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僕の親友は不法滞在 26話 ~来日できなかった妹のその後~
26 来日できなかった親友Hの妹のその後
僕のせいで来日許可されなかったHの妹。
その後、彼女は日本でいう見合いみたいな形で結婚をした。
卒業してハノイから実家に帰って、その地域の立派な家の息子と結婚したみたいだ。結婚後すぐ二人でオーストラリアに出稼ぎに行った。
旦那は何の仕事か忘れたが、彼女はパン屋で働いた。
そのとき、僕は複雑な思いだった。本当なら、僕がまともな人間なら、彼女は日本で働いていたのだ。そしたら見合いなどもしていない。もしかしたら僕と結婚していたかもしれない。
いや、僕の真の希望でいえば、才女なのだからハノイでキャリアウーマンとしてバリバリに働いてほしかった。しかし、結局、すぐ結婚して、すぐオーストラリアに出稼ぎに行って。なんか変な感じがした。
なんで、彼女が日本あるいはオーストラリアで出稼ぎ者としてアルバイト的な低賃金労働者として働くのだろうか?ともやもやとして思っていた。
しかし、彼女はやはり違った。
夫婦で貯金をして、大型スーパーの青果コーナーを借り受け、さらに青果販売権を買い、持ち前の性格と才能で、儲けていき、今、大きな家に家族(息子が一人いる)3人で暮らしている。たった数年でとても裕福なゆとりのある暮らし。両親を遊びに来させたりもしている。
日本では絶対こういうことにはならなかっただろう。
それを考えたら、あのときビザ不許可になって、今となっては良かったと思っている。気恥ずかしいけどね。