危機モデル
フィンクの障害受容危機モデル
危機→ショック(衝撃)→防御的退行→承認(ストレスの再現)→適応
マズローの動機づけ理論に基づき、危機から適応へ焦点を当てている。
脊髄損傷患者を対象とした障害受容に至るプロセスモデルとして構築
① ショック(衝撃)の段階
現実の危険を察知し、自己保存への脅威を体験する段階
強い混乱状態や無気力状態を示し、思考が混乱して計画や判断、理解が
できなくなる
看護介入
患者が混乱状態にあること、急性の身体症状を示すことに留意し、
あらゆる危険から患者を保護する
② 防御的退行の段階
危機や脅威を感じさせる圧倒的な状況から自らを守る段階
現実を受け入れられず、防御機制を用いて自己の存在を維持しようとする
看護介入
安全志向の援助を行う、共感・受容的態度で患者に関わる
③ 承認の段階
危機の現実に直面し、事実を承認する段階
この状況が圧倒的過ぎると自殺を企てたりする
再度安全が脅かされ、防御的退行に逆戻りすることもある
看護介入
適切な情報提供を行い、誠実な支持と力強い励ましを行う
④ 適応の段階
新しい自己イメージと価値観を築いていく段階
現在の能力や資源で満足のいく経験が増え、次第に不安や抑うつが
減少する
看護介入
広範な知識と技術、人的・物的資源を提供する、現実的な自己評価を
促す、成長に対する動機づけや強化を行う
看護目標
① 患者の安全を保障する
② 患者が障害受容の過程の中で新しい自己イメージや価値観を築きながら
成長できる
患者の到達目標
① 人的及び物的サポートが十分に得られる
② 現実的な自己評価ができる
③ 現在の能力や資源を活用して満足を得る体験ができる
コーンの障害受容モデル
ショック→回復への期待→悲嘆→防衛→適応
突然の身体障害を受けた患者が障害受容するプロセスモデル
急激な衝撃を受けて急速に辿るショック性の危機プロセスとは異なり、
緩やかな時間軸の中で障害を受容していくプロセス
看護目標
① ショックの段階
突然発症に対する患者の気持ちを看護師が受け止め、長い障害受容の
プロセスを支えていくために、患者が看護師に行動や感情を表出できる
信頼関係を構築する
② 回復への期待〜悲嘆の段階
患者が生涯抱えなくてはならない障害を伴った事実を認識したことに
対し、悲嘆作業を十分に行える
③ 防衛〜適応の段階
患者が新しい自分を発見し、広く社会と新しい関係を構築していく
【参考文献】
1)小島操子著 看護における危機理論・危機介入 改訂3版,金芳堂,2013.
2)山勢博彰編著 救急・重症ケアに今すぐ活かせるみんなの危機理論,
メディカ出版,2013.
3)古賀雄二・深谷智惠子編集 日常性の再構築をはかるクリティカルケア
看護 基礎から臨床応用まで,中央法規,2019.