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2020年8月12日(水)と、「はちどり」

起きて掃除をして、森。見回りと島民への声かけ、服を買い着替え、虫と魚をとって売った。時間になったので出発、ドトールでミラノサンドCとアイスコーヒーのS。今日はレディースデーなので映画です。オンライン化してから初めてのジャック&ベティで「はちどり」を観た。

主人公は14歳の女子中学生、ウニ。中2なんてもう遠い昔で忘れちゃったなーなんて思っていたけど、ウニを取り巻く人々それぞれの人生やあの時代の空気感にも想いを馳せてしまうような描き方をするから、はーすごいって思っちゃった。あんなお父さんにもお母さんにもお兄ちゃんにもお姉ちゃんにも、親友にも彼氏にも後輩にも物語があって、今を生きている。

塾の先生とのやりとりはもう全てが最高なんだけど、数回しか出ない病院の先生の言葉の「気にかけてくれてる感じ」にも胸を打たれる。親友の「あんたは少し自分勝手」という言葉に、友達から「のんちゃんって聞いてるようで聞いてないよね」と言われたことを思い出して苦笑い。なんだ、あの頃のことしっかり思い出してるじゃん。そうなんだよ、自分のことで精一杯で独りだと思い込んで過ごしていたあの頃。

そして言葉では語らなくとも雄弁に語る視線や風景の映し方、余白の数々にも唸りました。ウニの最後の表情を見ていたら、なんだか涙がこみ上げてきてしまった。私ももういい年だけど、独りよがりにならず、やられっぱなしじゃなく、指を動かして、生きていこうと思った。

思わず久しぶりにパンフレットも購入。その中にあったキム・ボラ監督へのロングインタビューがとても良かったので、その中の一部をメモしておく。

私がいい影響を受け、より人間として成熟できたような感覚を持てたのは、ヨンジとウニのような関係のときだった気がします。
それはつまり、ひとりの人間が人間としてお互いの本質を見つめ、互いの話に真摯に耳を傾けながら対話をして互いの存在を感じ、自分の心の弱さや不安といった本当の心を隠さず分かち合えるような関係です。このような関係が私の人生にとって大きな力になったし、私たち人間にとって一番必要な関係なのではないでしょうか。
私は、人生に白黒はなく正解もないといつも感じています。家父長制社会のなかで制度的に文化的に、女性が抑圧されているのは事実ですが、抑圧している側が勝者かと言えば、実はそうではない。権力を持っているように見える男性たちが、いざとなると自身の感情を上手く表現できず、弱々しくみっともない姿になってしまうことも少なくありません。女性に対して暴力を振るうのも、実はひ弱でおびえているからだと思っています。
ウニがたたいても開かないドア、ウニを拒絶しているようなドアを見せた後、カメラが引いて、団地の外廊下に並ぶ無数のドアを映し出します。こうして、同じように見えるドアのなかに様々な無数の物語があること、世界にはウニだけではなく様々な人たちの物語があることを暗示する。つまりこの映画が、ウニ個人だけでなく社会全体を扱っているということを示すオープニングでもあります。
今後も人間の生を見つめ、人々と真実を分かち合えるような映画を作るために努力したいのですが、そのような映画を作るのは難しい。でも、それだけの価値のあることだと思っています。商業的で安易な慰労ではなく、人間の悲しさや虚しさ、そうした喜怒哀楽を赤裸々に表現することで、人生は美しいと言いたくなるような作品を作りたい。またそのような作品を通じて、誰かが自分の生を見つめたり、慰労になるのだとしたら、それが私の生きがいなんだろうと思います。

キム・ボラ監督のこれからの作品がとてもとても楽しみだなと思ったし、すっかりファンになっちゃったな。

映画の後は汗をかきかきまっすぐ帰宅して、夕飯の支度。今夜の夕飯は、ISETAN DOORで届いた食材を使った献立。焼き餃子、トマトと生姜のサラダ、山芋豆腐、なめこと卵のトロトロスープ。食材の良さがよくわかる美味しさだった。餃子と山芋豆腐の皿は高島大樹さん、トマトのサラダは谷中の古道具屋で買った昭和のガラスの器、箸置きは忘れたけど気に入ってるやつ。

食後は疲れて頭痛と体の熱さで少し寝てしまい、23時半過ぎに風呂に入った。えらい。なんとなく女子祭りが来たっぽい気がする。頭痛とか、それでか…。明日は遠出なので早寝しなければと思いつつ、2時過ぎになってしまった。寝るぞー!

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