ショートショート 「戦場に響いた銃声」
私のこの命には、大した意味はない。
本気でそう思っている。
捨てるために生まれたような私は、今日も戦場へ出向く。
この世界は広大で、豊かで穏やかな日々を過ごしている人がいることも知っている。
かつては私もそっち側のカラフルな世界で暮らしていた。
争いのない、平和な世の中。
暖かい言葉と笑顔が溢れ、人々が助け合っていた。
でも、それはもう昔の話。
今は、目を開けてあたりを見渡すと、殺伐とした世界が広がっている。
あちこちで爆撃が起こっては火が上がり、周囲を燃え尽くしていた。
「キャー!」
「やめて!なんで!」
「ぎゃー!助けて!」
そんな、声にならない声が聞こえて来るようだ。
すっかり殺風景になったこの世界では、
自分が何に怒っているのか、
なんの目的で戦おうとしているのか、
誰と向き合っているのか、
もうわからない。
攻撃を続ける日々に変わらないが、そこに意志はない。
「いつまで続くかな、この命。」
久しぶりにそんなことを考えながら、昼食のカップ麺をすすったときだった。
””BAN!””
いつの間にか私に向けられていた、銃声が鳴った。
私のアカウントが1つ消えた。