
VancouverでRNとして働く
こんにちは。ご無沙汰しております。以前の記事からだいぶ時間が経ちましたが、その間にRNとしてNorth Vancouverにある病院のGeneral Surgery Unitで働き始めました。勤務開始から1ヶ月経ち、少し進展があったので、今回は私の登録状況とRNとしてどの様な日々を送っているのかを記載したいと思います。
仮登録看護師(Provisional Nurse & TPE)
私はNCAS(現Inspire)を2023年9月に終え、その後BCCNMのDecision Letterが同年11月に届きました。結果は「仮登録看護師として250時間のTPE(Transitional Practice Experience)を修了してね」との事でした。TPEとは、病院に仮登録看護師として就職し指導者の監督下で看護をするという課題です。ただ就職するので、お給料が頂けるので有り難いです。このTPEが終わると正看護師として本登録が出来ます。
そこで私は、2024年1月1日に仮登録看護師(Provisional Nurse)としてBCCNMに登録しました。仮登録は、自分のタイミングでBCCNMの自分担当の職員に「仮登録お願いします」というメールを送ります。TPEには期限があり、仮登録から1年以内に終了しなくてはいけません。また登録料が発生しますが、就職先の病院のHealth Authority * (私はVancouver Coastal Health:以下VCH)が後で払い戻しをしてくれます。


*Health Authority
BC州にはProvincial Health Authority, Regional Health Authority, First Nations Health Authorityがあります。Provincial Health AuthorityはBC州のプログラムや心臓オペ、移植、がん治療など高度に専門化されたサービスを提供します(BC Cancer Agency, BC Children's Hospital, BC Transplantなど)。一方でRegional Health Authorityは5つの各担当地域で医療サービスの運営・計画・提供を行っています。(Fraser Health, Interior Health, Northern Health, Vancouver Coastal Health, Vancouver Island Health Authority)。

TPEといっても、病院内でTPE専用の特別なプログラムはありません。VCHが提供するRegional Orientationsと病院が提供するOrientations for IENsを受けながら病棟で勤務し、250時間が過ぎたらEducatorと話し合いをしてEmployer Evaluation FormをEducatorからBCCNMに送信してもらいます。
私は一番最初にEducatorにTPEを伝え、BCCNMからのDecision Letterを共有しLimits & Conditionsを理解してもらいました。
私の病院の場合(個人によるかもしれません)、IENsはプリセプターと勤務するBuddy Shiftsが18回あります。それと上記で述べたOrientationsがあるのですが、EducatorがOrientaionsの期間もTPEに含めてくれたので、勤務開始から約1ヶ月でTPEを修了しました。
初勤務前
私の場合、日本でVGH, Lions Gate Hospital(以下LGH), St. Paul's Hospitalの面接を受けました。残念ながらVGHは落ちましたが, その他からJob Offersを頂き、LGHを選びました。Offer Letterの内容からWageやBenefitsはさほど変わりはありませんでした。
これはどの病院でも同じだと思うのですが、初勤務前に大量のemailとLearning HubというOnlineのコースが山のように送られてきます。emailに関してですが、これは本当にいろんな部署や人から送られてくるので、最初は本当に混乱します。中でもOnboarding Teamは、働き始める際に必要なIDカードや給料の支払い銀行、beneficiary、Tax、通勤手当などを担当しているのでしっかりと目を通したほうがいいです。Onboarding Portalのリンクが送られるので、そのポータルに全ての項目と提出期限が載っています。私はカナダに戻り、就職を決めてから勤務開始まで2週間ほどしかなかったので、めちゃくちゃダッシュで終わらせました。その他にDiploma、CPR Certificate、Licensing/Registration、ワクチン接種の提出があります。
この登録作業に伴って、Learning Hubのオンラインコースが本当に山の様にあります。難しくは無いですが、量が半端ないので最後の方はささーっと読み流していました。ただし各項目の途中で小テストと最後にテストがあるのである程度読まないといけませんでした。テストは80%が合格ラインですがやり直せます。Learning HubはOnboarding Teamが修了状況を把握しているので、終わってないと連絡がきます。また、RegionalやIEN Orientationの予習として定められているので必ず期日内に終わらせたほうがいいです。
本来であれば、Regional Orientations→IENs orientations→Unit Orientation→Buddy shiftsという流れですが、私はUnit Orientationから始まったので訳がわからないままUnit Orientationを受け、Buddy Shiftsに入りました。

Buddy Shifts
私の勤務する6階は、6Wと6Eに分かれており、整形外科と一般外科があります。最初の3回は整形でしたが、4回目からは一般外科に勤めています。通常、日日夜夜/各12時間(0730-1930/1930-1730)という勤務ですが、最初は慣れるために日勤でした。初日はプリセプターについて回り、2回目から患者さん1人受け持ち、3回目から2人、5回目から3人、6回目から初夜勤の4人受け持ちという流れでした。IENs Trajectoryというのがあり、シフト毎に何人受け持つなどが書かれています。カナダでは学生さんで、まだ看護師国家試験に合格していなくても4人受け持ってバリバリ働いています。日本と違って働き始める時には既に戦力です。それを見てショックを受けた私は、慣れるためにも受け持ちを早めに4人にしてもらいました。
また、こちらのナースは個人で独立して働き、4人の受け持ち患者の全てのことを1人で行います。相談は勿論しますが基本自分の責任です。

病棟の流れ
勤務は0730-1930/1930-0730です。朝は情報収集、申し送り、病棟ミーティング、VS測定・アセスメント、配薬を9時までに終わらせて11時までに記録(その間にオペ出し、検査だし)、日勤Buddyに申し送りして30分休憩、記録とオペや検査後の患者の対応、医師のオーダーがあれば対応、入院・退院、昼休憩(45分)、いろいろ対応しているうちに15、16時。2回目の30分休憩。この時点で記録ができてないと焦り始める。なんやかんやと忙しい。 午後からも配薬、VS・アセスメント、オーダー確認、点滴交換など結構ある。オペは午後に帰ってくるので、その対応とオーダー確認。時々なんのオーダーも入ってなくて焦る。せめて痛み止めくれ。Hydromophoneのオーダーが多いけど、オペ後なのにPOしかなくて、Drに電話。急いでSubQ留置。IVは2分以上かけて投与なので出来れば避けたい。
夜勤は同じバージョンですが、検査もオペもないから寝てくれる限り穏やか。休憩3時間!でもこの前は夜間せん妄で患者さんが不穏になりNG Tube抜いたので再留置しました😭
最大の壁
一番苦労しているのが、やはり英語です。特に申し送りとDrや他職種への電話が緊張して苦手です。私がIENと分かると丁寧に怒らず対応してくれる人もいますが、イラッとしている人もいます。カナダ人のナースでもDr報告嫌な人が多いですが、私的には日本の医師よりマシなので、なんか言われても「ごめんなさい」で終わります。
あとは、全てが英語なので時間が掛かります。情報収集、医療器具、ドレッシング、輸液ポンプ。。。。どれも英語なので、最初は本気で「なんやそれ?????」と訳分かりませんでした。略語が多いのも足を引っ張られます。また病棟の流れや人、物品の位置など全く分からない中、入院・退院・オペ前・オペ後・輸血・採血などバンバン詰め込まれたので、「意味不明。めちゃ怖ぇ」と思っていました。
情報収集は勤務開始30分前に、パソコンを確保して(いつも奪い合い)4人分情報を書いてから申し送りを聞きます。申し送りは、ナースステーションで行うのでめちゃくちゃ煩くて「もう一回言って」と頻繁に聞いてます(笑)。Codeも頻繁に院内放送で流れるので、「Disaster」と思いながら仕事してますwww。略語に関しては、IEN Work ShopのOne on OneをZoomで受けた時にIEN Educatorに相談してリストをもらいました。申し送りは、Cheat Sheetを使い、休憩時間に情報整理と患者さんの状態を頭に入れて申し送りに備えています。
また、VCHは記録はコンピューターです。Cerner(EPICの前の前の世代www)というシステムを使っています。だいぶ慣れましたが、どの項目に何があるのか謎な事が多々あります。これは場数分で慣れるしかない。最近記録の抜けは少なくなりましたが、例えば輸血を取りに行く為の紙を印刷する必要があり、それがパソコンの中のどの項目にあるのか等今だにあやふやです。
やたらと多い職種
今では少し慣れてきて、誰がなんの職種か分かってきましたが、最初はいつも「あなたは何者?」と思っていました。MRP、Hospitalist、Nocturnist、PCC、CNE、Mentorなどなど。日本より職種が細かいです。
良い所は誰に聞いても良いということです。IENに対するサポートが良いと私は思います。就職後18ヶ月はIEN Work Shop (Paid)に参加できますし、Zoom One on Oneや病棟にはMentorがいるので、Elbow to Elbowで教えてくれます。手技に自信がない時や、薬のCompatibilityを知りたいときは、「VCH SHOP 」というwebsiteで何でも調べられます。Buddy Shiftsもカナダ人は4回ですが、IENsは18回です。誰にでも聞きやすい環境が揃っていると思います。
因みに日本人看護師は私を含めて病院内に2人です。日本人というと、患者さんに珍しがられますwww。IENsの中には、日本人が全く英語を仕事でも使わないことを知っていて、「大変だよね」と言ってくれる人もいます。
かなり端折って書きましたが、以上が私の勤務開始1ヶ月ちょっとの感想です。病棟の流れや患者さんの対応などは、ここではかなりおおおまかに書きましたが、いつか書けたらなあと思っています。あと4回のBuddy Shiftsの後に独り立ちが待っています。緊張しますが患者さんと関わるのは楽しいですし、もっとアセスメントをマスターして看護介入に役立てたいです。
こんな話でしたが、少しでもどなたかの参考になれば幸いです。