夢のはなし

生後4ヶ月の息子の寝かしつけが終わり束の間の休憩時間、と思っていたところに電話がかかってきた。表示されたのは親友の名前だった。いつもLINEで『今電話しても大丈夫?』と丁寧に断りの連絡を入れてからかけてくるのに、急に掛かってきたから何事かと思いすぐに電話をとった。

「もしもし?」「急にかけてごめんね。元気?」そういえば少し前にLINEを送った時仕事を休んでいると言っていた彼女。「◯◯こそ大丈夫なの?」と聞くと泣き出しながら「元気なんだけど今少し休んでて、でも本当は△△(私)に会いに行きたくて..」と言葉を詰まらせながら一生懸命話してくれた。定期的に連絡を取り合っていたけど、私の育児を気遣ってなのかパタリと連絡が途絶えていたので心配していた。どうやら大丈夫ではないよう。後々聞くと彼女は鬱と睡眠障害になっているらしい。そして自分が大丈夫じゃないのに私の心配ばかりする優しい人。「うちもそうかもしれないけど△△って我慢していろいろ頑張りすぎちゃうから大丈夫かなって…もし大丈夫だったらそれはそれで嬉しいけどなんかあったら言ってね。お母さんは元気?」とそれまで震えていた声が覇気を取り戻すように伝えてくれ、何故か私の母のことまで心配していた。

8月の下旬、実は潰瘍性大腸炎が10年ぶりに再燃してしまった。家族にしか伝えていなかったのになんで?と思いながら友人には誰1人伝えていなかった持病の話をした。するとまた泣き出してしまった。「(泣かせて)ごめんね、でも軽度だし大丈夫なんだよね」「ここ最近夢でね△△がすごい呼んでるの、こっちこっち〜って手招きして。でね△△のお母さんも出てきて何故か泣いてるの。何かあったんじゃないかって心配で心配で…体調崩してたんだね。」思わず鳥肌が立った。電話の最初に私と私の母の心配をしてくれた意味もようやく理解した。

連絡は不定期だけどいつもお互いにタイミングをわかっているようで、必ずその時お互いに悩みを抱えている。でも今回は的外れにすごい。これが予知夢というものであろうか。

その後も「夢で左下腹部が押されてすごく痛いんだけどお腹の痛いところってそこ?」「え、そう。たまにだけど痛むところはいつもそこ」とか。「なんか分かんないけどピラティスをしたら改善されていく気がするから始めてみるのもいいかもしれない」って。結婚式前に行っていたピラティスを再度勧められたり。「左腕上がる?うち今あげられない時があって痛いんだけどもしかしたらそういうのも関係あるのかもだから気をつけてね」とか。なんだこの子占い師?予言者なの?!と思うレベルで次々といろんなことを教えてくれてずっと鳥肌が止まらなかった。

そして母がたぶん私のことをすごく心配している。里帰り出産でこの前まで2ヶ月ちょっと実家にいた。孫を可愛がるのはもちろんだけど私の身体や心の心配を一番にしてくれていた。私が息子に感じるようにやはり母親というものは自分の子供が全てであり自分より大切なんだと。離れた場所に住む自分の娘が難病にかかったらそりゃ心配でたまらないよなぁ。息子の夕寝が終わったらテレビ電話でもしてあげようと思う。

彼女は最近音とか光が本当にだめらしくて、携帯を触るのも億劫だったみたい。だけどそんな夢を見て私に電話をかける他なかった。私が親友に向けて書いた手紙を手帳にいつも挟んでくれているらしく、「お互いに補い合っていこうね」と書かれている文を読み返してますますその気持ちが増していったそう。外の音は耳が痛くなったり喋ることもままならないけど私の声はすごく安心するし、普通に喋れてて自分でもびっくりしたって。

夢の中で私が親友に助けを求めていて、親友も私に助けを求めていた。何より話が終わるまで寝てくれていた息子も何かを感じとっているのか。不思議な話を記録に残したくて。


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