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【連載】僕の親友は不法滞在12

 12 愛知での年末

 買い物はちょっとしたことは歩いて5分のコンビニ。あとは、歩いて20分のショッピングモール。そのモールはなんでも揃うので重宝した。そのほかに、大きい肉を売ってるのがブラジルショップ。さすが、東京にもないようなブラジル人によるブラジル人のための食料品店だった。

  逆にその他の所、特に観光は不法滞在ゆえにわざわざ行くことはなかった。むしろ僕のほうがHより、逮捕が怖かった。

彼のアパートには、どこからどう来るのか、年末の連休に続々とベトナム人が泊まりに来た。だいたい静岡浜松あたりから愛知、三重辺りまでのベトナム人が集まってきた。今もブラジル人とベトナム人が多い地域からだ。

「あと何人くらい来るの?」

「知らないけど、あと少しね」

「大晦日はここでみんなと?」

「ここじゃない。もっと広い所」

「それどこ?」

「少し近い」

なんではっきり言わないのか?アバウトすぎるのか、なんなのか?と思ったが、まあ僕もたぶんそんな感じになる。ベトナム人に詳しく聞くのは時間のムダだ。

もうHが東京にいた時から、ベトナム人の中に自分一人でも平気だった僕は、来る人来る人に話しかけていった。すると面白いことに気付いた。来る人は全て北部人なのだ。全員。とても興味深かった。

  そして大晦日当日の午前、車で知らないベトナム人がやってきた。そして僕たちを、少し近い、もっと広い所に連れて行ってくれた。


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