勝率51%デッキの作り方 上級編【デュエプレ】
初級編・中級編はこちら。
改めましてこんにちは。ぬるぬる侍です。
お待たせしてすみません。あれから筆者は記事をおろそかにしランクマに励み、5月も最終100位に残れました。これで4期連続です。ウオオオオヤッタアア!!!
(とか言ってたらこの前5期連続になりました。ヤッタアアアアアア)
長々書いてるうちに、予告編とはだいぶ構成を変えてしまったことをご了承ください。
それでは行きましょう!
【上級編】
対象…レジェンドタッチを狙う方
目的…レジェンドタッチ可能なデッキの制作
goal…汎用性の高いカードを増やし、辛勝を増やすことで、勝率が上がることを理解する。
abstract…
「勝率を上げる=辛勝を増やす=デッキパワーを高める=汎用性の高いカード(パワカ)を増やす」という仮説に基づき、徹底してデッキパワーを高めることを目指す。そのために、採用候補のカードを、メタ寄りかパワカ寄りかの2極の間で捉え、極力40枚全てをパワカ寄りのカードで構成できるようにする。仕上げに、再現性とデッキパワーの両面に気を使って調整する。
復習…デッキパワーを高める
そもそもデッキパワーとは何かというと、カードゲーム一般的には、「メタを無視したデッキの強さ」の事を指します。(これは中級編で言うべきでした。すみません。)
デッキパワーとは地力のようなものです。
中級編で示した3要素(キルターン・再現性・殺傷力)に全てが還元されるわけではありません。
さて、初級編・中級編の内容は、このデッキパワー=地力を意識しています。
初級編では、デッキの骨組み+切札を用意した上で、残りの枠には単に強いカードが多ければ多い程良いという事を確認しました。
中級編では、デッキパワーを3要素で捉えました。その上で、現環境で戦える前提条件となるデッキパワーを大掴みしました。
また、環境デッキに対抗する方法として、キルターンやメタカードに注目したアプローチを示しましたが、その際、デッキパワーを損なわないことに注意しないといけないことを確認しました。
「デッキパワーを高める・下げない」という事が通底していますね。
ふふふ、ここまでの内容は言うなれば伏線!上級編を伝えるための前提知識と言っても過言ではないのです!!!ナ、ナンダッテー!!!?
デッキパワーを高める事は、上級編で目指す辛勝と大敗を増やすデッキ構築に直結します。
まずは、なぜ辛勝を増やすのを目指すのかを理解して頂こうと思います。
勝率を上げること=辛勝を増やすこと、という仮説
筆者は、皆さんご存知最強忍者森忍さんから、勝率を上げること=辛勝を増やすこと、という仮説を学びました。
デュエプレがもしも点を競うゲームだったとしたら、30戦して、
90点-10点で勝った試合が10回
40点-60点で負けた試合が10回
30点-70点で負けた試合が10回
あったとしたら、内容はともかく、勝率33%という結果しか残りません。
なんだか、この得点の仕方、「もったいない」と感じませんでしたか?
90点-10点で勝てる試合を70点-30点で勝ち、
40点-60点で負ける試合を51点-49点で勝ち、
30点-70点で負ける試合を10点-90点で負けることで、総得点を落としつつも
勝率66%にできます。
理屈の上では、大勝を減らし、その分辛勝と大敗を増やすことで、確かに勝ち星が増えるのです。
そう、勝率が(統計上ではなく可能性として)51%あれば、
レートは上がるのです!!!
ドン!!
「勝率51%デッキの作り方」というタイトルは、自作デッキは低い目標から楽しもうって意味と、辛勝を増やそうって意味の、ダブルミーニングだったんですね〜!(言葉遊びだからマジレスニキは来ないでね^^)
辛勝を増やすこと=汎用性の高いカードを増やすこと、という仮説
「大勝を減らし、辛勝を増やす」と聞くと、すぐ「じゃあメタカードを増やせば良いんだ」と考える方がいることでしょう。
しかし、それこそがデッキを弱くする原因です。(これは自戒でもあります。)
辛勝を増やすには、様々な対面・様々な状況で腐らず活躍できるカードを、すなわち汎用性の高いカードを増やすことが有効である、という仮説を本記事は唱えます。
これを、単純化したモデルで考えてみましょう。
「100回中10回マッチする特定の対面にのみ100点、他には0点のメタカード」を、4枠×3対面=12枠も割くと、広い対面で起こる接戦で、腐った12枠(4枠刺されば8枠)が足を引っ張り、惜敗が増えることが予想されます。メタが刺さる対面には大勝するでしょうが、刺さる対面は限られています。
今、オーバーキルに繋がってしまったメタカードが、他の対面でも活躍できるカードだったら、どうなるでしょう。
「100回中90回は活躍できて、どの対面にも70点出せる汎用カード」に12枠割いた方が、広い対面で起こる接戦において、その枠も腐らず勝負に貢献できるため、辛勝が増えることが予想されます。苦手な対面には大敗するかもしれませんが、1敗は1敗です。
今、メタを捨てて汎用性の高いカードを増やすことで、デッキの「地力」のようなものが高まり、それで広い対面に辛勝が増えました。
つまり、汎用性の高いカードは「デッキパワー」を高め、辛勝を増やす、という事です。
(ただし、デュエマではペーパー不要牌にもマナに埋まる役割があるため、汎用性の低いカードだとしてもある程度は入れ得なのも一面の事実です。これは、トリガー等のペーパーに鈍感でも許されるエクスキューズになっており、汎用性の低いカードを我々が安易に入れがちなのはこのためだと思います。この曖昧さはデュエマの良いところでもありますが、だからこそ、強いデッキを組みたい人はデッキ内のペーパーの量に敏感にならないといけないと思います。)
デッキパワーの高いデッキの例を見てみましょう。
歴代最強デッキと名高いゲオルグ天門は、とにかく「強い」カードが高比率で詰め込まれており、誇張抜きにデッキの半分がフィニッシャーでした。アガピやゲオルグ、竜極神等々は、特定の対面のメタではなく、全対面を殲滅する力がありました。当時、筆者は5cゲオアガピ天門を全力でメタったのに、当のメタ対象の天門に5分~それどころか不利だったことが何度もあります。
この、対面を問わずに活躍するカードが詰め込まれていて、ジャンクデッキはメタらずとも蹴散らせる状態、これがまさに「デッキパワーが高い」という事です。
最近で言うと、黒緑Bロマをお清めやルギラでメタったはずなのに勝てない、というのを経験した人は多いのではないでしょうか。それは、Bロマやデスドラには対面を問わない強さが、すなわち高いデッキパワーがあり、メタる側のデッキには、折角のメタを勝ちに繋げられるほどのデッキパワーすらなかったという事です。3ハンデス&全体除去なんて全対面に効きますから、流石のデッキパワーですね。
また、Bロマは研究が進むにつれて次第にデッキトップが強くなっていきましたね。あれもメタを乗り越えるのに大きく貢献したと思います。
これらの例から、安易にメタに回るのではなく、自分が強い動きを押し付ける側に立つことが大切で、そのためには汎用性の高いカードを詰め込むのがよい、という事が感じられたでしょうか。
筆者は、この「汎用性の高いカード」「様々な対面・様々な状況で腐らず活躍できるカード」のことを、「パワカ(パワーカード)」と呼んでいます。
パワカを増やせばデッキパワーが上がる。
そんなもん当たり前だろって話なのですが、かつての筆者はついメタに回ってデッキを弱くしがちだったので、自戒も込めて長めに語りました。
本記事のとりあえずの結論はこうです。
勝率を増やすためは辛勝を増やす構築を目指すべきであり、そのためには、安易にメタに回るのではなくデッキの地力(=デッキパワー)を高めるのが有効であり、そのためにはできる限り汎用性の高いカードを増やすと良い。
とにかくパワカを入れよう!!
パワカを入れよう
パワーカード=複数の役割がある、汎用性のあるカード
以下の1~3の例で、対面や状況を問わず活躍できるカード(つまりパワカ)を選んでみましょう。
1.デスマーチとブレイズクロー
2.のろいとテラーの贈り物とエナジーライト
3.XENOMとサファイア
1→デスマーチ。
SAとしてもパワー5000の壁としても使え、色んな状況で活躍が見込める。ブレイズクローは殴るだけしかできない。当たり前だが。
墓地に進化元を落とす下準備が必要な部分を「腐りやすい」と評価するのは間違ってはいないが、これは自分の構築で無効化できるデメリットである。試合展開や対面によって腐りにくいのはデスマーチである。
2→のろいとテラーの贈り物。
基本3ドロー、しかも3000ラインを焼ける。手札にも場にも同時に干渉できるため、コントロール対面は勿論、アグロ対面にも活躍が見込める。エナライはドローしか出来ない。
生贄を必要とする下準備が必要な部分を「腐りやすい」と評価するのは間違ってはいないが、これも自分の構築で無効化できるデメリットである。
3→XENOM。
1体破壊して3点キメて3ハンデス。相手の手札と場と盾に一気に干渉するため、色んな状況で活躍が見込め、ほぼ腐ることが無い。ボルガウル的にも使える。サファイアは盾しか焼けない。
進化元を必要とする下準備が必要な部分は(略)無効化できる。
このような、複数の役割を持つカードを「パワカ」と捉えましょう。
特に、1:2以上の交換をするカードや、手札や盤面といった複数のゾーンに干渉できるカードは強いです。
…なら現環境で採用されているブレイズクローは全部デスマーチに差し替えたほうが良いのかといえば、当然そんな訳はありません。単純なコスト論を超えたパワーカードは、それに構築全体を寄せる必要があることが多く、そこが差別化点となっています。
パワカは、2枚以上のシナジーや、いろんな面での構築制限が前提となっていることが多いです。それをヒントに強いデッキを組むのも良いですね。
例えば、進化というギミックは、2枚のシナジーがコスト論を超える代表です。広い目で見れば、アガピ+ウルコス(+ゲオルグ+竜極神)のパッケージもこれに当たるでしょう。NEXや死神等といったデザイナーズデッキは、シナジーが見えやすいので、デッキ作りにおいてルール上一歩有利であると言えます。
一方、シナジーを気にせず単体でも活躍できるパワカを「グッドスタッフ」と呼ぶことがあります。
例えば、ベガや宝剣、スペルギアは複数のゾーンに干渉できるグッドスタッフです。それこそ、ゴッドカードや超次元呪文は文字通り1枚で2枚以上の役割がありますから、典型的なグッドスタッフですね。
シナジー前提にせよ、グッドスタッフにせよ、複数の役割を持つカードを入れることで、デッキの地力は上がります。
メタカード=特定の状況・対面によく効くカード
メタカードはパワカの反対で、特定の状況・対面によく効くカードを指します。「対策カード」とも言いますね。
典型的な例としては、紙デュエマのミクセルやとこしえ、デュエプレならお清めやルギラレシール、ラネーバなどを思い浮かべる人は多いでしょう。
ひいては、コッコルピアを意識したファントムバイツや、ライゾウを意識したジェニーダーツもメタカードと言ってよいでしょう。
この手のカードは、特定の対面・状況でしか機能せず、広い対面で起こる接戦で腐るので、極力入れないのが望ましいです。
先の問いの第一の回答は、デッキパワーを大きく落としてまで特定の対面にメタを張らないといけないコンセプトのデッキを、そもそも握るな、というものです。
それは素のデッキパワーが足りてません。好きなデッキだからこそ、勝てない環境には持ち込まないというのも、一つの愛の形だと個人的には思います。今はメタを積まないで強みを押し付けられる環境だと判断して握るならよいと思います。(この辺はzweilanceさんが頻繁に言ってる事です。)
ただ、現実問題、「環境にいるあの対面に勝てないと話にならない、だからメタカードを入れざるを得ない」ということは、ままあります。そういう時はどうすればよいのでしょうか。
その答えは、メタカードを事実上のパワカとして運用する、ということです。
カードを「メタ寄り」と「パワカ寄り」の2極の間で捉える
「事実上のパワカ」ってなんやねんという話をするために、まずはカードを相対的に評価できるようになりましょう。
個人的な話ですが、カードを「これは強い」「これは弱い」「これはメタカード」とぶつ切りに捉えず、カードを「メタ寄り」と「パワカ寄り」の2極の間の位置で相対的に捉えられるようになったことで、筆者はかなり見る目が養われたと感じています。
←メタ寄り ⇔ パワカ寄り→
腐りがち ⇔ 汎用性ある
限定的な使い道 ⇔ 複数の使い道
1つのゾーン ⇔ 複数のゾーン
1:1交換 ⇔ 1:2〜交換
タイガーグレンオーはメタカードなのでしょうか。デーモンハンドは?デスメンドーサは?神羅ブリザードムーンは?神羅ドラグムーンは?サファイアは?…
答えは、「メタ性もパワカ性も持ち合わせているから、そのグラデーションの中の位置で捉える」です。
例えば、デスメンドーサはスペルデルフィンメタとして5cや緑抜き4cに採用されていた実績があり、その意味ではメタカードと言って良いでしょう。ただ、デルフィンにしか効かないのかと言えばそんなこともなく、普通に汎用的な手打ち除去に使えます。しかも、除去の後はガントラの殴り返しとして立ち続ける、複数の使い道のあるカードです。その点はパワカと言えなくもありません。
つまり、デスメンドーサは、メタカード性がありつつ、グッドスタッフ性もそこそこあるカードな訳です。
ではデーモンハンドはどうかというと…確かに「確定除去」と呼ばれる程の汎用性がありますし、トリガーとしても使えるのだから、複数の使い道のあるパワカ、と見れます。
しかし、考えてみれば、メタカード的側面も少なからずあるのではないでしょうか。手打ちに限れば1ターン6マナかけて1体処理するだけで、1つのゾーン、1アドにしか干渉できてません。トリガーしても、1除去では止まらない対面も少なくありません(まさに今がそういう環境だと言う人もいます)。
このように、カードを相対的に評価して、パワカ寄りのカードを選択するのが、カードを採用・不採用を決める際の原則です。
その上で、カードの効果はメタ寄りだとしても、構築の工夫で複数の役割が任されてパワカ寄りになったり、環境の変化によって刺さりが良くなってパワカ寄りになったりすれば、採用に至ることはあります。
こういったケースを「事実上のパワカ」と呼んでいるのです。
まとめます。
メタカード、ひいてはカード一般の採用を検討する時には、そのカードのメタ性と汎用性の両面を噛みしめて、どちらが辛勝を増やせるカードなのかを吟味し、極力パワカ寄りのカードを採用するべきです。それか、事実上のパワカとして運用する工夫が必要です。
理想は、デッキの全てのカードが(事実上の)パワカで構成されており、自分の動きを自然に通していくだけで色んな対面がついでにメタれるという状況です。それこそゲオ天とかね。
ではここからは、デッキパワーを損なわない構築を、例題&構築例で練習してみましょう。
・典型的なメタカード
・トリガー
・フィニッシャー
の順に考えます。
ケース1.典型的なメタカード
※中級編と大きく被ります。
前提として、メタカードを入れずに済むなら入れないに超したことはありません。
もう一つ前提として、環境的に刺さってなければ入れる意味がありません。BEANSさんのサイトを利用させて頂いて、刺さりを確認しましょう。
さて、その上で、採用に踏み切るには、デッキパワーを落とさない工夫が必要です。
まずは、枚数を絞るという方法があります。
例えば、デッキに自然と入るサーチカードに引っかかるなら、ピン投でもある程度機能します。赤白武者や赤青剣誠のデュアルスティンガーは、ピン投でも、ボルット史郎と合わせて実質5投みたいなものです。ザークピッチとバディも同様の関係ですね。
また例えばジョンジョジョンは、超次元ゾーンに1枚入れるだけで、実質(ジョンを出せる)ホール呪文と同じ搭載数とみなせます。
このように、自然と入るサーチカードに便乗する形でメタカードを少しだけ積むことで、デッキパワーをあまり落とさずに済むという工夫があり得ます。
(とはいえデッキを弱くしてることに変わりはないので、入れずに済むなら抜きたいものです。)
サーチによる工夫が不可能な時には、メタカードを増やす程高まる再現性と、増やす程弱くなるデッキパワーとを天秤にかけながら枚数を決めます。削れるだけ削ってみたら、結局0になることはよくあります。
※ここの枚数問題は後の「再現性」で検討します。諸説あるので。
また、メタカードを極力パワカ的に運用する工夫もあり得ます。
中級編の復習になりますが、もう一度こちらの構築をご覧下さい。
構築例 シャドウ入り超次元
このバインドシャドウは、当時同時期に流行っていた黒緑速攻と黒緑Bロマを同時にメタれるメタカードとして注目したものでした。
無論このカードはパワカではありません。入れれば入れるほど弱くなる類のカードです。なので、構築上の工夫で、このカードを事実上のパワカとして扱えるようにしています。
役割としては、
①Bロマや黒緑のメタ。返しのターンで除去できなきゃ意味無いので確定除去も多め。
①'ついでにゼンアクやネロのメタ。
①''ライゾウのメタでもある。アヴァとビートして間に合わせる。これは大マジ。
②のろテラの種。コメチャ打ちながら設置し、次回破壊できる。ブラッディシャドウも同様。
③自壊後はリバイヴで回収可能。1マナあれば同ターン中に展開して打点になれる。ちなみにブラッディシャドウも同様。
④ボルシャックメビウスの睨みがタップインと相性◎
と、これだけあります。
ここまで来ると事実上のパワカです。メタ対象の黒緑ブラザーズが環境に少なくても、筆者は潤滑油として2枚採用していました。強かったです。
とはいえ、ここまでしても、とどのつまり「メタカード」ですから、入れ替え候補筆頭なのも事実です。
実際、自分の構築からシャドウを抜いて調整した構築で、5月の最終ラインまであと一勝という所まで上げた方がいます。
このシャドウの例は、メタカードに上手く複数の役割を持たせている成功例としても見れますし、結局メタカードを抜いてデッキパワーに寄せるアプローチが正しい、という例としても見れます。
デッキパワーに寄せた方が強かった例としては、初級編で紹介した炎地武神ロングレンジもそれです。
ブラッディドラグーンやコッコルピアがデッキパワーを損なっていました。
コッコもブラッディも4ターンボルガウルのパーツで、最悪のろテラの種でしたから、複数の役割を持たせた採用ではありました。特にブラッディドラグーンは弱点の速攻に対するメタでもありました。しかし、結局抜いた方が強かったです。これは「事実上のパワカ」とは呼べない例です。
改善版はこうです。
ブラッディの枠等に新たに採用したポワワンやキキカイカイは、ビートプランにもコントロールプランにも活躍できて、しかも1:2交換ができるパワカだったため、デッキの地力は大幅に上がりました。
また、この構築の炎地武神は事実上のパワカの好例です。
バルザックはアガピを焼けて、オルメガスはゲキメツをサーチすることで小型の殲滅に繋げられて、リンクすれば攻撃時パワー15000の殴り返しになったので、実質、ブロッカーと横並べと大型の3面メタであり、その上で10マナ溜めて無限発射のフィニッシャーでもありました。
ライゾウのザークピッチも、事実上のパワカの好例です。
ハンデスに弱いというデッキの弱点を補いつつ、手打ちでもライゾウを探しに行けるドローソースになっています。3呼び声6アカギ8ザクピ次回ライゾウで普通に強い。
とはいえ、ザクピを採用することでライゾウからの出力自体は落ちますし、色マナにも無理が生じているなら、抜くのは大いにアリ、とも考えられます。(参考:zweilanceさんの動画)
一方、剣誠のラネーバは、ほぼマッドネスの役割しか持たせられない、かなりメタ寄りのカードです。
とはいえ、勢いよくマナに埋めれば、相手にハンデスを打たせなくする役割を果たしてくれるかもしれません。しかも、流行りの剣誠の構築にラネーバが搭載されてるのが共通認識になったら、その時点で(上手い人は)ハンデスを打てません。
カードをプレイせずとも、相手のプレイを歪めて試合に影響しているので、ほんの少しパワカ的と言えるかもしれません。
本項で使えたかったのは、第一に、メタカードを採用する時は、デッキパワーを損わないための工夫が必要であるということです。
第二に、メタカードを事実上のパワカとして運用する努力は必要ですが、努力した所で、デッキを弱くする免罪符にならないということです。
結局入れない方が強い、ということは往々にして起こります。そんな時は、自分のデッキパワーを最優先にした構築を、いわゆる「フルパワー」を志向することになります。これは後述します。
ケース2.シールドトリガー
トリガーは、カウンターに使うカードですから、基本はメタ寄りのカードと捉えましょう。
その上で、トリガーを事実上のパワカとして運用するために、次の2点の方法でも試合に貢献できるか検討しましょう。
1.手打ち可能か
2.プレイを歪ませられるか
例えば、タイガーグレンオーは速攻対面で踏ませると非常に強力なトリガーですが、手打ちでも運用できる仕組み(例えばブースト+ザンゲキで5ターン目に手打ち)があるとよりよいです。
実際、速攻メタとしてはブラッディシャドウや薔薇城も有力な競合相手です。手札から使いやすい点で再現性は後者が優れますから、「事実上のパワカ」としてタイグレがベストなのかは吟味する必要があります。当然、色等の兼ね合いもありますが。
先のハンドとデスメンドーサの例もこれと同様ですね。
その上で、トリガーに複数の役割を負わせる方法は、手打ちに限りません。
マナに埋めてみせ、相手に裏目を想像させる役割もあります。
トリガーは8枚から12枚入れると、埋まるのは1枚、多くて2枚程度です。普通に考えて、その程度の再現性では、やや心細いギミックです。
デーモンハンドがブレイズクロ―を処理するように、1枚のトリガーが1枚のシールドを守れるだけだとしたら、ただ貫通されて終わりで、こんなものは焼け石に水です。
しかし、トリガーは、実態以上に大きく見せるよう工夫することで、パワカに近づきます。(ラネーバの例に似ています。)
例えば、マナにスパークが見えた場合、ケアする手段のないデッキだと、なるべく早く刻み、埋まっているスパークを踏んでおくしかありません(それか、スパークが埋まらない57%に命をかけるか)。それで盾を割らせ、増えた手札を打点に変換できれば、効果を発動せずとも試合に影響を及ぼしたことになります。
その上、スパークと同時にハンドやジャック、サーファーを採用したらどうでしょう。スパーク警戒で刻んでハンドやサーファーを踏んだらテンポを取り返されてしまいます。かといって打点を溜めて突撃してスパークを踏むと、増えた手札で手痛いカウンターを食らうのは明白です。突っ込むにせよ、立ち止まるにせよ、プレイは大きく歪む可能性があります。
この構造を上手く利用しているのが皆さんご存知、タッチ白のツヴァイです。
ツヴァイは増えた手札を即打点に変換するのに長けるデッキですから、トリガーとの噛み合いは特に良いと言えます。
(実際の所、ツヴァイは受け札を入れない型も大いに有力ではあります。そこはご了承ください。)
このように、複数止める系のトリガーと単体除去系のトリガーを組みあわせることで、容易にはケア不可能なブラックボックスを押し付ける事が可能です。
ちなみに、ジャックは小型から突撃するのと大型から突撃するのの両面に裏目を作るトリガーなので、言ってみれば、スパーク+サーファーの強制2択を1枚で作り出すパワカです。つよい。
ここまでの話を踏まえ、記事途中で引用した森忍さんのツイートの例を考えてみましょう。
コルテオとスパークは、どのように差別化すると良いでしょうか。
スパークとコルテオの差別化は、確実に全タップするか、2000の殴り返し要員兼打点を残すかの差が大きいですが、それだけではありません。
スパークは手打ちしやすく、盤面処理やブロッカーの突破にも使えます。コルテオの手出しは比較的厳しいですね。
また、スパークがマナに見えると、序盤から盾を割らせる効果が期待できます。逆に、コルテオがマナに見えると、相手に過剰打点をのリーサルがあっても1ターン盤面処理に回ってくれるかもしれません。どちらもプレイを歪める効果があります。効果は正反対ですが。
このように、どちらも複数の役割を託せるカードです。環境やデッキとの噛み合いから、どちらが辛勝を増やしそうか判断したいものです。
さて、こういったセオリーを上手く実践できたものが以下の構築になります。
構築例 キンタヤヌス
筆者はこの構築で6月2日目にndでマスターに到達しました。その後、スパークを2枚コルテオに、バースターを1枚サーファーに差し替え、6月AD最終29位に残りました。安くて強いので初心者にもオススメです。
トリガー枠に注目して下さい。
サプライズホールやバースターやジャックは手打ちでも強いトリガーです。スパークもギリ6マナ溜めてブロッカーの突破に役立ちます。
また、ヤヌスとの噛み合いもあります。バースターは1ドロー1バウンスに化け、ジャックは小型を破壊しながら打点として攻撃に参加できます。
更に、全タップ(スパーク)、単体除去(バースター)、小型除去(ジャック)、打点トリガー(サプライズ)を組み合わせる事で、安易な刻みも溜めこみも牽制しています。
このように、単なるトリガー期待だけでなく、手打ち、デッキとの噛み合い、裏目の圧力といった様々な方法で試合に貢献出来るように構築している訳です。
手打ちを考慮しないと構築はこうなります。
正直言うと、これはこれでカウンター力に優れるため、そこそこ勝てるとは思います。(特にコルテオは有力です。打点が残るの強い。)
しかし、この構築だと、火焔ボルシャック設置やゼン設置、エッグネロ発射に対する回答が存在しません。たったそれだけで詰むデッキは、応用力がない、地力の無いデッキと言わざるを得ません。
トリガーの枠が手打ちで試合に貢献できると辛勝が増えるというのは、まさにこういうケースを想像しているのです。
ここまで、メタカードやトリガーをデッキパワーと両立させるのが可能なケースを語ってきましたが、当然、不可能なケースもままあります。そんな時は、必然的に、メタカードやトリガーを抜いて、自分の動きを通すことに集中して勝つアプローチが有力になります。この、デッキパワー最優先の構築は、しばしば「フルパワー構築」と呼ばれます。これは後述します。
ケース3.フィニッシャー
フィニッシャーも、なるべく複数の役割を果つカードにするべきです。
こちらの動画は紙のデュエマの話なので、デュエプレの民には少し分かりにくいかもしれませんが、非ッ常〜にためになるので絶対に見てください。悲しいかな、本記事を読むよりも勉強になります。
この動画は、フェアリーさんが作ったデッキのフィニッシャーが完全不明で、それに対して視聴者から「jイレブンやシャコガイルの方が確実に勝てただろ」という物言いがつき、それに対して「いや完全不明でいい」と反論するという内容です。
(元の対戦動画は、現在メンバー限定公開のようです。)
筆者も、フェアリーさんに完全同意です。
確かに元動画の状況的にはシャコやjイレの方が100%確実に勝てるでしょう。しかし、シャコやjイレでEXウィンせずとも、当時の環境なら完全不明でも十分ゲームエンドです。その上で、シャコやjイレはコンボ前提の腐りやすい切り札ですが、完全不明なら単体で勝てる試合が確かにあります。
なら、絶対に完全不明を採用するべきです。これは辛勝を増やす構築を狙う人にとっては、明確な差です。
また、同動画では、「悠久弾幕」というデッキのフィニッシャー「ジョニー」を1積みで抑えている理由も説明しています。
というのも、悠久弾幕はデッキの性質上1積みにもアクセスできるデッキなので、2枚目のジョニーは腐るだけだからだそうです。
これも、先の例と本質的には同じです。
シャコのEXウィンというオーバーキル=無駄を省いて、その分を完全不明の対応力に回したように、2枚目のジョニーというオーバーキル=無駄を省き、受け札等に回している訳です。
ささぼー氏の「俺がデルフィン」発言も似たようなものです。
確かにデルフィンは強力なカードではありますが、しかし呪文を止めるだけ、という意味ではメタ寄りのカードでもあります。汎用的なカードを使ったアドの奪い合いで相手をねじ伏せればそれで良い訳ですから、「俺がデルフィン(フィニッシャーそのもの)」というのは清々しいコントロール宣言だと思います。まああの状況でデルフィンを手放す選択が正しかったかどうかはさておき…
同様にサファイアも、シールドゾーンという1つのゾーンにしか干渉できないフィニッシャーですから、ある意味メタ寄りで、オーバーキル気味です。
このように、可能な限り無駄を省き、対応力に回してデッキパワーを上げないと、環境には太刀打ちできません。
同動画でフェアリーさんは、1枚で複数の役割を持たないと採用はできないと言っています。まさに本記事が提唱している、「パワカを増やせ」という主張そのものです。
誤解して欲しくないのは、イージーウィンが駄目と言っている訳ではありません。むしろ、イージーウィンがあるのはデッキパワーの高さの表れです。強いデッキの条件の1つとすら言えます。(チャクラとか)
イージーウィンはあっても良いけど、できればオーバーキルを避けて色んな対面・状況で活躍出来るフィニッシャーを採用した方が、辛勝は増える、と主張しているのです。
さて、本項の内容も、実際の構築例で確認してみましょう。
構築例 死神
死神の握り始めは、このような(以下の画像参照)、システムクリーチャーを軸にアドを広げるデッキだと思っていました。
実際これはこれで割と勝てたのですが、使いこむうちに、ベルヘルデガウルが抜けていきました。
これはどうしてだと思いますか?ベルヘルデガウルが活躍できるシーンに注目して考えてみてください。(使わないと分かりにくいと思いますが…)
ベルヘルデガウルは有利な状況でしか活躍できない、有利を広げるカードだと分かったからです。確かにアド差を大きく広げる可能性のある強力なカードでしたが、辛勝を増やす類のカードではありませんでした。
その一方XENOMは、有利な状況で盾を疑似焼却して強いのはもちろん、不利な状況で盤面制圧に使っても強く、対応力がありました。
即効性がありながら、バトルゾーン・盾・手札に一気に干渉できるパワーカードであると認識を深め、XENOMを増やし、このような構築に落ち着きました。
筆者が4月の最終レジェンドを取るのに貢献しました。少なくとも瞬間41位。今見るとテンプレに近い構築ですが、一応自力で辿り着きました。(正直、so.sさんの構築の方が強いかと思います。)
言うまでもない事ですが、XENOMという強力なフィニッシャーは、死神という基盤があるから活躍できています。同様に、死神ヤミノザンジや死神ハンドも手打ちで十分活躍できるシールドトリガーですが、これも死神という基盤が前提です。
「対応力・汎用性のあるカードを入れろ」という話は、それが活躍できる基盤もセットじゃないと意味がありません。その点、このようなデザイナーズデッキは分かりやすいですね。
構築例 ドラグムーンFF4
初級編で紹介したこちらのデッキ、実はコントロール対面、具体的にはナイトコンやゼンアクに非常に弱いのが難点でした。
ドラグムーンは、中型以下を横並べするデッキには無類の強さを誇る、比較的メタ性の強いフィニッシャーと言えます。その分、コントロール系やワンショット等にはほぼ無力です。
そこで、ドラグムーンの刺さりが悪いコントロール等に対しては強いサブフィニッシャーもいれば良いのでは?と考え、筆者はあるカードにたどり着きました。なんだと思いますか?
筆者はブリザードムーンに注目しました。
この構築で1600に2回行けました。それなり。(正直今はジョンがキツい。)
ブリムはコントロール相手に決まれば滅法強いですが、テンポ的には弱いので、ブリムも比較的メタ性の強いフィニッシャーと言えます。
ドラグとブリムを当時に採用することで、横並べとコントロールの両面への対応力を実現できました。
タイムリミット系が多い時は、イダを増量して駆け抜けてました。(構築例はトルネードムーンに枠を割いている。)これで一応全対面見れます。
このように、お互いの弱点を補い合うフィニッシャーを入れれば、色んな対面に対しても十分対応できる、という訳です。
なお、こんなハンバーグカレーラーメンニンニクマシマシ的構築が何故可能かと言えは、ブリムとドラグムが進化元を共有しており、かつブリム・ドラグ厶・進化元全てが設計図の回収対象であるためです。やはり基盤は大事です。
ちなみに、ブリム攻撃後はトリガーの手出しが現実的になります。サーファー手出しはゼンアク等の大型の回答、グレンオー手出しは小型の回答になっています。そういう訳で、このグレンオー1枚は積極的な採用です。手出しを狙ったトリガーは、先程の応用ですね。
構築例 次元スペルギア
スペルギアファントムは、現環境においてサイキックメタとして非常に強力であり、これを4ターン目に走らせるのをコンセプトに組み始めました。
スペルギアは、ザンゲキ下ではパワー7000のSAで、かつ超次元呪文等の後続を確保でき、かつ相手の盤面をどかせます。メタでありつつ、事実上のパワカです。
あとはフィニッシャーがあればデッキになるやろと考え、GENJIとホールに頼って、以下のように組んでみました。
ブースト→ザンゲキ→スペルギア→紫電(5キル)と、
ブースト→ジョン→アンタアンタ覚醒→GENJI(5キル)
があり、一見再現性は悪くなく、色バランスもそこそこ、最速5キルで、受け札は8枚確保しました。
これだけ聞けば戦えそうですが、これが意外にも、あまり強くなかったのです。一体何が良くないのか、予想はつきますか?
試行錯誤して辿り着いた構築はこれです。
これで一応瞬間29位、1600にはなりました。
スペルギアのバウンス&後続確保はちゃんと強力だったので、原因はフィニッシャーの方にありそうでした。
スペルギアがシングルブレイカーなのは、トリガーや手札を与えにくいと捉えればメリットですが、リーサルから遠いのはデメリットです。逆に言えば、ここを補えるフィニッシャーがあれば勝てそうです。
そこで、残り4枚の盾を一体で割るリョウマを試した所、スペルギアの弱点をピッタリ補完しており、一気に勝率が高まりました。
こういった役割分担は、先程のドラグとブリムの例に似ていますね。
なお、この構築が可能なのは、ザンゲキ+スペルギアの基盤を活かして、紫電やリョウマが6マナで発射できる相性の良さありきです。スペルギアから回収できるシデンレジェンドを次回即使えるのも非常に噛み合っています。
改善前の構築だと、半端に超次元+GENJIのプランがそこそこ枠を占めており、ザンゲキ+スペルギアのプランと交差して、再現性に難がありました。詰め込み過ぎず、1プランにまとめるのも大事ですね(キルターンの早いデッキは特に)。
本項をまとめます。
フィニッシャーは、対応力も大事。
要は後出しジャンケンです。XENOMはグーチョキパー内蔵フィニッシャーで、ドラグ・ブリム(・イダ)は、それぞれがグー・チョキ(・パー)で役割を分担しています。
ただ、キルターンが早いデッキは、対応力よりも強力な1プランの押し付けが肝になります。逆に言えば、遅いデッキ程、色んな対面に対しての対応力が求められるということです。
「予測可能・回避不可能」という夢を追いかけましょう。
フルパワー理論
メタに寄せることでデッキを弱くしてしまうと判断される時は、素直にメタなんか抜いて組むのが1番です。
メタを無視して自分の動き・デッキパワーを最大にした構築を「フルパワー」と呼ぶことがあります。
※単にノートリ構築が「フルパワー」と呼ばれることもありますが、本記事の解釈は上の通りです。
「メタに寄せなきゃ〇〇に勝てないよお」という悲痛な叫びに対して、一見フルパワー理論は無力なようですが、この理論を言い換えれば、そもそもメタに寄せて構築を歪める必要があるようなデッキ選択をしない、ということです。
例えば、先の青白ツヴァイにはトリガーが8枚も入っていましたが、その8枚で事故って負けては本末転倒です。自分の動きを押し付けて勝てればそれでよい訳ですから、フルパワーで組むのは非常に有力です。
第14弾以前は進化先以外が貧弱で、枠が余り気味だったからトリガーを入れてるといった側面もありましたが、第14弾でジェスタールーペを獲得したため、3コスト以下の進化元を増やしたフルパワー型にする大きな理由ができました。
…できました等と言っていたら、その強化のせいでツヴァイはナーフされました(爆笑ギャグ)。記事書くの長びきすぎたZE☆
再現性
100回試合をして、80回、90回と狙った試合展開にできることを、「再現性が高い」と表現しています。本記事では相手の妨害に対する耐性も含意しています。
カードゲームは、毎ターンのドローに試合展開が依存しているゲームです。だからこそ、運要素を極力減らし、狙い通りの試合展開に近づけることで、実力要素を高めることができます。
勝つための努力=再現性を高めること、と言っても過言ではありません。
本項では再現性をめぐる考え方を扱います。
「4×10」VS「ぐちゃぐちゃ」
しばしば、デュエマは4×10構築が1番美しいと言われる事があります。
4×10構築が至高と言われるのは、再現性・カードパワー両面に気を使った構築だからです。
4×10構築は、「強えカードは入れる、弱いカードは入れない」ということですから、カードパワーに気を使う姿勢として一番徹底した形です。その上で、カードの種類が少ないということは、同じようなカードを引き、同じような展開になりやすい、すなわち再現性が高いということでもあります。
だとすれば、ピン投は、そのカードの強さを信用してない採用枚数で、しかも引き込む努力をしていないご都合構築である、いわば、勝つ気の無い構築という事になります。
それに対して、デッキリストがぐちゃぐちゃでも全然良いぜ、という人もいます。
デュエルマスターズ界隈では「4×10こそ至高」派と「ぐちゃぐちゃでええねん」派による血で血を洗う争いが日夜絶え間なく行われています(大嘘)。
筆者は、ぐちゃぐちゃになる理由が、再現性・カードパワーに気を使った結果なら全然良いと思います。
合理的な「ぐちゃぐちゃ」
まず、5~8枚目の採用で構築がぐちゃるのはアリだと筆者は思います。
5枚目以降のドロソや、5枚目以降のフィニッシャー等、4投のキーカードを引けなくてもゲームを作れるカードが強いデッキにはありがちです。メカオー然りNEX然り剣誠然り…
例えば、先の赤緑ドラグムーン(改善前)では、4投の設計図の5枚目以降として進化の化身を採用していました。
改善版では、進化の化身を抜き、ブリザードムーンを3枚入れ、より強い動きの中でドローできるようになっています。
いずれにしても5枚目以降を確保しようという努力はしていて、その上でよりデッキパワーを高めるように改善できたわけです。
死神は、改善前は、ドローソースが4投の死神盗掘男に依存しきってました。また、早出しXENOMのプランはほぼ不可能であったため、いっそう盗掘男主体のゆっくりプランへの依存度が高い状態でした。
改善後は、5枚目以降の疑似的なドロソとしてギガアニマやリバイヴ、スカルムーンを採用し、盗掘が引けずに即終了という事は減りました。また、ラヴァール4投と城XENOM4投、9枚目ボンチャを入れることで、早出しxenomプランも取れるようになりました。
このような5枚目以降の採用が他の枠を圧迫して、本来4入れたいけど3投以下ということも、ある程度は仕方ないと思います。メリットを享受する代償ですから。ただ、もし必須パーツを削ってしまうことになるなら、それはデッキコンセプトの時点で破綻している、ということになります。
また、色バランスに気を使ったぐちゃぐちゃもよくあります。筆者は、4投にこだわるより、色バランスの方が優先度が高いと考えています。
色マナに配慮した結果、本当は積極的に4枚採用したいカードだけど、泣く泣く1積み、という事も全然あるでしょう。シールドトリガーの枠でマナ色バランスを調整して、8枚の内訳が4・3・1の様にバラつく事もあるでしょう。
このように、再現性に気を使った結果ぐちゃぐちゃ構築になる事は普通にあります。
正直に言うと、4×10構築を見ると、この辺の細かい調整よりも見た目の綺麗さを優先したファッション構築では?と思ってしまう事が筆者にはあります。
ここまでは再現性に配慮した例でした。
では、カードパワーに気を使って枚数を減らすのは、正しいのでしょうか。
具体的には、環境的にローズキャッスルの刺さりが悪くなったから4投を1投にする、といった調整は適切なのでしょうか。
結論としては、コントロール寄りのデッキならアリ気味、ビート寄り(早期押し付け)のデッキならナシ気味だと思います。
ビートの論理とコントロールの論理
速攻〜ビートデッキは5ターン前後で勝負を決めるデッキなので、9枚前後の手札からプレイするカードを選ぶことになります。
よって、この手の押し付けデッキでは、限られた手札で望むプランを通すために、4投の重要性が高いです。
筆者がND12弾環境で28位をとった構築です。
速攻は序盤の押し付けが全てなので、4投が多く、序盤の再現性に全振りしてるのが見て分かると思います。
(例外的に、デュアルスティンガーは3枚目を引き込みたくなかったので2投。マナ進化のノイズにもなるので。ナスオは1コスト獣の9枚目です。)
筆者が13弾AD環境で98位をとった構築です。
Bロマも押し付けデッキなので、4×10構築に近いのが分かると思います。
(例外的に、ヴィルジニアは6枚目のロマノフとして採用していて、スカルムはそれ自体サーチカードなのでピン投、ヴァーズは9枚目のフィニッシャーとしての採用です。再現性に気を使っているのに変わりはありません。)
このような事は、メカオーやNEXの構築にも言えるでしょう。
一方、長期戦を志向するコントロールデッキは、当然ターン数が経てば経つほど山札をめくる枚数が増えるので、後半になるほど、多くの選択肢の中からプレイするカードを選べます。
よって、(序盤にプレイしたい札はともかく、)後半にプレイしたいカードは1〜2投でも比較的機能します。むしろ、色んな種類のカードを積んだ方が対応力が上がります。
このハイランダーコントロールでレート1631まで登りました。我ながらバケモン。
これは流石に極端な例ですが、とはいえ、採用カードをバラつかせる事で、後半は様々なグッドスタッフから選んで投げつけられるので、ぐちゃぐちゃ構築は対応力の点で利があるのは確かです。
(流石に序盤のブーストやドロソまでハイランダーにする意味は無いのですが、その点紙デュエマのハイランダーボルコンは緑抜き4cなので、本当にハイランダーで組む利点がありました。探索システムも無いし。)
先の死神でギガアニマ・スカルムーン・リバイヴを散らしていたのは、後半1度使うのをイメージしているからです。墓地回収という似た役割を持っているので、序盤は合わせて3枚(盗掘男と合わせて7枚)と捉えてはいますが、後半は状況に適したカードを選ぶ余裕が若干あるので、散らす価値があると考えているわけです。
さて、先の疑問をこれに沿って考えると、環境的に刺さりが悪いローズキャッスルを1枚残すのは、コントロールなら悪くない判断だと筆者は考えます。
確かに、1枚だけ積んで序盤にプレイする気なら、それは都合の良すぎる想定であり、不適切と言えるでしょう。それ以前に、メインの太いルートで戦えるように努力しないといけませんね。
しかし、序盤には引き込むのを期待せず、後半に1度プレイして蓋をする役割を期待した1投なら構わないと思います。
そういう思想の元、この構築ではローズキャッスルは1投となっています。もちろんこれは環境によって0にも2にもなります。
正直、異論が沢山来そうな事を言ってる自覚はあります。
序盤の再現性と後半のトップの強さはトレードオフ
…当たり前と言えば当たり前ですね。
序盤の動き(ブースト等)を12投すると序盤は安定しますが、ペーパーが増えます。序盤の動きを減らすと、その分中盤以降は強力なカードを絶えずプレイできます。
突き詰めていけば、結局このトレードオフの中で、何を重んじるかという話になります。前に寄せて押し付けていくのか、後ろに寄せて対応力を高めるのか…構築全体を見て、プランに沿う採用ならそれでOKです。色々言いましたが、要はこれが分かっていれば大失敗は無いと思います。
一応小手先のテクニックとして、シークレットクロックタワーやピクシーコクーン、現代デュエマの地龍神の魔陣は、序盤に使っても後半使っても強いため、このトレードオフを緩和するカードとも言えます。
【最終章】 最終100位に残るデッキ作り
本記事を書き出した時点は5月の上旬で、当初は2・3・4月の最終100入りリストを組んだ過程をお示しする予定だったのですが、大分遅れてしまいました…
ただ、怪我の功名と言うべきでしょうか、初級編・中級編を書いた後に組んだデッキで最終に残れたので、5月の最終100位獲得デッキには記事のノウハウが詰まっています。本記事のまとめに相応しいでしょう。もう7月だけど
構築例 リース超次元
新弾発売後、界隈の皆様が新たな強デッキを模索する中、筆者は…
トルネードシヴァXXと戯れていました^^
結果的にシヴァはデッキから抜けますが、抜ける過程が重要なので、ここから説明します。
シヴァは、どんな対面でも一度着地したら、火焔ボルシャック着地強制バトル即メビウス覚醒が狙えるため、「詰めろ」状態と言っても過言ではないプレッシャーがかかります。
その上で、元々選ばれたら2枚目のシヴァやGENJIを呼ぶ効果があり、コントロールに強いです。しかも、イーグルアイニーというサポートを獲得し、最速4ターン目に発射可能になった事で、ビートに対しても活躍できるカードに思えました。
本記事で、フィニッシャーは対応力が大事と言いましたが、シヴァは対応力の面でもキルターンの面でも有資格者に見えました。
ということで、まずは初級編の組み方に沿って組んでみました。
初級編
以下は、記憶に基づく再現です。
①切り札
→シヴァ、ボルシャックホール
②ブースト
③ドロー・サーチ
④防御トリガー
→ライフ、ホッピ、イーグルアイニー、XXチャージャー、ナチトラ、パグ
⑤残りの枠は強えカードを入れる
→フェアホ、GENJI、ザクピ
⑥色マナを調整(省略)
⑦実戦&調整(後述)
本記事を書くにあたり改めて5戦したところ、意外にも4-1できました。…やりおる。まあ、デッキとして成立してはいると思います。
デッキではあるのですが、回してみると、大きな問題点が判明しました。一体なんでしょうか。
それは、第1に、イーグルアイニーがシヴァに依存しすぎているという事です。
例えば、西南は必ずしもドルゲーザに依存しきってはいません。2体目の西南や、サイバゴン、ユキハナ等々、軽減先がデッキに沢山あり、腐りにくいです。軽減先がアドを稼いでくれる所も強力です。
また例えば、ヴォイジャーもアガピトスに依存しきってはいません。まず1ドローが物凄く大きく、自身がアタッカーにすらなります(青抜き4cアガピビートでの活躍)。また、ピカリエやボルシャリオのばら撒きにも繋がるのも強力です。
これらに対してイーグルアイニーは、シヴァしか軽減できないため、シヴァを引き込めないと立て損になりかねません。ドローに繋がる軽減先も無いので、デッキ全体の安定感も低いです。アイニーは、圧倒的に腐りやすいのです。
しかも、シヴァ自身もイーグルアイニーに対して少なからず依存しています。シヴァも腐りやすいです。
ドルゲーザやアガピは、相棒が引けなくとも破壊されても全然舞えますが、シヴァは舞えません。もっっさりします。
これらのことから、アイニーとシヴァは、ギリギリの戦いで腐ってしまう、辛勝を増やさないカードだと判断しました。
2→4→7の一見単純な動きに見えて、要求値の高いオーバーキルのコンボを通そうとしていたんですね。
さて、問題点を整理すると、
①イーグル+シヴァ(+ボルホ)は要求値が高い。辛勝を増やさない。
②高い要求値を可能にするサーチ・ドロソの基盤が貧弱。
となります。
ここで、②に関してデッキにマッチしたドローの基盤を開発できればよかったのですが、現状のカードプールの中には適切な回答は見つかりませんでした。
これを受け、自分はシヴァを深く愛していましたが、シヴァを…試しに、そう、試しに抜いてみて、もっと汎用性の高いカードを優先的に採用し、どうなるかを検証しました。(ここがデッキ作りの手順⑦実践&調整にあたります。)
問題点①は汎用性の高いバトル手段であるシャイニーホールが、
問題点②は呪文が増えたのでアヴァラルドが
使えるだろうと考えました。
この時点でデッキコンセプトは、アヴァラルドで超次元呪文を引き込み、ボルホ→シャニホで覚醒させることに変わりました。
トリガー枠で色マナを整理して、このように組んでみました。
この構築にしたら、途端に14連勝できました。ああ~強い。
パワカが詰め込まれており、なかなか「5C天門」味のある良い構築だと思います。このような経緯で、筆者は一応自力でリース超次元にたどり着いたのでした。シヴァは犠牲になったのだ…。
中級編
さて、ここからは中級編の内容に沿って構築を検討し直します。
まず、本デッキのアーキタイプはミッドレンジに該当します。一応最速5キル、安定6キルが可能で、その上でアヴァラルド4投の継戦力と、パワカによる突破力があり、更にそこそこのトリガーがあるので、ミッドレンジとして成立してはいます。
そして、キルターンに注目したアプローチに関しては、当時のキルターンは後ろ寄りで、あまり問題になりませんでした。というのも、開発時の圧倒的tier1はツヴァイだったからです。ツヴァイにキルターンで勝つ、つまり速攻で勝つのはほぼ無理ですから。
メタによるアプローチに関しては、新弾直後の混沌環境でしたが、ツヴァイだけはメタっていました。他はデッキパワー勝負ですね。本デッキは、ボルシャックホールやシャイニーホール等、自分の動きを通しながら小型の除去ができたので、理想的なツヴァイのメタり方だったと言えるでしょう。トリガーに関しても全てツヴァイを意識しています。特徴的なのは雷撃と火炎の城塞で、2面処理できてメビウスの覚醒に貢献できるあたり、デッキパワーを損なわずに上手く組み込めたと思います。デッキに自然とに入るジョンジョジョンも良かったと思います。
このように見てみると、一応環境でも戦えるように調整していることが分かると思います。
これでデッキはほぼ完成したのですが、最後に、メタカードの採用で頭を悩ませる事になります。ここからが上級編の内容にあたります。
上級編
悩んだカードは、パワードホールです。
当時世間的には、「リース超次元はジョンのおかげでBロマに有利」とされていました。しかし実際の所、Bロマはヴァーズやダチュラでジョンを容易に突破可能でしたし、普通に1ターンかけて立ててエンドで十分リース側がキツかったりしました。リース側が1ターンかけて5コストホールからジョンを立てる動きは、Bロマ側からしたらむしろありがとうだったかもしれません。
Bロマが本当に辛い動きは、2ライフ3ジョン4タッチャタッチャ覚醒の動きでビートされることでした。
この動きを可能にするパワードホール(あるいはキルホール・オーフレイムホール)の採用は果たして適切なのかどうか、それが1番の悩みの種だったのです。ということで、実際にパワードホールを使ってみて、複数の役割を持つ「事実上のパワカ」なのかを検討しました。
(ジョンの役割)
1.パワホ→5コスホールでジョンタッチャタッチャ全覚醒。特にBロマやツヴァイに強いが、次回GENJIでどの対面にも概ね勝てる。
メインプランたりうる強力な動きである。しかしアヴァラルド4投かつGENJI2投の本構築とは、方針が噛み合っていない。
2.黒緑速攻にはジョン覚醒前で十分強い。
3.リースミラーにおいて、相手の4tボルシャック+シャイニー構えのパーフェクトムーブに対して、後手でも4tドラヴィダにパワード構えが完全回答となる。一応GENJIも殴り返せるパワーになる。これはかなり重要なプレイ。
4.チャンプブロックを避けられる。特にリーサル時に役立つ。スパークが無い分馬鹿にならない。
と、これだけあれば十分「事実上のパワカ」のように考えられました。
…が、だがしかしbut!
使用感は「パワードホールを入れたら弱くなった」と叫んでいました。
よって、判決!不採用!これにて閉廷!!
最後は感覚論じゃねーか!!!
恐らく、アヴァラルド4投かつGENJI2投の本構築は、ミッドレンジと言いつつも実質コントロール寄りの構築で、低コストのアタッカーとは方針が微妙に噛み合っていなかったのだろうと思います。やり過ぎな程の5コスホールガン積み構築がトップの強さを支えていたのでしょう。パワードホールを入れるなら、根本的にそれに寄せた構築にするとよいかもしれませんね。
その後、コメチャ1枚を石盤に、フェアホ1枚をボルバルに変え、最終的な構築はこのようになりました。
本構築でレート1665になり、5月のAD最終46位になりました。ウレシーー!!
6月も、2名の方がこれを参考にした構築で最終100位に残ったようです。ウレシイネェーーー!!
おわりに
いかがだったでしょうか。
本当は5月頭に公開する予定だったのですが、なんやかんやでこの時期になってしまいました。ですが、5月・6月中に開発したデッキを多数載せられたのは、怪我の功名だったかと思います。初級編・中級編を書くことで、自分自身デッキ作りがうまくなったと感じていたので、その上達の成果を本記事に載せられたと思えば、悪くないかもしれません。
それと、自分がビート脳ゆえ、コントロールが疎かになってしまったのは申し訳ないです。コントロールデッキの組み方は、どなたかコントロール中毒者の方に任せようと思います。
かなり長い記事になってしまいました。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
それではさようなら。
ぬるぬる侍