金武海岸から金武岬へ<嘉陽層の砂岩泥岩互層を巡る道>
金武岬は、金武町のブルー・ビーチ訓練場のそばに位置する岬です。
岬までの道は整備されておらず、波に侵食された岩場を進まなければならないため、訪れた事がある人は少ないかもしれません。
しかし、この岬は、沖縄島の地層のひとつ「嘉陽層」をダイナミックに観察できる場所だったりします。
エリア1 金武海岸から続くビーチ
金武岬までの道のりは長いので、5つのエリアに分けて説明します。
最初のエリアは、長いビーチが続く穏やかな区間です。
砂浜にある岩には、砂岩と泥岩の層(砂岩泥岩互層)が見えます。
しばらく進むと、岩場が現れます。
ここからは、ビーチと岩場が交互に現れる地形が続きます。
ここら辺から、層理がはっきりとしてきます。
まるで、スライサーで刻まれたような形状の岩ですね。
海に近い岩は波に削られ角が取れています。
可愛いですね。
モクマオウ
岩場には、松っぽいけど松じゃないモクマオウが生えていたり。
絵画のような光景です。
マツと思ったらモクマオウ?
https://note.com/whatree/n/nf1574a0e2b39
木のような岩。
岩の上を歩いて進む
道はこのように岩の上を伝っていく感じです。
間に生えた芝から、草の生命力を感じます。
エリア2 巨大な砂岩泥岩互層
ここからは、2目のエリアです。
この岩場の中に入ると、個人的な最初の見どころ「A地点」に着きます。
A地点 砂岩泥岩互層の崖
岩場の間に入った後、細い道を進むと、両側に7mを超える砂岩泥岩互層の崖がそびえ立ちます。
沖縄島は主に北部と南部で大きく地質が違います。
南部は500万年前の若い地層。
北部は3億年~5000万年前の古い地層。本州と同じ地層です。
さらに北部にも「伊平屋帯」「今帰仁層」「本部帯」「名護層」「嘉陽層」といった地質帯があり、その中でも最も若いとされているのが嘉陽層です。
ここでは、この「嘉陽層」を見ることができます。
琉球弧の地質と岩石:沖縄島を例として 新城 竜一
https://web.archive.org/web/20181102023024id_/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscejam/70/2/70_I_3/_pdf
当時の海溝付近に堆積したタービダイトと呼ばれる砂岩と泥岩が交互に重なる層が、プレート運動に伴い陸側に付加されたものです。その後、海底堆積物が隆起し、現在の嘉陽層として露出しています。
その動的な形成過程を、最も立体的かつ鮮明に見れる場所が、ここだと思います。また、この場所は、波風の影響が少ないためか、岩の角も非常に鋭利です。
様々な形の層
時折、美しい流線状の層を見ることもできます。
砂岩と泥岩の境目(多分。)がくっきりと見えます。
エリア3 穏やかなビーチ
険しい岩場を抜けると、再び穏やかなビーチに出ます。
ここまでくると、人の気配もなく穏やかです。
地層がまるで自然にできた階段のようになっています。
珍しく、マダラな模様のある岩がありました。他と形成過程が違うのだろうか?
明るい色の岩
ここら辺から岩の色が明るくなってきます。砂岩の比率が高いのでしょうか?全体的にアールもあり、優しい雰囲気です。
アダンなどの植物と曖昧ってテーマパークのような景観を作り出しています。
謎の看板
誰が設置したかわからない「キケン」の看板がありました。
周りを見渡したが、何が危険なのかわからなかった。この穴の事かな?
可愛らしい岩
細かなストライプの非常に可愛らしい石もありました。
エリア4 褶曲した地層
ビーチを抜け、4番目のエリアへ。
個人的に金武岬の一番の見所はここだと思います。
遠くに見える島。地図にある「B地点」となる場所です。
B地点 褶曲の地層
見てください。この見事な褶曲を。
褶曲は、地層の側方から大きな力が掛かった際に、地層が曲がりくねるように変形する現象です。
この島全体に、大地の動きを感じます。
ただただ、圧巻の光景に息を呑みました。
謎の模様のある岩
分厚い砂岩の層。この不思議な模様は何でしょう?
エリア5 金武岬
最終地点。いよいよ岬へ到達します。
岬に着く前に、しなやかな曲線で重なった美しい光景が見れます。
金武岬の先端
そして、ここが岬の先端。地図上の「C地点」です。
対岸に平安座島が見えます。
削られた岩
岬の先端ともなると波が強いのでしょうか。
全体的に丸み帯びています。
金武ブルー・ビーチ
その先には、在日アメリカ海兵隊の訓練場のビーチがあります。
フェンスなど進路を阻むモノはないです。
さすがに、そのまま進むわけにもいかないので、Uターンして帰路につきました。
おわりに
往復の所要時間は3時間でした。
撮影しながら歩いたため時間がかかりましたが、早い人なら1時間以内に戻って来れると思います。
また、途中で海に入らないと進めない部分もあるため、できるだけ干潮時に訪れることをオススメします。
足場が悪い場所も多いため、訪れる際は十分にご注意ください。
地層についての説明などに誤りがある場合や、私が説明できなかった写真について、何か知ってる方は、ぜひお知らせいただけると幸いです。
金武岬
〒904-1201 沖縄県国頭郡金武町金武