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腹腔鏡手術で子宮卵巣摘出した話-1

入院の日

2023年1月。とうとう待ちに待った子宮卵巣摘出手術のために入院する日がやってきました。

その日の朝、いきなりこれ。

便利なユニクロのリュック

これ書いてる段階で出オチなのですが、結果的に手術は無事に成功し、生還を果たせておりますが、順を追って記録に残していきますのでよろしければお付き合いください。

この下からいきなり不穏な現実から入るのでワンクッションとして、入院直前まで精神統一がてら描いてた謎のイメージイラストを置いておきますね。

「私と心の中に住んでるフレンズ」

髪切る前に描き始めたのでロン毛だったりリュック背負ってないとかいう絵描きにあるまじきミス多発。

入院前まではぜんぜん心落ち着いてなかったことがうかがい知れます。

入院の付き添いの件と毒親の話

夫が付きそってくれると言っていたのですが、まだコロナで面会禁止なので病室には入れず受付前で5分後にはサヨナラバイバイすることになるので、一人で行って入院手続きしました。

婦人科は他の科に比べると母親らしき年長の女性と一緒に入退院の手続きをしている人をロビーでよく見かけます。いくつになっても親がいてくれたら娘は安心だろうし、親も娘の不安に寄り添いたいと思うのでしょう。
すてきな関係性ですね。

やさしい世界観のシルバニアで再現してみた


一方、私の母親といえばアサーティブネス無き人物であるというだけでもお嫁さん方&実の娘からも無限大の距離を置かれているのに、なぜか世の中に起こった天災のような避けがたい現象から頭痛や熱や生物の死まですべて娘のせいだと信じ込んでいる謎な人で、手も上げるし自分で自分の機嫌をとれないし、弱年で母となったことをなぜか誇っていたり親を敬えと求め、泣けば橋の下に捨てると脅迫し、子供に向かって毎日「SHI・NE」と笑うのが習慣で子の価値観や可能性を否定するという、一言でまとめると親失格なのではなくヒト失格な人物なのです。

毒親体験の漫画をネサフしているとよくあるやつの全部盛り。

親を敬えない娘が生まれてしまって申し訳ないです。
生きててすみません。

あ、なんか私、主人を選べない古代の奴隷とか生贄っぽいですね?

子供の頃はどこのご家庭でも親は子を中傷し人格を否定し怒りをぶつけているんだろうな、と思ってました。絵本やアニメに登場する親とは理想世界の住人なんだろうな、と。

友人の親の話を聞いたり、人を困らせたりしない義両親を見ているうちに「うち、ふつうの親じゃなかったんだ」と気がついてしまいました。
同じころにきょうだいと同じことを話し合っていました。だよね~、って。

昨年からカルト宗教の親に育てられた二世たちの不遇がTVで取り上げられ知られるようになってきましたが、それと同じで無宗教なのに親とは子の神であり、子に人権がないと信じている親というのが存在してるんですよ。
たぶん今より意識低すぎな時代であればあるほど多かったのでは?

一時期は自分の自己肯定感の低すぎる原因は母の暴言の影響だったんだなと知って悲しく思っていましたが、図書館でいろいろな本を借りてたくさん読んで母の問題を自分なりに解釈したり、いやなことを一瞬で忘れ妻の可能性を否定したりしない夫の思考や、アメリカ人の友人の超絶ポジティブ思考にあこがれて感化されていくうちに…

なんだか…

すごく…

どうでもよくなりました(笑)。

考える時間のムダ。


このマインド、大事。

母の性格や考えを改めてもらおうとか、論理的思考を求めても学問を軽んじている人なので転生したってムリだろうし、すでに何も期待していません。

しかし責めようとは微塵も思っていません。償いも不要。

金棒を振り回して殴りかかってくる鬼がいたら、走って逃げて距離を置くのが最適解であるように、精神的凶暴をふるう親とは連絡つかないようにしておけばノーダメージなのです。

※未成年の方は、警察や児童相談所または公務員がいる場所に自ら電話をかけたり駆け込んでください。現代では助けてもらえるはずです

で、心から母親がフェードアウトしてから年々も立っている今は、私は強くなれたと思います。

おかげで子宮摘出イベントに際し、体と命をもらった親への申し訳なさとか未練を一切感じずにいられます。

母が信じてるほどには「脆弱で無能な娘」ではない確信を得たし、逆に言えばそれまでいい年して精神的に支配されて、自立できてなかったんだなと気づいてちょっと恥ずかしいくらいでした。
踏みつぶされて地中に埋まってた自己肯定感なども自分で掘り起こして肯定すればいいだけのことです。ハハハ、天才!

そういった理由と並行して、病院と医療従事者の方の心を穢さないためにも、付き添いにモンスターを呼ぶという選択肢はありませんでした。母を呼ぶくらいならメフィストフェレスでも召喚するわな。

入院前後に配慮のかけらもなく矛盾しかない荒ぶる言動で病状を悪化させられるわけにはいかないし、土下座してでも来てほしくないので、そもそも手術することも子宮摘出という女子的一大イベントも、ついでにLINEも新住所も伝えませんでした。

私氏、大正解。

入院中、母とは真逆の方々に囲まれ最高の一週間でした。
人生でこんなに甘やかしてもらったことあっただろうか? いや、ない。


知らない事というのは起こっていない事にひとしいので、たぶん母はスーパーハッピーです。


毒親について補足

NHKの毒親特集の放送後にツイッターでは「毒親などいない、そんなの同情や注目を集めるために大袈裟に言ってるんだ」という趣旨の発言をされてる人が(フォロワーさん含めて)おられたのでとても驚いたことがありました。

きっとその方の親はいわゆるドラマや世界名作劇場のアニメに出てくるような理想的な良き親で、そのことで苦労させられたことのない人か、あるいはまさに毒親に当てはまる行為をお子さんにしている加害者だからこそなのかもなぁ、と憶測してしまいました。違ったらごめんなさい。

それにしてもこの世界的名著を知らない人が「毒親なんて言葉、どこから生まれたんだ」と怒りちらしている様子に、本を読まない人が増えていると言われている現状にも納得。発行されたの20年も昔なのですよ。

ちなみに私の母のケースでは下の『「毒親」の正体』の最後の方に書かれている事情がしっくり来て、納得ができました。母もわけありだったんだなぁ、と。
親の理不尽な言動に悩まされている方はぜひ。図書館にもあります。
世界がちょっと変わりました。


ところで。

義母にも手術することを一切伝えていなかったのですが、それは実母とは真逆の理由で、優しすぎるし心配症だからショックで鬱になるかもしれないからです。

これまた出オチになりますが、退院して2、3日後に義母のきょうだいが亡くなったという連絡が来ました。
とてもそのタイミングではまだお葬式への列席はできない体調だったため、お断りの理由として手術を受けたばかりである事情を正直に話したところ、「言ってよ~~~」と。

ごめんなさいお義母さん!

義母の心が辛い時に二重のダメージを与えることになってしまい本当に申し訳なかったです。

左は必殺にして十八番の決めつけ×突き放しの合わせ技。
将来介護するとしたら右の一択でしょう。

さらにすこし補足

なぜか毒親体験者の話を見聞きすると防衛機制の一種なのか、自分の親がそうではないからといって「他者の毒親」の存在否定に執着する人がおられました。

皆さまの親は皆さまの親、私の親は私の親、よそ様の親はよそ様の親、おたまじゃくしの親はカエルです。

それぞれが他人であり、個であり、同種であっても同一ではありません。

あたりまえのことです。

私はすべての親が毒親であるなどとはまったく思っておりませんし、子供の心や考え方を大切にするすばらしい親御さんの姿をたくさん見たことがありますし、そのような親御さんたちの感情リテラシーを立派だと思い尊敬しております。


初日にやること

去年の真夏に緊急入院して以来、約半年ぶりの懐かしい病室です。
ビジネスホテルみたいなトイレとシャワーと無料Wi-Fi付きの個室。

長い通院で院内にも慣れているので実家に帰るかのような気持ちがします。
(実家にはこの先一生帰らぬ)

初日はやることないだろうと思っていたけれど、着くと同時に次から次へと人がきて、

  • 病室の説明(設備の使い方など)

  • 入院生活の説明(一週間のスケジュールなど)

  • 手術に関する書類の提出(1枚ハンコ押し忘れてた)

  • 手術前後のケアなどの説明

  • 持ってきた薬の確認と預託

  • 体重の計測 ←術前検査の1ヶ月よりさらに4キロも太ってた!

  • 昼ごはん

あわただしい!

これらがテキパキと進められ、荷物をクローゼットや引き出しなどに移そうかなと思ってたら「このあと外来のフロアまで下りて診察受けて下さ~い」と。

術前検査もすませてるのに、まさか入院初日にも直前検査があるとは思わなかったので焦りました。しかも何回やっても苦手な経腟エコー検査あり…。

さらにそのあとも

  • 手術室の看護師さんからの手術直前の説明

  • 手術室で流すBGMとアロマの種類の選択

  • 血栓予防ソックスのサイズ測定

  • へその掃除

ちっとも暇ではなかったです。


余計なことを考えない技

手術から逃げたい不安な気持ちと、さっさと手術して無期限の痛みから解放されたい気持ちが混在して、入院初日はそういった感情の整理がつかずナンダコノキモチでしたけど「二律背反」の4文字や「止揚」の2文字が浮かんで即解決。

これがそうか! そうなのか!
これが! あの!

メタ認知で感動してるうちに不安がることで得る利益がなにもなく時間をむだにするだけと気づき、このあとふしぎなくらい手術直前までずっと緊張したり不安になったり悲しくなったりはしませんでした。

つまりですね、余計なことを考えないためにはむしろそれと向き合って突き詰め、自分が真に恐れてることが何かを知り、認め、それを自分では一切合切コントロールできないことも受容し、あとはYouTubeでかわいい動物動画など見て心の中をネコだのビーバーだのマーモットでいっぱいにしておけばやがて涅槃へとたどりついてるわけです。

2回目

そんなのできないよと思っている人は最後のYouTubeの部分だけ実行するといいと思います。
アイドルでも芸人でも焼肉でも好きなものなら何でもヨシ!


手術室のBGM

手術前に麻酔で寝るまで流すBGMを選ばせてくれるという話を何度もネット検索の末に読んだことがあります。

渋めのSF映画好きとしては「ソイレント・グリーン」の安楽死シーンで美しくおだやかに流れるベートーベンの「田園」を選んでブラックジョークを自分にかまそうと目論んでたんですが、お世話になった病院では大雑把なジャンルまでは選べても曲名の指定はできないシステムでした。
くっ!

不謹慎ですが実践したことのある人は私にこっそり教えてください。

いちおうURL貼っておきますね。
ソイレント・グリーン(AmazonPrimeで観られます)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00FIWD6ZQ/

壮大な「ツァラトゥストラはかく語りき」をBGMにするのも精神統一過程の私の心理と通ずるものがあっていいと思ったのですが…(強制終了)←余計なことしか考えてない。


へそ掃除

腹腔鏡ではヘソを切るので丁寧に掃除してくれました。
あんまり掃除しない場所なのでたぶんすごく汚かったはず。
局部よりよっぽど恥ずかしかったです。

なぜか30分後から微弱にシクシクと痛みが続いて、寝るまで気になってなんかダメでした。お腹壊す前の感覚がずっと続いてるような感じでした。

ここではじめて看護師さんから教えてもらった重要な情報があります。

「切ったあとのヘソは体の内側から縫うので、傷は目立たないです」

とのこと。

「内側からッ! 縫うッ!」

後日、術後に貼ってあるテープをはがしたときにうっすらとかさぶたができていましたが、他人のヘソなんてふつうじっくり見ないので自己申告しなきゃ誰もきづかないレベルでした。現代医療、すごい。

なんとあの白米の量が!

卵巣破裂で緊急入院した話にもやたらしつこく書きましたが、この病院の白米の量が多すぎで、今回もやっぱり多すぎでした。

これが見たかった

どか盛り白米 on 丼。懐かしい。

しかし今回は「ふつう(丼飯)・2/3・半分」から選べるようになってました。
前回の入院では変更してもらえるまで丼飯を残して罪悪感でつらかったからよかった…!

でも2/3にしたあとも家のお茶碗の1.5倍量だった気がする(笑)。

+1000円で特別食への変更ができるけど、逆にもっと粗食があったら選んでしまうかも。元気いっぱいの術前はともかく、術後は特にそう思いました。

真冬の朝に冷え冷えの牛乳がついてくるの、個人的にはんどかったです。
せめてヨーグルトかチーズだと助かるんだけどなぁ。

このような冷え冷えゼリー&冷え冷えいちごオ・レがついてきた朝も。
おいしかったし、真夏だったらうれしかったんだけどなぁ。


しょーもない自分語り長めだったのに、読んで下さってありがとうございました。

続きは入院2日目以降のことを書きたいと思います。
また読んでくださるとうれしいです。


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