5か月ほど外国人助っ人を調べていて思った事
1,特徴が見えてきた
偏見で語る助っ人外国人のMLB成績bot(https://twitter.com/henken_suketto)というアカウントを初めて5か月ほど経っている。大半の選手がメジャーでは活躍出来ていないため、ほとんどマイナーの成績を観る毎日なのだがこれが意外と面白い。
意外な選手と意外なつながりがあったり、どうみたって日本で無理やりな起用をされていた事を知ったりと知る事は多い。外国人の成績を観る事で改めてNPBの「助っ人外国人観」というのが見て取れるのである。
案外ホームランはあまりだが走らせると強い選手だったり、なんでこのような選手を取ってきたのか理解に苦しんだり、といった事が非常に多い。ただ日本は一概に「この選手は外国人だから」と十把一絡げにして安易なイメージを持ちたがるところなどが浮き彫りになったりするのだ。
それを今日はちょっとだけ書きだしたいと思う。
2,どう見たってホームラン主義
これは現在もそうなのであるが、助っ人外国人≒ホームランという概念はかなり蔓延っている。
ほとんどの選手がNPBに来て本塁打を増やしている。ではその選手はどういう選手かと言われたら全く別だったりすることがある。
例えば今日のタイ・ゲイニーなどはその最たる例だ。(Ty Gainey)。
マイナー全てで見ると本塁打89に対して盗塁数223という成績を残している。3Aに限定すると現在わかる範囲では本塁打と盗塁数が同じ48。正直本塁打をメインにした選手ではない。足でひっかきまわして時に本塁打も打てる中距離打者という方が正しい。
ところがこれがNPBに来ると急に23本塁打となり、盗塁数は一気に減る。翌年は無理もたたってアジャストも崩されて10本塁打。
使い潰されたも同然のシーズンを過ごさせられる事になる事が多い。
これは多くの国が外国人の制限枠をつけているからであろう。
数少ない枠を利用するには基本的にポイントゲッターになる傾向が多い。そのために少し打撃がよければとりあえず取ってみて本塁打を狙わせることが多い。
そして正直1シーズンは活躍するのだが2シーズンはもう体がついていかなくなるのだろうか完全に打撃を崩して退団、ひどければ引退する事も多い。
近年でこそ多くの媒体が増えたためにどういう選手か分かるのだがまだまだ海外の選手を知る手段が少ない90年代などは本当に無茶な起用としてダメにしている、を繰り返していたりするのだ。
選手も段々年齢的にメジャーが見えなくなってきた選手が多いから無理をして一瞬よくて途中でだめになって消えていく。
こんなサイクルを繰り返している。
3,実績がある選手をやたら有難がり、簡単に見切る
著者は割とマイク・グリーンウェルを擁護する立場にある。
勿論グリーンウェルの阪神時代を全て肯定するつもりもないのだが、それにしたって日本では馬鹿にされすぎである。
彼が通算成績.303(4623-1400)と、通算成績3割打者である事を知る人は少ない。そして460という四球の数が彼の選球眼の凄さを知らせる。(Mike greenwell)
彼が目立っているだけで結構こういう過去大活躍していながら峠を過ぎた選手を呼んで、マスメディアが壮大に煽った挙句、怪我や全盛期とは程遠い姿になった選手がプレーして、ファンから馬鹿にされてフェードアウトするみたいな事例は多い。勿論多額の契約をしたからそれも有名税みたいなところはあるが、それは辛酸を舐めたファンが思うくらいで、ネットミームのように嘲笑されていいわけでもあるまい。
大抵そういう選手は数パターンに分けられる。
一つはすでに峠を過ぎているのを球団が拾ってきたパターン。
これが90年代までは本当に多い。大抵怪我をしていたり、最晩年姿をさらしにきた、みたいなパターンが多い。
大型契約の選手は大概巨人、阪神に多いがヤクルト、太平洋クラブ、ロッテ、ダイエー、近鉄ととにかく「大リーガー」の冠と共にやらかしている事が多い。存外絶頂期に入ったけれどロースターの枠がなくて燻っているマイナーリーガーやメジャーの控えを呼んだ方が活躍する傾向が多い。
それこそ阪神ではメジャー時代の大半は控えに甘んじていたランディ・バース(Randy Bass)、トム・オマリー(Tom O`Malley)、マイナーでは低三振かつ三割打者のブーマー・ウェルズ(Greg Wells)、と枚挙にいとまがない。
または下位球団でスタメンを貼っていた選手などが多い。
スティーブ・コックス(Steve Cox)などはその最たる例だろう。万年最下位のタンパベイ・デビルレイズだからこそ出場出来たみたいなところがあり、それになんとか答えてはいたりするのだが、結局やりたいようにしかやっていなかったりしてどこかに不調を抱えていたりすることが多い。スタメンで活躍するために無理してすでに爆弾持ちなんてのは多い。
それを日本でも「現役メジャーリーガー」と無理して使って爆発、なんてのは少なくない。無理してメジャーに残ったような選手はどこかしら無理をしている傾向は多い。
この2パターンで構成される。
なので大概アメリカでの成績を見ると驚く事が多い。
例えばダン・ミセリが日本に来た時にはすでに631試合も登板しているほどの選手であった事など知る人も少なかろう。(Dan Miceli)。
ネタにされがちであるが、それはそこまでボロボロになっているのをすっぱ抜いてきたチーム首脳陣のしたたかさである一方、日本だったらアメリカほどではなくても活躍するだろうという浅い見識から銭失いをしてしまう事が多いのだ。
正直、こういうベテランを取ってきて全く作用せずに終わらせる、NPBを一番舐めているのはチームの首脳陣である。その次に「ボロボロでも活躍するだろう」と浅く考えて入団する選手だ。
そんなロートルが活躍できるほどNPBは甘いリーグではない。これは80年代から既にそんな感じだったのだ。
4,助っ人外国人は映し鏡
このような特徴が見えている。
意外と無理させずに一番につけた結果長く活躍したエステバン・ヘルマン(Esteban German)、マイナーでは生粋の長距離砲であったブラッド・エルドレッド(Brad Eldred)を31という絶頂期に連れてこれた事などの方がチームにとってかなり影響が強い。
またダリル・スペンサー(Daryl Spencer)やドン・ブレイザー(Don Blasingame)のように選手としてはロートルに入りながらも他の選手にどう影響させるか、そのノウハウを広げていくかでチームの形が変わるのならベテランの起用も間違いではない。どういうチームを作るうえでどのような選手が必要なのか、が重要なのである。
これが上手くいけば助っ人外国人は神外国人と化すであろうし、一方でどれだけ派手な成績を残していてもダメ外国人になる。
チームにどう作用させるのか、である。
どんなにいい選手でもここの発想が欠けている選手の取り方をしても活躍しきれない。または簡単に使い潰して終わり、みたいになる。
現場と編成がどれだけ連携出来ているのか。これが映し鏡みたいに現れるのが助っ人外国人なのである。