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暗黒版ハングオーバー「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」
2019年アメリカ映画。
監督はあの「スイス・アーミー・マン」のダニエル・シャイナート。
スイス・アーミー・マンは僕が好きな映画なんですけど、内容をざっと説明しますね。無人島に漂流し、自殺しようとする主人公の前に突如現れた溺死体。死体は不思議な力を持っていて、オナラの力でモーターボートのように推進し、主人公を助けてくれます。他にもコンパスになったり、ボウガンのようになったり、魔法瓶のように体内に水を大量に溜め込んでくれます。ちなみに死体役はハリーポッターで有名なダニエル・ラドクリフです。よく、こんな役を引き受けたなってくらいトンデモ映画なのですが、これがなかなか感動できる作品になっています。
ちなみに製作はミッドサマーのA24。このミッドサマーも傑作だったので、いやがおうにも期待が高まります。
ざっとしたあらすじ
中年男3人がバンドの練習をやってるんですよ。で、練習が終わった後に「今夜はハメをはずすか!」などと言い、お酒のがぶ飲み、花火、立ちション、的をならべて銃を発砲したり馬鹿騒ぎをします。家のまわりはなにもなく、田舎が舞台なので大した迷惑にならないんでしょうね。
で、酔いが覚めた時、仲間の一人、ディックが出血してるんですよ。視聴者からしたら、一体なにがあった?と戸惑いますよ。てんぱった二人はディックを車に乗せ、近くの救急外来病棟に連れて行きますが、入り口に置いて逃げます。
そして医師は手を尽くしますが、ディックは亡くなるんですよ。その夜、なにがあったのかは語られない。主人公のジークとアールは事件を隠蔽したいのか、誤魔化したり嘘をついたりするんですけど、それがまた稚拙なんですよ。血のついた車を川に投げ捨て盗難届けを出したりね。
それにたいして保安官も動き出すのですが、事件のない田舎町です。保安官が実に頼りない。一人は杖をついた老婆だし、一人は太った女性。見るからに大丈夫か?と不安になります。捜査パートが始まり、主人公たちと絡むのですが、保安官サイドもアホなので高度な心理合戦や駆け引きなどあり得ない。行き当たりばったりでグダグダな流れです。
中盤、医師の口からディックの具体的な死因が明かされるのですが、馬鹿らしいやら情けないやら、でも笑えなくてシリアスな雰囲気になっていきます。ディックの死因についてはネタバレなどを見ないでおくことをすすめます。知っているのと知らないのとでは面白さがまるで違います。
アメリカの田舎特有のくすぶっている感じが全編において、みなぎっています。男子特有の馬鹿っぽさというのは嫌いではないんですが、悪ノリも過ぎると惨事になるよなと教訓にもなりました。