインが存在するのか1つずつ見ていきましょう。
ペイン1:簡単に予約できない
皆さんがご存知のように、航空券・ホテルなどはオンラインで簡単に予約ができるようになっています。オンライン予約比率は50〜70%と比較的高い水準で推移。
一方でタビナカのオンライン予約比率はたったの「24%」(2019年の実績)しかなく、実は予約自体がオンラインでできないケースの方が大部分を占めています。
事業者サイトはあるんだけど電話でしか予約ができず、その肝心の電話も日中は繋がらないなんてことはザラ。更に通常はオンライン予約のピークとなるゴールデンタイム(22時〜25時)は、電話は繋がるはずもありません。
またサイト上では予約フォームが設定されており、送っても2〜3日は回答が返ってこないケースがほとんど。その場で予約をしたい観光客には多くのペインポイントが存在し、同時にそれを処理する観光事業者も夜な夜なメールを処理する日々が続いているのです。
ペイン2:現地の窓口で並んで待つ
では大手の予約サイトやOTAで、仮にオンラインで予約できたとしましょう。次に待っているのが当日の受付時のペインです。
驚くかもしれませんが、オンラインで事前で予約したのに、現地の窓口で当日に来た他の観光客に混じって同じ受付に並ぶ必要があるのです。事前に予約したのに、なぜその場で来た人と同様に並ぶ必要があるのか?そう思われる方も多いはずです。
しかも、出発の間際でまだ受付ができなくて焦ったり、現地で決済した上でわざわざ紙のチケットの引き換えて参加必要があったりします。これではオンラインで予約した意味が全くありません!!!
そしてこの窓口に業務が大変なのは観光事業者も同じです。多くの人員を配置せざる負えず、窓口に並ぶための列を整理する人まで必要な始末。お互いがペインを感じる悲しい状況が生まれています。
ペイン3:参加中に得る情報が不透明・非効率
なんかとかして受付をし、無事に体験に参加できたと思ったらそこで終わりません。受付時によく分からない書類を配られ内容が分からないまま署名を求められたり、今の時代に似つかわしくない紙のパンフレットやクーポンが配られます。
スマホを基礎として観光をする時代に、逆に原始的な行動が求められているのです。わざわざ当日になって変な書類を配れる必要もありませんし、ほぼ見られないパンフレットやクーポンは紙の無駄でしかありません。
もちろんそういった書類・パンフレットをしっくり見る人はいますが、紙面という限られた情報の中でどれだけ観光が楽しくなるのでしょうか?また、紙だけではどのくらいの人が実際に見たのか、どのくらい観光に貢献したのか計測することがかなり難しい状況です。
観光客は余計な作業を求められるペインがあり、一方で観光事業者は毎年多大なコストをかけて紙の管理をしているのが現状です。このような非効率が発生しつつ、タビナカの醍醐味でもある体験の本質的な楽しみが阻害されているのです。
ペインを総合的に解決するのがNutmeg
タビナカには多くのペインが存在するのが理解いただけたと思いますが、それぞれ1つずつ解決するとどうなるでしょうか?
観光客・観光事業者ともそれぞれのペインに対応したデジタル化をするため、余計に面倒臭くなる自体が生まれているのが現状です。それぞれ別のツールを導入したり、複数のアプリを使ったりなどです。
そこでNutmegとしては、様々なペインを総合的に解決するオールインワン型のサービスを提供することにしました。なぜオールインワンなのか?その価値をご紹介したいと思います。
予約・決済では終わらない!タビナカは参加してからが本番
タビナカにおける本質的な価値は、現地で体験する楽しさ・目新しさ・非日常的な感覚です。つまりタビナカの商品は「参加してからが本番」だと言えます。
この点で考えると、事前の予約・決済というのはあくまで1つの行為に過ぎず、予約という部分だけデジタル化したとしても本質的なペインを解決することができません。
Nutmegではオンライン予約・決済はできてあたり前、その上でタビナカをストレスなく楽しむためにどこまで踏み込めるかという部分に重点を置いています。
ワンストップで解決できるサービスが求められている
他の業界でも起きていることではありますが、各ペインポイントに対応するとなるとペインに応じた様々なツールを使いこなす必要があります。皆さんはIT系の会社に務められていて、幾つものツール(SaaS)を使いこなすのが当たり前かもしれません。
一方でタビナカで現地体験を提供する観光事業者は、多くの時間を観光客に対するサービス提供(接客・ガイド・カスタマーサポート)に使っています。朝から晩まで働き、それ以外の時間で他のことを行う必要があるのです。
つまり観光事業者の観点でいえば、IT会社のような様々なツールを状況に応じて使い分けるような余裕がありません。そのため目指すべきは1つのツールで必要なものを簡単に完結できる「ワンストップ」のサービスが求められています。
オールインワン型でまとめて解消
ここに着目したのがNutmegです。重要な業務フローや解決したいペインポイントに対してのツールが全て入った「オールインワン型」でサービスを提供しようと決めました。
観光事業者が必要なものが1つにまとめられており、かつ簡単に使えることで実際に利用する観光客にもインパクトを与えることができます。この意味では従来業界にあった単なる予約・決済サービス(グローバル含む)とは一線を画しており、Nutmegのユニークなバリューになります。
2023年の2月時点で他の業界(レストラン・ホテル)で起きているような「オールインワン型のSaaS」が伸びているのは、こういった点があるからだと思っています。Nutmegも観光業界としては少し先の時代を見据えた、次世代のサービスを提供することでバリューを発揮したいと考えています。
具体的に課題を解決している例
それでは具体的にどんな解決をどうやって解決しているのかの解説をさせて下さい。この部分を見ることで、よりイメージが付くはずです。
ペインごとにケースを分けてご紹介しますので、少しでも参考になれば嬉しいです!
ケース1:24時間365日で予約受付・事前決済
まずは大前提として解決しているのが、オンライン予約・決済といいう部分。この時代にそんなことあるの?と思われるかもしれませんが、実はネットで完結できるケースのが方が少ないのが業界の現状です。
観光客にとってのメリットはもちろん大きいです!好きな時に申し込めて支払いを完了させ、予約後には完了のメールが自動で流れてきます。面倒臭い電話もする必要はありませんし、繋がらないなんて事態もない。現代の世の中で溢れているスタンダートな顧客体験を享受できます。
これが観光事業者から見ると結構な新鮮な目線があり、電話に出なくて良い・問い合わせの返信をしなくて良い・必要な案内を都度しなくて良いという業務効率化が行えます。しかも、24時間365日受け付けられるので、営業していない日や休業日に対応をしなくて良くなるという、ある意味革命的なベネフィットが発生するのです。
現代では当たり前のように感じるオンライン予約・決済について、しっかりと推進してWin-Winの関係を作っていきたいと思います。
ケース2:Eチケットで行列要らず・紙要らず
続いて対応するペインは、わざわざ窓口に並んで受付したり紙のチケットに引き換えるという部分です。少し前までは当たり前の行為でしたが、現代ではチケットレス・カウンターレスが進んでおり、急速に需要が高まっています。Nutmegではスマホだけで使えるEチケット機能を提供することで、この課題を解決。
当たり前ですが、観光客はわざわざ指定の受付場所の指定時間に立ち寄る必要がなくなるため、余裕を持って現地体験に参加することができます。しかも余計な行列に並んで紙のチケットに引き換える手間がなく、ストレスなしで参加することが可能です。
観光事業者にとっても利点は同じです。立ち寄る人数が減る分受付窓口の人数を減らすことができ、発券の手間がなくなる分紙のコスト削減も可能です。しかも発券に関する設備投資を減らすことができ、経営の観点ではまさに革命と言える状況が生まれています。
ケース3:オンラインガイドで楽しい観光をサポート
最後の解決しているペインは、今まで紙で配っていたパンフレット・クーポン・スタンプラリーなどを全てデジタル化するというサービスです。
観光客の視点から言えば、配られてパンフレットを隅々まで見て楽しんだりしますか?また、本当に知りたい情報はパンフレットに入っていますか?結局スマホで検索したり、SNSを見て判断しているはずです。これに対応したのがオンラインガイドで、参加中に必要な情報がそこに詰まっているという新しいサービスの提供を開始しました。
観光客はスマホ上で表示されるGoogle mapを見ながら観光情報を見たり、レストランのメニューを見たり、人気のお土産を簡単に確認。行きたいお店ではクーポンを使えたり、観光スポットでスタンプを集めて景品等に交換が行えます。いわば、これ1つで現地体験がより楽しくなるための仕組みです。しかもアプリのダウンロードなしで、手軽にすぐに使えるのが特徴。
観光事業者の観点からは、先ほどのチケットと同様です。余計な紙のコストが削減できるだけではなく、どんなコンテンツが見られているかデータを取ることができ、マーケティングに活用することができます。
まさに観光客と観光事業者がWin-Winの関係になり、持続的な観光コンテンツの企画や発展を支える礎になるサービスだと考えています。
まとめ
Nutmegが解決しているタビナカの課題や、その背景にあるペインの詳細をご紹介してきました。ご覧頂いた通り、マーケットプレイスや予約・決済だけを提供するSaaSでは解決できない課題が点在しているのです。
この点で言うと、タビナカ業界に特化したオールインワン型で業界特化のSaaSを提供しているNutmegのユニークなバリューであり、グローバルで戦っていくための強いプロダクト作りが活きている部分です。
現地体験をもっと楽しく・もっと豊かに・もっと身近にするために、タビナカを自由にするようなサービスを更に作っていくつもりです。では将来的にNutmegはどんな世界を目指しているのか?
次の記事では、私やNutmegが近い将来目指している理想の姿を詳しく解説予定です。楽しみにお待ちいただければと思います。
もしNutmegのストーリーに共感いただいた方や、私に興味を持って頂いた方は、是非一度お話しできればと思いますで下記よりお問い合わせください。