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Feed back on "Photo session 2021"

おかげさまで京都kumagusuku SASでの写真展が終了いたしました。

写真のみの作品展は土居・町田にとってこれが初めてでした。土居も町田もこれまで様々な展示を経験してきましたが、発表の表現媒体が違うだけで、これほど違うことが起こるのだということがいくつも起こり、美術家としての経験値を高める展覧会となりました。

技術面では、搬入設営の際に、写真の扱い方に慣れずアクシデントが多々起こりました。そのため、写真作品の装丁方法や設置機材の構造の工夫など、写真展示に必要となる新たな技術を獲得することにつながりました。

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今回の作品の印刷には、本団体の拠点となる香川県高松市内での印刷業者を利用しました(http://photo-factory.jp)。そこのご店主は写真の扱いに慣れていない私たちに、裏打ちの仕方や大判写真の展示方法など、様々なアドバイスをしてくださり、更にご店主は香川から京都へ展示を見に足を運んでくださいました。この写真展を行えたことで、新たな技術と拠点での活動コミュニティを広げることとなり、大変嬉しく思います。

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絵画は、置かれた場所、時間、光の種類が違えば、全く違う光り方になる。しかしこれらの絵画作品は、特に屋外での常設などには耐えないものであるため、多様な環境下で鑑賞する機会はほとんどありえません。通常はギャラリーや美術館での照明や窓からの自然光での鑑賞となります。でもこれらの絵画はもっと色々な表情を持っているはず、ということを出発点にこのワークは始まりました。

土居にとって、二次元の絵画を二次元の「写真作品」にするという試みは、物理的にも形而上的にも新鮮な挑戦です。それも、他者の作品が被写体となります。撮影時は光や周りの環境にどう配置するか、その絵が匂い立つ気配を感じ取りながら作業を進めました。またレタッチ作業の段階での葛藤もありました。これは決して、作者の町田が元より考える“一番その絵画らしく見えるレタッチ”をすれば良い、という作業ではありませんでした。
素材が心地よい状態。土居はそれを指針に舵を取り続けました。
写真に映る絵画に、町田の意思は不思議と感じませんでした。おそらく渾然一体となったのだと思います。
今回の写真たちにも作者の意思が渾然一体となって見えなくなることを、土居は望んでいます。

町田にとっては、作者としてこう見せたいという欲はありながらも、最終的な決断はあくまでも土居に託すという距離感は、例えば作品が売れて自分の手から離れた後のことを想像させることにつながりました。
町田はいつも制作中は、作品に対してある種の役割を強く要求しながら描いており、展示を終えるまでその要求は続きます。しかし、作品を買った相手が、その後どのような場所にどんな風にそれを飾るかというところまで、作家のコントロールが及ぶことは決してありません。別の人の元へ渡った後、作品はそんな作家の要求からようやく解放されて、そこでは別の役割を果たしている。町田はその現象をいつも不思議に感じていました。
作品は作者の町田の元にある限り、例えば今回の写真のような在り方で出現することはありえない。町田はそれを今回のワークにおいて、目前で体験することとなりました。
結果的に、町田が所属している京都のギャラリーのオーナーをはじめとした、彼女の絵画作品を何年も前からよく観てくださっている方々から、今後の彼女の絵画作品やこの団体活動の展望を期待する旨のリアクションをいただくことができました。

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そして、2人が滞在中に利用した飲食店の店長さんや民宿のオーナーさんもご来廊くださったことで、お互いの事業をSNSで紹介しあうなど、様々な層の皆様との関わり合いの中で、展覧会が盛り上がっていくのを感じました。地方都市である京都ならではのコミュニティの強さやその魅力を感じました。

今回の写真作品は全て京都で撮影されたものです。京都で過ごしたことのある人なら誰でも知っているような場所を選んで撮影しています。

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今回のワークは全体を通して、京都という土地と、会場のkmagusukuを含めた京都で事業を行う関係各所皆様との繋がりを築く事になりました。それが、コロナ禍に於いて観光業以外での街の活性化が深刻な課題となる京都において、京都府外を拠点とする私たちが、そこで展覧会をやる大きな意義となったと思います。

今後も濡れた地蔵PROJECTは、美術家同士も、それを支えてくれるファン層や各業者関係の方とも、多様で横断的な繋がりを築いてゆくことで、今後も都市・地方に関わらない関係業界全体を活性化させることを狙い、活動を展開させてゆきます。


濡れた地蔵PROJECT “ Photo session 2021”
 土居大記×町田藻映子

【会期】
2021年12月10-12、17-19日
11:00 - 17:00

【会場】
kumagusuku SAS
〒602-8126 京都市上京区中書町685-2
HP👉 https://kumagusuku.info/sas

【出品作家】
・土居大記 (Hiroki Doi)
学生時建築を学び、卒業設計を機にアーティストになる。”美しいは生ものである”という考えから制作している。
自然現象を素材としてインスタレーションやパフォーマンスを行っている。
常にまわりで起り続けている小さな変化を抽出して振り付けることが作品の主軸にある。それらの空間では気づくことが連鎖する。即興である。ダンサーとの共同制作も行っており、自身も制作の過程で身体表現のメソッドなどを経験している。
主な表現媒体はインスタレーション、パフォーマンス、写真、詩、製本。
HP https://www.hirokidoi.com/


・町田藻映子(Moeko Machida)
京都市立芸術大学大学院修了。「生命とは何か、人間とは何か」を主題に、岩石やそれに関わりの深い生物・人の文化に焦点を当てて絵画制作を行う。かねてより、身体を通した主題へのアプローチを重視し、コンテンポラリーダンスと舞踏を学ぶ。京都府新鋭選抜展2021」(京都文化博物館、2021年)、「ART OSAKA WALL by APCA」(大阪、2020年)出品。「濡れた地蔵PROJECT 土居大記×町田藻映子」(海老原商店(東京)2020年)、個展「生きる者たちを想う為」(GALLERY TOMO(京都)2019年)、「名前を知らない死者を想う為」(GALLERY b. TOKYO(東京)2019 年)、「MoekoMachida Solo Show」(Marsiglione Art Gallery(イタリア)2017 年)等を開催。「シェル美術賞展2018」( 東京) 入選。「飛鳥アートヴィレッジ2017」( 奈良県明日香村) 、「Feldstärke International 2014」(PACT Zollverein(ドイツ)、montévidéo(フランス)、京都芸術センター) に参加。HP https://www.moekomachida.com
Instagram https://www.instagram.com/moeko_machida/


◉ 文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

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©︎ 土居大記・町田藻映子











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