ボカロリスナーが羨ましい
この記事はobscure.さんが企画されたボカロリスナー presents Advent Calendar 2021に参加した記事となります。良ければ他の方の記事もあわせてお読みください。
はじめましての方ははじめまして。VRChatでモデリングをしたりワールドを作ったり、音楽イベントを楽しむリスナーをしていたり音楽系の記事を書いていたりするnusaと申します。
昨年はmemexさんが企画されたVR音楽活動のススメ Advent Calendar 2020に参加したのですが、今年はVR音楽系のアドベントカレンダーが無かったため、ボカロリスナーアドベントカレンダーに殴り込みに来ました。とはいえ、私もボカロリスナー出身のVR音楽リスナーであるため、VR音楽リスナーとボカロリスナーの屍が転がる焼け野原にしようという話ではないです。
ボカロリスナーが羨ましい、
あわよくばVR音楽リスナーになってほしい、
そんな話です。
もちろん、VR/VTuberとボカロを同列に考えてはいけないという意見もあるでしょうが、それでもVR/VTuberのベースにはボーカロイドが築いた文化があると思っています。私は普段VRChatと呼ばれるVRプラットホームで過ごしていますが、ボカロPやUTAUP、MMDerやVOCALOIDの中の人など、ボーカロイド関係者(広義)をよく見かけます。VRを題材にしたボカロ曲もあるし、VTuberに曲を書き下ろしてるボカロPもいるし、VTuberになったボカロPなどもいます。ボカロDJや御丹宮くるみさんなどのVRボカロリスナーもいます。私もVRボカロリスナーの一人ではありますが…
VR/VTuberにいる音楽関係者は何もボカロに限った話ではなく、ボカロとは関係なく音楽系VRユーザー/VTuberとして活動している方も多くいます。私が最近noteでよく紹介しているVRC音楽勢や音楽系VTuberがまさにそれです。ボカロPと同様にVRC音楽勢の中にも、バンドを組んだりする演奏勢やDTM勢など、様々なジャンルがあります。だけど、ボカロにあってVR/VTuberの音楽文化にないものが何個かあります。それが、「ニコニコ動画」と「リスナー文化」だと思ってます。
このnoteをご覧の皆さんで「ニコニコ動画」を知らない方はいないでしょう。そして、ボカロリスナーアドベントカレンダーを読んでいるということはあなたもボカロリスナーなのでしょう。
いいなぁ。ジャンル分けがなされてて、タグで検索がしやすくて、一枚絵の曲でもコメントで華やかになって、同じ曲が好きな人を見つけやすくて。
もちろん、VR音楽の歴史が浅いというのもあるでしょうが、それ以上に「ニコニコ動画」の存在ってすごく羨ましいんですよ。タグや曲名での検索がしやすくて、動画コメントで画面を華やかにすることができて、定期的にお祭りみたいなのがあって、裏に隠れてる闇もあるけど、何よりも楽しい動画投稿プラットフォームだと思います。
私が初めてVTuberを知ったのはニコニコ動画、そのVTuberもバーチャルニコ生主としてVTuberの初期からニコニコ生放送メインで活動していたし、私が音楽系VTuberを知るきっかけになったのもニコニコ動画です。だけど、時代が変わってバーチャルニコ生主だった推しもYouTubeでの配信活動をメインにするようになり、音楽系VTuberは増えたけどニコニコ動画への曲投稿は減りました。
また、ニコニコは消費者であるリスナーにも居場所を与えてくれていたように感じます。もちろん、YouTubeでも動画にコメントを残すことはできるし、リアルタイムならプレミア公開で他のリスナーを見かけることもできます。YouTube生放送でのゲーム実況やセッション配信、雑談配信などでも他のリスナーを見かけることはできます。だけど、コメントで画面をにぎやかにすることはできません。視聴者がコメントで画面をにぎやかにすることで、視聴者もクリエイターの一人だと思える、そのニコニコ感がやっぱり羨ましいのです。ニコニコが開発したVRプラットフォームの「VirtualCast」も配信向けとして開発されただけのことはあって、ちゃんとコメントがVR空間に降り注ぐような設定ができて、リスナーのコメントが画面を華やかにできることに変わりはないようになっています。そういえば最近はニコニコ動画でもプレミア公開が実装されたそうで、YouTubeのいいところを取り込んでいるニコニコ動画も良いなぁと思います。
そんなクリエイターにもリスナーにも優しいニコニコ動画みたいな動画投稿プラットフォームがVR/VTuberにもあったらな…というのを時々思います。
だけど、そんなVR/VTuberももちろん悪いことばかりじゃありません。だってまだ5年も経ってない世界、ボカロで言うなら、カゲロウプロジェクトが始まって、初期から追ってきた人たちがその盛り上がりに辟易して少し離脱し始めるも、リスナー人口が激増した時代だというくらいの感じです。バーチャルYouTuberは今や世界にも広がりを見せ、あの時初音ミクがたどったのと同じ、いや、ひょっとしたらそれ以上の拡散力・影響力・知名度を得ているのかもしれません。そこで思い出すのがちょうど10年前にGoogleのCMで流れたTell your world、コンセプトは
初音ミク, Virtual Singer
Everyone, Creator
今までの初音ミクにかかわったすべての人がクリエイター、そう伝えてくれていました。開発者、ボカロP、演奏者、歌い手、イラストレーター、ダンサー、映像クリエイター、MMDer、リスナー、ただのファン、その他初音ミクに関わったすべての人をクリエイターだと表現していました。私は初音ミクの最初の5年に関われた人が羨ましい、関われなかったことが悔しいと感じました。私がVR/VTuberに積極的にかかわろうとしているのはその時の悔しさの反動でもあるのかもしれません。
今や世界最大のメタバースであるVRChatの運営はSDK(Software Development Kit:ソフト開発キット)を配布し、多くのユーザーを開発者・クリエイターだとして、投げ銭機能まで実装してくれました。ClusterでもGame jamなど、クリエイターの開発意欲を促進させる企画を出しており、NeosVRに至っては現実世界の金銭と紐づいた仮想通貨のやり取りまで行われています。絵や3Dモデル、ゲーム制作を行うVTuberも増えてきており、その中で言えば私もきっと開発者であり、Creatorと言えるのでしょう。
まだここはEveryone, Creatorの世界、その気があれば誰だってCreatorになれます。
私はクラシック出身ボカロ育ちVR音楽リスナー、クラシックの作曲者はとっくの昔に死んでるし、ボカロの最初の5年には立ち会えなかった。創作活動をやろうとして手に取ったのはデジタルデータと相性の悪い折り紙で、まともなクリエイター活動もできなかった。ボカロへの僻みと創作活動への執着と、そんな厄介なクソ感情でVR音楽のリスナーをして、そんな傍らでクリエイターとしてたまに3Dモデルやワールドを作っています。あとVR音楽イベントのスタッフもしています。もし、あなたも何かを作り出したいと思ったなら、一緒にVR音楽の文化を作ってほしいです。VR音楽リスナーなんて全然いないし、推しのアーティストの新曲について歴史と文脈と考察を朝まで語り明かしたい。無理してYouTubeでVR音楽を聴けとはいいません、興味を持ったなら、私の過去のnote記事でも何曲かおすすめを紹介しているので、聞いてみてください。
そうですね、まずは一曲、私が約3年前に初めてVR音楽勢を知った曲です。
ボカロリスナーアドベントカレンダーとして正しいかはわかりませんが、私がボカロリスナーとして、VR音楽リスナーとして、好き勝手に書かせてもらいました。内容が少しずれてるし、ボーカロイドの話をそこまでしていないので、第2会場で正解だったかもしれん…。