【連載】僕の親友は不法滞在 〜住〜
22 住
前回は仕事についてだったが、今回は衣食住の住について。これについても連載第11回でも書いているが、日本人は外国人にアパートを貸したくない。日本人にだって簡単に貸してくれないし。
実際彼のアパートは相場3万円から5万円くらいのところを悪徳不動産屋によって10万円で借りていたのだから。
彼は初めお兄さんと呼ぶ人と折半していたが、そのお兄さんがベトナムに帰国すると、一緒に住んでいる彼女と二人で10万円払わなくてはならなくなった。他のベトナム人を呼んで出し合えばいいものを、彼は居候させた。食事はおごるし、居候はさせるし、頭おかしいんじゃないかと、思う。が、それが彼の変えようのない性格だった。
僕は彼のことを猿山の大将と思ってた。体が小さく丸顔で、ひょうきんで、面倒見が良くて、世話をしたがりで。ちょうど孫悟空が旅に出るはるか以前に猿山の大将として猿たちのボスとして面倒見てたような感じだ。
たくさんおごるし、食事振る舞うし、泊めさせるし、。自分の身のこと考えて行動してほしいのだが。お金がないのに人のためにお金を使いたがる。これは生まれ持った性格のようなもので、治らないのでどうしようもなかった。それで家賃10万円、どうやって工面するんだよと僕が言っても、当初きかなかった。そして、それについて、僕に電話がかかってきた。