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Culture

この記事は筆者が企画した #VRC音楽のセカイアドカレ の25日目の記事です。

2024年のVR音楽界隈を振り返ってみて、私が思ったことは「文化」でした。

「文化」とは

文化、英語でいうCultureについて、語源を調べてみるとラテン語で耕すという意味の「colere」という単語になるらしい。英語のagricultureなど、確かに農作物に関わる単語があり、そもそも英語のCultureには栽培するという動詞としての活用もあった。

他に、文化の概念がWikipediaで紹介されていたので紹介する。

文化の概念は、通常、人間集団内で伝播されるものに対してのみ用いられるので、個人がただ発明しただけの状態では適用されることはない。また、地域や集団、時代によって文化様式は大きく異なることがある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96

集団内で共有され、多様性があることというのが文化らしいようだった。

さて、ここからはVR音楽の歴史の話をする。

VRChat音楽の歴史

歴史、と言っても私が把握している部分だけ、私個人の認識としてあるものの概要だけをかいつまんで書き記す。もっとも、これの前にもVRChat音楽の話はあり、ここに書ききれない、あるいは認識していないものもあるので、これだけが正史というわけではない。

2019年

2019年1月1日のmemex結成、Cloud IdentifierのMV(VRChat一発録り)投稿が紀元だと思っている。もちろんそれより前にもたくさん音楽活動があったとしても、VRChatのアーティストがYouTubeの表舞台で音楽をやりだした、そう捉えられるのはここからだと思う。2019年にはアルテマ音楽祭や盛夏音祭2019、深秋音祭2019といったフェスイベントが開催され始めたというのもあるかもしれない。そして何より、TopazchatがBoothで公開されたのが2019年だ。今やVRChatのインフラとなっているTopazchatができた。AMOKAやJOHNNY HENRYの結成もこの年だ。
私は2019年の2月にVRChatを始めているが、音楽界隈に関わるのは翌年からなのでこの辺りは伝聞だ。

2020年

2020年、コロナ禍になってVRに来る人が増えた年、その流れで言えばおとあそびえんとのKu_AmbientflowさんはリアルイベントからVRにやってきた方だった。リモートでVRとリアルをつなげるイベントの企画などもされており、コロナ禍という時代を感じる。イベントとしては以下の記事を参考にされたい。

MusicVket1やVirtual to Vocaloidなど、VR上での同人即売会イベントがあったのも2020年だし、盛夏音祭2020も開催された。V-kitazawa AWAKEがVRライブハウスとしてオープンし、12月にはOCCULT FREAKとYSSの結成があった。かくいう私自身もがっつりVRChatの音楽界隈に遊びに来るようになったのはこの年の5月くらいからだ。

2021年

2021年、MusicVket2・3とSANRIO Virtual Fesがあった、企業の参入が増えた年ともいえる。有志のイベントとしてはAWAKE24の1stや複数インスタンスに同時配信を行ったVRMFの第一回も開催されている。

2020年末からバンドやグループの結成が相次ぎ、PHANTOM、不眠症女、Suc×Suquel。、PRA-LiNE、PHAZEなどがこの時期に結成されている。本当にすごい。そしてこの頃から少しずつコロナ禍の中でもリアルライブを開催する動きが出てきて、VirtuaROCK FEST vol.1にOCCULT FREAKが出演している。

この辺りから定期イベントが増えてきて、SLT以外にも玉響やふぁんほーむなどができていた。

2022年

2022年、MusicVket4があったのはもちろん、ついにYAMAHAがVket2022 winterでV-kitazawa AWAKEとコラボを果たした。つまりYAMAHAがVRChatで音楽活動をしているユーザーを認識したのだ。これ以降不定期ではあるがユーザーと交流する「YAMAHA Connect」が開催されているようだ。

この年はVRMFの第2回があったのに加えて、メタフェス音楽祭も開催されている。Awake24 2ndもあった。ぽんぽこ24のPOKO ROCKとかも2022年が初回でしたね。StrollZの結成は確かこの年。SYNCROOMを使ったセッションイベントなどもあって、2022年の2月頃にはSYNCROOMからのユーザー流入があった。この時には今のVR音楽界隈には欠かせないともいえるようなアーティストが多く参入している。

この年に開催されたVirtuaROCK FEST vol.2にはOCCULT FREAKが出演していた。10月には貝と蜃気楼のライブイベント「七日目のパレード」でJOHNNY HENRY初のリアルライブもあった。VRを被ってSYNCROOMを繋いで、コントローラーを握るという制約から少し解き放たれつつあった。

少なくとも、ハンドトラッキングの技術が進歩して、コントローラーを持たずにライブするというユーザーも増えていたように思う。
VRゴーグルとコントローラーという制約から少しずつ解き放たれていたような印象を抱いている。

2023年

2023年、Vket Real 2023 Summerでは秋葉原エンタスと秋hubでVRChat音楽界隈とのコラボイベントが開催されていた。Vket Realに関連したイベントではないが、Vket Real 2023 Winterと同時期にMiLive "Tokyo"(YSS,PHANTOM,JOHNNY HENRY,Alternoise,Coconuts Miilk,Suc×Suquel。,みゃのん,ELfaらが出演)やバチャカル2023(LAUTRIVや潮成実が出演)がリアルイベントとして開催されている。YSSはリアル電音研でもclub asiaのメインフロアに出演し、だいぶ大規模なクラブイベントとなっていたことを覚えている。

変わったところだと、大分駅前の祝祭の広場でメタバースのイベントがあり、Revias,Ku_Ambientflow,midokan,StrollZ,魔法少女シュネー,Amarilliらが出演していた。

M3などでもVRChat発のアーティストがぽつぽつとみられるようになったのはこの年からかな~と思ったりもしている。

リアルライブでは、貝と蜃気楼企画のライブ「時計じかけの天体」にはJOHNNY HENRYが出演していた。そして極めつけはVARTISTs、JOHNNY HENRYだけでなく、CROWK、StrollZ、PHAZEの計4組のバンドがリアルライブに出演した。日本国内だけでなく、VIVIちゃんがドイツからやってくるというところまで含めて、VRChatみたいなリアルインスタンスとなっていた。
こうして見ると、2023年はリアルへの進出がとても多い年だったのかなと思う。

VR上だとSANRIO Virtual Fes 2023とメタフェス音楽祭とMusicVket5があった。POKO ROCK vol.2もぽんぽこ24のなかで開催されている。私が企画に携わったファンタズムセブンの話もあった。Alternoiseの結成も2022年だったなぁということを思い出す。VRイベントの方はこの辺りから把握しきれなくなっている…というのも、VR音楽界隈というのが広がりすぎて追えなくなったから…

とはいえ、Meet Up Idol Fesが2回開催されていたり、Rootsのイベントで久々に複数インスタンスで同時並行的に進むサーキット的なイベントの要素があったこととかは覚えている。

企業公式ワールドBGMにVRChatの音楽クリエイターが携わる機会が増えたのもこの年辺りからかな…?(モスバーガーとかは2022年からあったかもしれない。)

2024年

そして2024年
1月7日の新年早々、StrollZのリアルライブが横浜であった。1月20日にはJOHNNY HENRYの4周年ライブ、GWにはM3と併せてStrollZ vs PHANTOM、6月には貝と蜃気楼の「劇的なるものら」にJOHNNY HENRYの出演、8月のStrollZ vs PHANTOM、9月のReal SSSとリアルライブだけでも6回を数えている…が、私が行けなかったものでもCROWKが出演したリアルライブが2回ほどあったり、リアルライブも全ては行けないな~になりつつある。

リアルイベントだと7月のおにぎりかっせんに参加したが、他にもえのぐ主催のVRideやOsaka Vtuber Circuit Fes、ティキBar×SLTや、執筆中の今も配信が行われているティキBar×FUTURE SQUAREなどもある。
本当にキリがない。

VRChatでのイベントに目を向けてみると…
SANRIO Virtual Fes2024、META=KNOT、FZMZ、よるとうげ、MusicVket6、METAFES辺りは企業やメジャーなIPが携わったイベントとして上げられるだろう。SANRIO Virtual Fesに関しては再演に加えて、Idol Contestもあり、1年のうちに3回もSANRIOの名前を見るような形になっていた。Raindance Immersiveに音楽シーンの団体が多くノミネートしていたのとかもここに含まれるかな…?

有志イベントでは年末にAWAKE24 3rdがあったりしたが、他にはCinderella Fesとか…?。Vrc Jamhop MeetingやGroove Truck、Rad,Rap,Rat.、そういえばここまで書き忘れてたけどGrenadeはもう9回目の開催を数えている。…9回目!?!?。夏にはド夏祭もあったし、無線衝突のシリーズも始まった。

Bar CONTRASTやメロディックシアター、P.D.L.といったイベントから発足したFesイベントとかもあったようななかったような。月曜日にはスナックくりまり、水曜日のゆるいおんがくのつどいやSuiyou Sianox Sessionとかも今年…?

今年結成したアーティストとしても新平成写実主義やIgnotus Flamberge、KAGARIHI、NAGISA lab.、Strike a chord、HIPHOP JACK LIVEなどがあるし、再始動や結成?に近いところだとCinematic Neon Clubやセイ論主義、MESSCORE、HNBなどもある。ジャンルも表現も多岐に渡るけど、どれもこれもが突き抜けていて、楽しい。

記憶に新しい分、忘れていないから多いのか、それとも本当に数が増えているのか、わからなくなってくるくらいには数が増えていると思っている。VRChatterとしてだけではなく配信者の活動にも力を入れ始めたアーティストなどもおり、ジャンルなども含めて多様化の年でもあったかなと思う。

2025年

2025年、ここからは未来の話
決まっている分だけでも、SANRIO Virtual Fes2025、UNPLUX、Grenade in Real?、SANRIO Virtual Fes Realイベント辺りはすでに告知が出ている。キヌさん(SANRIO)のライブが2月22日に五反田であるらしいのでUNPLUXと連日VRChatリアルインスタンスができる。

あくまで私の主観だし、うろ覚えな頭をしばきつつ書いているので誤っている情報もあるとは思うが、ざっとこんな感じだ。
ここに書ききれていないイベントももちろんたくさんある。ここまではあくまで私が5年程見て来たところのダイジェストだ。
ただ、書いてて思うのは、やっぱり「大きくなってるよな…?」といったところだろうか。

振り返ってみて

まだユーザー数が少なかったころはVR音楽界隈としてまとめて紹介していたが、ここまで増えると、配信者だったり、クリエイターだったり、リアルに近かったり、色んな活動形態があってそれぞれがシーンとしてあり、一緒くたに紹介しにくい。けれど、その多様性があっていい。多様性がないより、広がって増えていく方が絶対楽しい。

広がって増えてって、それぞれの多様性が相互に作用しあって、いろんなユーザーがそれぞれに興味を持ってくれたら、もっと楽しくなるんだろうな~って思ってる。
きっかけはなんでもいいから、そこからこの世界のいろんなアーティストやクリエイターに興味を持って欲しい。
そして、気になるアーティストやクリエイターがいたら、記録してほしい。

記録するということ

記録することって実はとても大事で、記録が残っていなければ歴史があったとしても存在しないことになりかねない。だから、記録してほしい。
検索機能の劣化だとか色々あるけど、ちゃんと記録として読めるなら、それはその時代のその世界を伝えられる。
それを見た外部の人や未来人がふと興味を持ってアーカイブをもっと探り出すかもしれない。
外部から認識されるから、そこにそれがあるという証明になる。

認識されるということ

脱線が少し続くが、外部からの認識によってそれが形作られるというのはほぼすべての事象において共通している。私が初めて輪郭は外部によって形成されるということを認識したのはバーチャルYouTuberのらきゃっとの配信だった。

上の記事を書いた時、私は彼女をVの世界で一番たくさんのものを生み出した消費者だと紹介したが、今の私はよく「文化のクリエイターだ」と言っている。もっとも、皮肉と敬意を込めて「所詮文化しか作れないくせに」と言ったりもするが、事実として輪郭によって形成された存在はバーチャルの文化を創っている。

文化

文化という文字は事象を文に化すと書く。
事象を文に化すことと文化になることはイコールではないが、外部から認識できる媒体が存在することで文化を認識できるようになる、とはいえるかもしれない。

私自身もただのリスナーからいつのまにかライターとして記事を書くことが増えていて、初対面の方や初心者の方から記事を読みました!と感想をもらうこともごくまれにある。

文に化したVRC音楽の文化が外部に伝わっている。

集団内で認識が共有され、多様性があって、外部の認識によって形作られていて、動画や記事の記録がある。

だから、私はここでこのVRC音楽の世界を文化と呼ぶ。

以下駄文

今回のアドベントカレンダーはVRChat音楽のセカイとしていたが、そもそもの名前の由来はmemexのVR音楽のススメに続くようなカタカナ3文字で名付けていた。ススメといえば「学問のすゝめ」を書いた福沢諭吉先生は「文明開化」という語を作った先生でもある。文明開化って略したら文化になるよね。

というか、AWAKE24 3rd感想戦の中でも書いたけどこれ絶対「VRChat音楽の文化」みたいなテーマの方がよかったな…


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