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#富野由悠季の世界展 後 #Gレコ がガンダムでないことを説きたい

富山で富野由悠季の世界展鑑賞の後、ネット上では旧知の富野ファンの人と感染対策をしつつ少し話し合った。いろいろな話題が出たが、Gのレコンギスタがガンダムではないという富野由悠季監督の最近の発言を擁護する話をした。

まずGレコのガンダム要素を抜き出す。

・機動戦士ガンダムと同じ名称の宇宙世紀という時代で人類の絶滅寸前戦争があった以降の時代を描いた作品である
・全高18メートルほどのモビルスーツと呼ばれる搭乗式人型ロボット兵器が出てくる
・ミノフスキー粒子がロボットや宇宙船の運用に活用されている
・ビーム兵器が使われている
・宇宙移民者と地球人の間で政治的な対立が起こっている
・太古の強いロボットに由来するガンダム伝説がある
・主役ロボットのG-セルフには角が2本あって目が2つある
・バンダイのプラモデルとしてガンプラの枠で商品展開されている


まあ、だいたいこれがGのレコンギスタはガンダムと言われる事情だと思う。これを潰していく。

宇宙世紀という名称が同じでも違う宇宙世紀である

 富野由悠季の世界展でGのレコンギスタの企画書を見た。それによると、1979年のローマクラブの成長の限界とかNASAのオニール型スペースコロニーが世界観の象徴であった機動戦士ガンダムとは違うようだ。
 Gレコの宇宙世紀はキャピタル・タワーの元になった軌道エレベーターが3本地球にあり、それによって宇宙に物資を搬出していたらしい。これは宇宙エレベーターがない機動戦士ガンダムの宇宙世紀とは違う。(軌道エレベーターは宇宙戦争で人類が絶滅しかけた時に破壊されて、キャピタル・タワーはぎりぎり残っていたものを修復されたものとのこと)
 富野監督によると機動戦士ガンダムの時代には宇宙ロケットや宇宙開発がロマンだったのでそのようにしたが、現代の観点では(スペースシャトルの廃止など現状の宇宙開発の反省を踏まえ)ロケットでの宇宙移民はコスト面から現実的ではないとしている。
 また、Gレコの宇宙世紀開拓では、Gのレコンギスタ本編で登場した空気の玉と水の玉だけでなく、「土の玉」という固形物を軽量化、圧縮するファンタジックなオーバーテクノロジーの道具が使われていたとのこと。やはり、宇宙へ運ぶ資材の量は軽量化しないと現実的ではないという、反省して改良され視点がある。
 機動戦士ガンダムでのスペースコロニーの材料はアステロイドベルトから核パルスエンジンで運んできたルナツー(現代の名称ではジュノー)などの小惑星であるが、Gレコの宇宙世紀はそこを変えてきている。もちろん、シラノ-5やオーシャン・リングなど小惑星を軸にした巨大宇宙建築物はGのレコンギスタにも登場するし、トワサンガではオニール型コロニーも少し映っている。
 なので、Gのレコンギスタの前史である宇宙世紀は機動戦士ガンダムの宇宙世紀とは違うものである

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