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ドラマ「こもりびと」を見ました。

最近、ひきこもり関連の特集をよく組んでいるNHK。その関連で製作したドラマ「こもりびと」を見ました。


「こもりびと」ってなんだか「おくりびと」みたいでカッコいいですよね。「引きこもり」ってフレーズ、ネガティブな感じがするし。

ひきこもり・ニートを題材とした作品にはけっこう好きなものがあります。アニメでは「N・H・Kにようこそ!」ドラマでは「デート〜恋とはどんなものかしら〜」や「俺の話は長い」などがあります。いずれの作品もコメディとしてのキレがあり、ペーソスただよう人間ドラマとなっています。

いざ、期待をして視聴。松山ケンイチが演じる主人公は、10年以上引きこもり生活を続け、もはや四十才になっている。

これ、ガチの引きこもりのやつやん! 上記三作品など、主人公がまだ三十代や二十代だったりするし、深刻さがたりません。こもりびとに比べると素人みたいなものです。

父親役の武田鉄矢がガンで余命半年だと宣告され、自分が死ぬ前に息子を一人立ちさせねばと行動を始めるという、重たい設定やで、ほんま。

でもこれ、8050問題っていって、氷河期世代に就職に失敗した引きこもりの親が高齢化して共倒れになってしまうという、深刻な社会問題になることが予想されてるんですよね。

で、ドラマの話。SNSに「カチナシオ」のハンドルネームで愚痴を書き連ねる息子にたいし、父親は「パンク先生」の名でレスを返し、SNS上での交流を深めていきます。正体をかくして親交を深めるのはコメディの鉄板ですが、SNSというあたりが現代的ですね。

氷河期世代のカチナシオさんは、大のブルーハーツ好きで、投稿にやたらブルーハーツの歌詞を引用します。グッとくる反面、気恥ずかしさもあります。

脚本や設定的にはベタなんですが、それだけこの親子のようなケースが増えている気がします。ドラマでも母親が死んでから、特に父子の会話がなくなった感じがしますし、基本的に父と息子って腹をわった会話なんてしないですもんね。

老害感の強い武田鉄矢さんの父親役でしたが、飛び降り自殺しようとする松山ケンイチに「おうちに帰ろう」と抱きしめるシーンが印象的でした。「おうち」なんですよね。漠然としたイメージですが、嫌な人のいない安全な「おうち」なんですよね。

よく認知症のお年寄りが「家に帰りたい」と口にするらしいですが、それって子ども時代の故郷だったり、遠い昔のどこかだったりするんですよね。記憶の中のどこかには安心できる場所や時間があったんでしょう。自分もよく「ここではないどこかに行きたい」なんて言ってしまいます。

ドラマでは父の死後、息子は自立できそうでした。でも実際はどうなんでしょう。アルバイトや単純作業でもいいから食いつなぐことができればいいのですが、生活保護を受けたり、ホームレスになるパターンも多い気がします。

いまいち暮らしがよくなる感じもしないし、昭和にくらべて「パワハラ」が減ったとか言われても、いまいち実感がわかないですよね。自分が弱すぎるのか、それともこの社会のほうが狂っているのか? いろんな葛藤はありますが、立派に生きる必要はないので、せめてたくましく生きていけたらなと思います。あとやっぱり人には優しくしたいし、優しくされたいですよね。


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