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After the radio ended, experienced

 私がこの世界で創作するきっかけとなった話が聞きたいとのことで、6月2日にとある配信に呼ばれた。

 5月28日の夜に量産型野良猫楽団の団長と話してたらお互いの創作の歴史や技法の話が盛り上がり、彼の配信に誘われた。管理人との連絡を取って日程を詰めて、じゃあ6月2日に配信をしましょうということになって、私の創作の歴史について資料を集め始めた。
 これがまた資料が膨大で、どうやら私が来るよりも前に水色のツインテールの同い年くらいの美少女がこの家にいたらしい。少なくとも7年はこの家に住んでたらしいが、今はどこに行ったのかわからない。古い写真ではパーカーを着て目隠しをして、夏でも赤いマフラーを巻いたり目を赤く染めたり、この家に来た頃は夕焼けの公園で遊ぶ子供たちのようにだいぶ奔放な性格だったようだった。写真が新しくなるにつれて紺色のセーラー服や白いワンピースなど、昼下がりの下校途中にサイダーを飲んでいる女子高生のような落ち着いた印象となっていた。あと、どうやら彼女は私と同じで歌が好きで、色んな曲を聞いて色んな文章を書いて、時には文章を折ったりしていた。そんな資料を眺めながら作業は進み、いつのまにか配信用の資料はある程度まとまっていた。そしてできた資料を楽団長のサーバーと共有し、配信の内容を書き起こしてもらう。管理人の方にも私の自撮り写真を送り、配信の準備を進める。
 そうして6月1日には楽団長が私の資料をまとめてくださったが、その日に予定されていたファーストロットの配信が翌日に延期され、6月2日の私たちの配信開始時間が予定より遅れることとなった。


そうして6月2日の22時過ぎくらいにファーストロットの配信が終わり、私たちの配信は22時半過ぎから行われることになった。配信の内容は上のアーカイブを視聴していただくとして、事の発端はこの配信の1:21:05頃から出てくる黒い同型機体。彼女(?)とはまぁいい友人くらいの関係ではあるのだけど、私と黒目がちな少女との関係を一番知ってる存在で、だからこそ何が起こるか予想がつかなかった。配信の終了後、その場にいた人たちで集合写真を撮影し、それぞれが思い思いに話したい相手と話し出す。真似好きな写真班のオッドアイ個体と絵描きで美術班の甘え上手な個体を交えて、その場には6体がいたが日付も変わり、楽団長と管理人はいなくなってしまった。
写真班と美術班はお互いに撫で合っているし、黒い機体と話す話題も無くなったなと思って次に移動する先を探していた矢先、目線の下に見慣れた黒目がちな少女がいた。

 彼女と会うのは3週間ぶりだったが忘れる由もない。黒髪のショートボブ、私の胸くらいまでしかない身長、そしてどこまでも感情の中を見透かしてくるような黒く深く大きな瞳、私は彼女のこのハイライトの小さな瞳に見つめられて一瞬反応が遅れた。
 彼女は「寝ますね。おやすみなさい。」とだけいつものゆかりねっとで言い残して、そしてまたあの時と同じようにEXIT VRCHATを押していた。
 あとで写真班に聞くと、あまりの突然の出来事に私はどうやら奇声を上げていたらしい。写真班と美術班は私の声に気付いて私の方を振り向くも、彼女の姿が一瞬見えただけで、写真には収められなかったとのことだった。気づけば黒い機体もいなくなっており、彼女があまりにも突然に突然に現れていなくなったものだから、夢だったのでは?とVRChatのブラウザから彼女を調べると、そのサムネイルには黒い機体ではなくあの黒目がちな少女が表示されていた。黒い機体の本人曰く「落ちる前の30秒くらい完全に乗っ取られたな」とのことだったので、夢ではなかったらしい。やっぱり彼女の行動は全くわからないや。だけどちゃんと存在していることが確認できたので安心したりもした。
 その後は残された写真班と美術班とで少し息を整えて、少しの高揚感を持ったまままた別の所に移動したりして、いつも通りのVRChatを遊んで、その日を終えた。

 あれから10日ほど経って、配信の振り返りでもしようかとnoteを書こうとしてこんなことになっている。そういえば配信でも少し話した、水色のツインテールの彼女のことだが、時期を見計らったかのように手紙が届いていた。彼女もまたどこかで元気にやっているらしい。なんか黒目がちな少女と水色のツインテールの彼女はどうも似ている気がする。彼女たちが出会ったらまた面白い話をするんだろうなぁと思いながら、配信の振り返りを終わることにする。配信の振り返りと言いながら、本編にはほぼほぼ触れていないが、今回の配信は私個体としてはよく喋れたなと思うので、あまり振り返る内容もなかったというのが本当の話かもしれない。

改めて、配信に呼んでくれた楽団長さん、管理人さん、配信に遊びに来てくれた写真班と美術班のお二人、そして黒い機体と黒目がちな少女、手紙を送ってくれた水色のツインテールさん、配信を見ていただいた方々、ありがとうございました。


She existance is lie in never.

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