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家事本、処方しておきますね。【5】

先週は3日しか夕飯を作らなかった。
2日分、旦那の飲み会が入ったからである。

ごはんいらない、と言われた瞬間、頭の中では「なぁんだ」と「ラッキーー!!」と「今週中に使いきらねばならない食材の量と賞味期限」がミキシングされ、ドロリとした微妙な感情が生まれる。
ドロリの原因は三つ目に挙げた材料に他ならないので、こういうときにもっと諸手を挙げて全力で喜べるよう、力を入れるべきは食材の保存法である。

そんなわけで、映えある三冊目はこちらです。

『もう献立に悩まない』(高木ゑみ著、マガジンハウス発行)

この本、何故かAma○onでは評価が低く。
献立本だけどビジュアル特化していないところが読みにくいとされてしまったのであろうか……。

これは私が兼業主婦を数ヵ月やってみて、手持ちのおかず(と、料理本に載っていた作れそうなおかず)を使いきった&毎日とっていた食卓写真が「やたら緑のとき←おそらく葉物を一気に使った」と「やたら茶色いとき」の二つに分かれることが判明したときに手に取った本である。

同著者の『考えない台所』は結婚が決まってすぐに読んだ本で、これもなかなか重宝したのだが、この著者が「道具複数持ち(味見スプーンを10本持つとか……)」を提唱していたのに対し、皿洗いが旦那担当の我が家では、洗い物が増えるのに比例して、旦那の不機嫌度と洗い物放置期間が長くなっていった。家事の分担を求めるならば、自分一人の都合だけを考えていてはいけないよね、という話である。

この本の(私の中での)最大の利点は、「え、ナニソレ、知らなかった……」という料理の基礎情報がところどころにちりばめられていることである。

たとえば

・水あげとおかあげ
……野菜をゆでたあとに、色止めのために水に浸けるのは水あげ。水っぽくなるのでざるのままにしておくのがおかあげ。

・青菜をゆでて保存しておくとき、しゃきしゃきしの食感にするには
……茎から入れて、すべてなべに入ったらすぐ引き上げる。

・まごわやさしい
……まめ、ごま、わかめ、やさい、さかな、しいたけ(うろおぼえ)
一回の食事に揃ってると素晴らしい食材。

など。
そもそもおかあげという概念すら知らなかったし、まごわやさしいって何だそりゃ、という新米主婦にである。「わからないことがわからない」状態の私を救ってくれたメシアといってもいい。

また、「途中まで調理」「名のない副菜」という考え方も、とても役立っている。

途中まで調理は、作りおきまではいかないけれど、青菜をゆでておく、にんじんを千切りにしてマリネにしておく、カットした野菜を冷凍しておく……というように、まさに「途中まで調理」しておいた食材のこと。汎用性があるので、たとえば青菜は今日はおひたし、明日はソテー、みたいに使える。

そして名のない副菜は、その名の通り、特に名前はついてないけど、ありもので作った副菜。ラタトゥユを作ろうとするとズッキーニやらパプリカが必要だけど、なすとピーマンのトマトソース煮なら材料二つで作れる。ラタトゥユではないが、確実にはずれのない味だ。
ニンジンの千切りを、残ってたツナ缶と塩昆布でいためて、しょうゆたらり。
(我輩はニンジンのいためものである。名前はまだない。)
あと、冷奴になんとなく残ってた梅干しのたたいたやつとみょうがをのせとく、とか。
(我輩は冷奴である。名前はまだない。)
こうして残り物で名前をつけるほどではないが、家族のなかで「これおいしいね」という副菜ができれば万々歳じゃん、という話。

……で、最初の話に戻るのだが、不思議なことに(私が不思議だと思っているだけかも)、食材の中には「生のまま保存した方が日持ちするもの」と「調理した方が日持ちするもの」の二つが存在する。
じゃあ前者だけ買って冷蔵庫に突っ込めば、と(昔は)思っていたけれど、栄養面を考えると、そうは問屋が卸さなかった。

たいそうなごはんは作れないが、大人二人分の生命維持を担い(と書くと、かくも壮大なるや家事のお役目)それなりの栄養をとりたい新米主婦の強い味方が「途中まで調理」である。

ゆでた青菜は、ブロッコリーは、その他もろもろ、冷凍保存ができる!!

これが判明してから、ロスがちょっと減った。
ごはんいらないって言われても、君が食べる予定だった食材は、冷凍庫なう、だかんね! 食べられる準備はできていなかった。

飲み会の回数が激しい旦那を持ちながらも、毎日ごはんを作るけなげなお仲間のストレスを減らす目的でも、ぜひおすすめしたい。

***

いかがだったろうか、時短家事本3選は。
正直、私の家事労働時間が減ったかどうかは、イマイチわからない。
今日も朝イチで洗濯物を干した私の出勤時間はギリギリだ。

とはいえ、「新卒一年目」レベルで疲れていた日々を振り返ってみると、今現在、夕飯を作った後に持ち帰り仕事を片付けたり、結婚式の準備を微々微々ではあるものの進める自分は、以前よりやや余裕がある気がする。

次の番外編でラストです。
主婦になる前、夢見ちゃった私の、それでも大好きな家事本をご紹介します。

つづく。

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砂東真実
サポートをご検討いただきありがとうございます! 主に息子のミルク代になります……笑。