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『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク104』石田衣良
短編集4編。
「泥だらけの星」
芸能人のスキャンダルを本人の事務所に突きつけて記事の差し押さえと引き換えに金銭を要求するお話。
Gボーイズが登場して解決へと導く。
実際の芸能界もこんな感じでドロドロなんだろうなぁ…😅💦
「鏡のむこうのストラングラー」
風俗嬢の首をしめて窒息プレイを楽しむストラングラーなる変態の客が現れる。
助けて欲しいと依頼を受けたGボーイズのマコトが捜査に乗り出す話。
うーん…イマイチでした😥💦
「幽霊ペントハウス」
億ションのマンションに住む住人から、夜になるとラップ音が聞こえるから幽霊を退治して欲しいとGボーイズのマコトに依頼が。
調査していくとそこには…
リアルに怖いお話でした😵
人間って恐ろしい😱
「七つの試練」
有名なトラブルシューターのGボーイズは、謎のデスゲームによって死にかけた兄、タクミの妹、ユウミから兄の敵討ちのためにゲームの首謀者を突き止めて欲しいとの依頼が来る。
調査をするとそのデスゲームには七つの試練が課せらるとのこと。一つの試練をクリアした動画をUPすると沢山の良いねが付き、不登校のタクミにはいいねを得ることが中毒になっていた。
確かにいいねが貰えると自分を肯定して貰えた気がして嬉しい。
そんな人間の弱みにつけ込んだ首謀者の狙いとは?
わたしは最近SNSと距離をとっています。
何故ならSNSに殺されかけたからです。
世間や周りから注目されたい、認めて欲しい、そう言った自己顕示欲や承認欲求を満たすためには、沢山の「いいね」は精神安定剤になります。
私達とって「いいね」は毒にも薬にもなる。
また「いいね」を押すことは安全な場所からの傍観であり、悪質な投稿に対して押す「いいね」はもはや主犯者同罪。
最近の若者を中心に活用されるSNS。良いことは良いねと直接本人に伝える、そんな人間関係を築けたら、少しは本書の様な犯罪も減るかもしれないと思いました。
♡こころの付箋♡
p161もし今あんたがどこかの学校に通っていて、将来が不安でたまらないとしても心配いらないよ。
あんたが今いるクラスの最低のやつだって、この世界には生きる場所がきちんとある。
そいつはあんただって変わらない。
なんせ世界は大きな一つのクラスルームに過ぎないんだからね
p192~193いいねが人を殺す。
いいねによって人が死ぬ。
今日も明日も、世界中でいいね私が起こる。
それが二十一世紀だよな。
そいつは人を傷つけるナイフになり、心をズタズタに引き裂き、時に完全に破滅させる。
SNSの方がこっちのリアルな世界より、ずっと重要になった時代の新しい凶器だ。
思えば火を発見して焼死が産まれ、自動車を発見発明して交通事項が生まれるのと同じように、ネットが生み出した死が俺たちの時代には確実にあるのだ。
いいね死、「炎上」死、配信死。
俺たちの死は軽く、限りなくは儚いものになりつつある。
今では死は特権を失い、ほんの数メガバイトの情報に過ぎない。
どんな死も無限に降り積もる情報に覆われて、ほんの数日で歴史の中に消えていく
p194この薄っぺらなガラスの板には、人を狂わせるおかしな力があるのだ。
ハーメルンの笛吹男やITのピエロみたいな
p198価値観を同じくする同世代から受ける賞賛のいいね。
人間は社会性を持つ生き物だから、麻薬のような酩酊と万能感をもたらすだろう。
p215ネットは人の視野を狭くする
p266考えてみるといいねを押した奴のネットの野次馬、もみんな同罪だよな。
誰かがどこか高い場所から飛び降りて、大怪我あるいは死亡して、徹底的に壊れてしまえばといいと思ってるのだから
p288テーマが今の時代に即したものであることが、大きな理由だったと思います。
ドラッグや、シングルマザーや、外国人労働者の問題。差別、格差、貧困、搾取。
TVアニメでこういった問題。真正面から取り上げる機会はなかなかないですし。
特に、原作の中に時折通奏低音のように見え隠れする、自分が正しいと信じている人間がふるう暴力の恐ろしさというテーマ。
そして、人々の憎しみを爆発・連鎖させないために池袋の街を必死に走るマコトの姿は、当時の自分が抱えていたとある動機などもあって、どうしても描きたいことだったのです。
『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク104』石田衣良