アリスティデス・アキーノ中日へ
正直に言えば複雑な胸中である。
CINから契約を解除されたアリスティデス・アキーノがNPB、中日ドラゴンズに入団と発表されたのであった。
CINブースターとしてアキーノには随分と煮え湯を飲まされた記憶がある。
彼が打席に立つ度に
「T.J.フリードルとか使った方がよくない?」
「ムース(マイク・ムスタカス)と彼はAAAでよくない?」
といつも思っていたものだ。彼が活躍した日を思い出す方がしんどいというかなんというか。
本塁打を打たないわけではない。いや、きっと期待されていたと思う。
それよりもバットに当たらないのだからどうしようもないというか。
特に外野手にはジェシー・ウィンカーなどが軒を連ねていたり、バッティングでいえば数年ほど前いたアダム・デュバルがいたりしたからどうしても彼らと比較してしまい「ああ、うん」という気持ちになるのである。
当たれば飛ぶのだけれど今までいた誰かに比べると「○○がいればなあ……」と思わせてしまう存在であった。
そのアダム・デュバルも数年前チームを去った時というのは結構激しい選手の移動があった時であった。
足に自信のあったビリー・ハミルトン、三塁のザック・コザートなど将来性を感じさせる選手が数多くいたのだ。しかし結果としてみたらアダム・デュバルだけが生き残り、残りの二人はハミルトンが辛うじて名前を聴く程度でコザートはここ数年名前すら聞かない。
今年はウィンカー、エウヘニオ・スアレスとタッカー・バーンハートがいなくなったこともありダメージが大きく、後にオールスターにも出たブランドン・ドゥルーリーとルイス・カスティーヨもトレードに消えた。
期待の若手であるタイラー・スティーブンソン、ジョナサン・インディアも怪我が長引きとにかくチームで打てる人間いなければ守りにも決定打に欠け、いつのまにか大量失点と貧打に泣かされた、CINを応援しているファンにとって重い一年であった。
その中でのアキーノの退団であるから「まあ、そんなもんだろう」というか「まあ、新天地で頑張れよ」というような気持ちである。まあ、レッズの打席にまた立ってもらいたいか、と言われたら「そいつよりは他の使ってくれよ」「あとそろそろボットも諦めろよ」と言いたくなるのが本音ではあるが。
とかく複雑な気持ちなのである。
そんな彼が中日に行くというのだから複雑な気持ちはさらに加速する。
中日ファンはすごく喜んでいるのだが、一年間辛酸を舐めさせられ続けた私にとって「そいつで喜ぶのか…」という気持ちと「新天地で頑張ってほしい」という気持ちが帯同している。
過去メジャーで活躍しなかった選手がNPBと舞台を変える事で活躍する事はある。今過去の助っ人外国人のMLB時代の成績を調査しているが、想像以上に年齢や絶頂期といったポイントが重ならないといかにMLBで活躍していてもNPBで軽く活躍できるわけではない、という結論が出つつある。
実力が落ち切ったベテランでは活躍の可能性はないし、経験の浅い若手ではものになるまで時間がかかる。ここは出身が日本であろうがアメリカであろうがドミニカであろうが代わりない。絶頂期にどの世界にいたかというのは本人のキャリアを決めるうえで非常に重要なのである。
年齢的にはちょうど絶頂期に入っていてもおかしくない(裏を返せば年齢的にひどい成績だったから上がり目なしとも捉えられたとも)わけで、そのタイミングでNPBに来るのだから大活躍の可能性はある。
アメリカでは打撃がイマイチではあるもののNPBに来てみれば投手とかっちりあって活躍するなんてパターンは多い。タフィー・ローズやアンディ・シーツなんかはまさにそのパターンだ。
そうなればいいのだが、と思うところではある。
少なくとも応援しているチームのユニフォームを着たプレイヤーとして日本に来るのならば頑張ってほしいものだ。
少なくとも三振を連発してファンを苛立たせなければいいのだが。実際CINでのこの一年はそんな感じだった。
胸中の不安は増すばかりなのであった。