『十二単衣を着た悪魔』内館牧子
⛩あらすじ⛩
就活で59社のもの会社を全部落ちた二流大卒の伊藤雷。
彼には一流大学に受かった弟の水が居た。
そんな雷はある日『源氏物語』の世界にトリップする。
そこには、全てが超一流の光源氏を弟に
持つ、兄の春宮─後の朱雀帝がいた。
思わず自分に重ねる雷。
そんな雷は、たまたま源氏物語のあらすじ本と一緒にトリップしたため、先々の展開が手に取るようにわかる。
未来がわかる雷は自身を陰陽師として生きていくことに決める。
そんな時に春宮の母(桐壺帝の正妃)の弘徽殿の女御から、先々の相談を受け、弘徽殿の女御のパーソナル陰陽師になった雷は、源氏物語の世界にどっぷりと浸かり、翻弄されていく。
⛩感想⛩
最高に面白かったです!
源氏物語がこんなに面白かったなんて!
今までわたしは何をしてきたんでしょう?
本書は源氏物語と言えど少し違い、弘徽殿の女御視点で描かれています。
本来は、刺々しく、恐ろしい女性として描かれる彼女を中心として、源氏物語を見た時に、いかに弘徽殿の女御が普通(現代の感覚)で、周りがカオスなのかが分かりました!
彼女は1000年生まれてくるのが早すぎたのです。
度重なる屈辱を味合わされ、女であることを捨てた弘徽殿の女御は、男に頼らず自ら立ち上がり、政を担い、指揮を取り、力強く生きていきます。
そんな彼女にわたしは相当惚れ込み、憧れました。
おしとやかにして男性に守られたい。
そんな気持ちは消え失せ、カッコよく生きていきたいと思わされた作品でした。
女性にオススメです(*^^*)
♡こころの付箋♡
p128可愛い女にはバカでもなれる、しかし怖い女になるには能力がいる
p245人は誰しも、先がわからない中で生き、突然襲う悲しみや、突然舞い降りる喜びやそんな突然を受けている。
そこから立ち上がろうとしたり、感謝したり、妬んだり、自分が嫌いになったり、きっと、それが生きていくということだ。
きっちり生きているということだ。
p304人間が怖がるものは三つ。
一つは大きなもの。
もう一つは遠くにあるもの。
そしてもう一つは見えないもの。
p357私は男に頼って生きては来なかった。
これからも、私の暮らしは私自身が作ります。男の浮き沈みによって上下するような生き方、恥ずかしいし、情けないわ。
みんなはおそらく、私は男に愛されず不幸な女と思うでしょう。
でもね、男に自分の人生を握られる女こそが桐壺更衣でも、藤壺中宮でも、一番の不幸よ。
p463女が幸せな人生を勝ち取るのに、必要なものは二つだけ。
決断力と胆力だ。
それさえあれば大抵のことはどうにでもなるわ。
人は老い、時代は動く。
いつまでも同じ人間が同じ場所に立っていられるはずがない。
必ず若い者の世になる。
それをわきまえることが大切。
若いもんには負けぬと、足掻いたり惨めな画策をしないことが、人の品性というもの。若いもんには負ければよろしい。
伊藤健太郎、三吉彩花出演で現在映画公開中。
『十二単衣を着た悪魔』内館牧子