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『大きな熊が来る前に、おやすみ』島本理生

🧸あらすじ🧸
きっかけは本当につまらないことだった。穏やかな暮らしを揺さぶった、彼の突然の暴力。それでも私は―。互いが抱える暗闇に惹かれあい、かすかな希望を求める二人を描く表題作。自分とは正反対の彼への憧れと、衝動的な憎しみを切り取る「クロコダイルの午睡」。戸惑いつつ始まった瑞々しい恋の物語、「猫と君のとなり」。恋愛によって知る孤独や不安、残酷さを繊細に掬い取る全三篇。




🧸感想🧸
『大きな熊が来る前に、おやすみ』
同じ過去を持つふたりが、その過去に縛られて動けなくなるお話。
私ならDVされたら即別れる一択だけど、そんな酷い相手でも何度も許しては受け入れる感覚が正直よくわかりませんでした。
ただ、世の中には珠実と徹平の様な形態でお互いを欲する人たちがきっとたくさん居るんだろうな。
うらやましいなんて言葉を使うのは違うとはわかっていますが、私も誰かに必要とされたいな、と心の底でしんみりしてしまいました。

『クロコダイルの午瞳』
私でも都築新みたいな人が近くにいて、ご飯や水族館に誘われたりしたら、好きになってしまいそうだと思いました。
彼氏・彼女持ちの人は他人に余計な期待をさせないようにしなきゃですね!
じゃないと、壊れちゃうから。みすぼらしいから。耐えられないから。自分が。

『猫と君のとなり』
柔らかくゆったりとした世界観。
一緒にいる、ただそれだけの恋人ごっこの行方はどこへやら。
自分の人生の分岐点はこの人なんだ、っていう永遠に似た瞬間、再会を経てまた動き出す。
あなたも、そして私も。

『大きな熊が来る前に、おやすみ』島本理生

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