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腹腔鏡手術で子宮卵巣摘出した話-6(退院)
とうとう退院の日です。
これを書いている日はすでに退院から2ヶ月半たっているので、退院以後から現在までの経過なども書いておこうと思いますので、しばしお付き合いください。
前回入院の記事の中での私の記述での訂正したいことも書いておきます。
術後4日目(退院の日)
術後3日目の朝の採血でCRP定量(体内の炎症の目安)が高めでした。
「体温も37.7度とやや高いので、明日の朝の数値を見て下がってれば退院OKで、上がるようなら炎症や他の病気の感染も可能性としてはあるので入院が伸びるね」
とのこと。
そうなった場合、困ることがあります。
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予定通りの明日までになんとしても退院したい!!!
その当時のLINEのやり取りを確認したら「1日の病室代で名店のホールケーキ3個分が飛ぶ。退院してえ」と夫に送信した履歴がありました。
わかる・・・わかるよ、私氏! うちの無洗米代10ヶ月分相当よ。
このまま入院が長引いたとして、もう薬も点滴もないし、寝てトイレ行ってお風呂入ってTV見るだけで室料掛かるとか生きた心地がしないです。
どうなる事かとヒヤヒヤしましたが、退院当日の朝の採血と検温で退院OKの結果が出たので心の中でガッツポーズ!
即、病室から夫にお迎えに来ておくれとLINEで連絡を入れました。
薬剤師さんが退院後の痛み止めのお薬を持ってきて下さり、看護師さんがあいさつに来て下さり、その間に夫氏が電車を乗り継いで病院まで迎えに来てくれて荷物を持ってもらい、アプリで呼んだタクシーで帰宅しました。
※お腹とシートベルトの間に握り拳をつっこんで10cmくらいの隙間を作っておくと、腹部の傷に食い込むのを回避できます。
もし単身でご家族やご友人の都合がつかない場合はスーツケースのような引っ張れるものがないと、おなかに力を入れられないし、帰宅がハードすぎますね。
運送業者さんが病院と契約してるところもあるらしいのですが、私がお世話になった病院では荷物を送ることはできなかったので、できるようにしてくれたら患者さんはずいぶんと助かるかもしれませんね。
さようなら諭吉(お会計)
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請求額は想像してたよりは安く、しかし手術のなかった前回の入院時よりは高く、痛みのなさを思えば適正だったと感じています。
気になる方のためにも赤裸々に載せときますね。
腹腔鏡下手術による子宮卵巣摘出:約450,000円
(一週間の室料、食事含む)
うち、個室料が 約10,4000円を差し引くと、純粋な医療費は3割負担で約34万円くらいでした。
ここに個人的に加入してる保険会社から幾らか補填されたので、実際の自己負担額はもう少し低めです。
他にかかった費用が以下の通りです。
筋腫を縮めるレルミナ代4~5万円(月1万円換算)
検査費用1~2万円
通院の電車代1万円(累計)
退院のタクシー代5000円くらい
パジャマとタオルのレンタル代3千円くらい
入院に備えた物の費用(デカパン代、バッグ代ほか色々)。
総支出が55万円(-保険など)くらいでした。
液晶ペンタブレットの最強クラスが買えておつりが出るな…iPad pro何枚買えるのよ? くっ!
セレブじゃないので冷静になると泣きたくなるけれど、金銭面以外では泣きたいことが何一つなく退院できたので、結果オーライということにしておきましょう。
*掛かった金額は病院や地域によってだいぶ変わるはずですので鵜呑みにはなさらないようご注意ください
*私は東京住まいですが、区内に手厚い婦人科が存在しなかった為、この病院は都内ではありません。
保険の話
私はやたらと安い保険に長年ずっと加入しっぱなしで、そこから補填された金額が約11万円でした。
ありがたいけど加入せずに同じ金額を貯蓄して自腹で払った方が圧倒的に安かったです(笑)。
15年位前に年の近い知人が子宮筋腫の摘出手術を受けたときに「保険入っていて助かりましたよ~、絶対入っといたほうがいいですよ~!」と前のめりに語っていたのですが、私の場合はそうでもなかったので個人差や加入年数にもよると知りました。
誰しも自分の人生で入院や手術をするような機会が来るのか来ないのかわからないものですし、前述の知人のように入っといた方が良かったという未来にたどり着く可能性もあるし、保険加入の良し悪しって難しいですね。
それと大事なことを補足。
限度額適用認定を利用すると収入に応じて総支払額が下がります。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/
もし生活保護の対象の方であれば医療扶助があるので全額無料です。
非課税世帯・低所得者の方の場合もだいぶ低い請求で済むと聞きました。
私がネット上で知った限りでは私とほぼ同様の手術を受けた人でも負担額が8万円ちょっとで済んだとか。
腹腔鏡や開腹でそもそもの手術費用が変わってくるので、気になる方は前もって病院に問い合わせてみると良いかと。
金銭的に厳しそうな場合はなんらかの救済があるとおもいますので上記のことも含め、自治体のHPや窓口で調べたり聞いておくと安心できると思います。
社員へのカバー力が手厚い勤務先で働いている人の場合も、見舞金だとか似たニュアンスの名目で支払われる場合もありますし、家族への見舞金が支払われる所も意外とあります。申請!申請!
退院後のこと
いつまで痛かった?
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退院後2週間は家でなるべく安静に過ごすよう言われたので、私の想像では動くのもしんどいのかな~と思いきや、退院したその日にもう洗濯したり簡単な掃除や片づけをしていました。
動きはゆっくりと、なるべく腹筋に力をこめないように気をつければたまにまち針を刺したような「ピリッ」があるくらいで、痛くてしんどいということはなかったです。
長く立っているとふらつくのが退院後3日までありましたけど、炎症の値がまだ少し高めだった影響だと思います。これはごく軽い貧血の症状に似ていて、近所での軽い買い物なら十分できました。ただしパンとか軽いものだけ。
退院の日にはほとんど痛みがなかったんですけど(数字で1~2くらい)、急に強くなったら嫌なので弱い痛み止めのアセトアミノフェン200mgを1錠か2錠飲んでいました。これで痛み0に。
念のため強い痛み止めのロキソニンも出して頂きましたが、個人的にはこれ飲むと胃が痛くなって腹痛よりずっとしんどいので、もらった瞬間から「再び死にかける日までは絶対飲まん!」と決意してました。
最終手段ですね。
なおこの決意をするまでもなく退院後は2ヶ月半後の現在にいたるまでほとんど痛い日がなかったのでロキソニンは出番なし。
弱い痛み止めと胃薬を飲んだのは退院後2日目まで。
3日目からは両方とも飲んでおらず、その後の2週間の間に2回飲んだくらいです。
退院1週間でほぼ体調は元通り。
体の奥底がたまに「チクッ」と針が0.5ミリ刺さったような痛みが走るくらい。
生理痛の100分の1、卵巣痛の1000分の1くらいです。
脳への刺激になるかなと思ってガムを噛んでいたら集中力のなさや頭の中がもやーっとした感じも晴れてました。ガム、おすすめです。
ただし回復のスピードも痛みの出方も感じ方も個人差の大きい事ですから、これを読んで「大したことないはずだ、痛くないって書いてあったぞ!」などと誰かを責めるのは無知で無理解な暴力となってしまいますので絶対にやめて下さいね。
2週間後の検診
退院してから約2週間後の診察では「体の内部を縫い留めた部分(膣の奥、子宮を切り取った部分)にまだ痛みが出てるだろうけれど時間とともにだんだん痛い事がなくなるでしょう」とのこと。
術後から血の混じった薄いピンクのおりものがほんの少量(1~2滴)出るのがだいたい一日おきに続いていて、これも「そのうちふさがって止まるでしょう」とのこと。
大量にドバっと赤い血が出たら電話連絡&病院来てねと言われているので、そういう場合は縫合部分が裂けたりする緊急事態なのかもしれません。
(ここの薄いおりものは退院後1か月半くらいで止まりました)
それより「癒着はないでしょう」と予測してた先生が癒着があった件に一切触れてこないのは気にされてるから?(謎)
切り取る前と切り取った後の子宮と卵巣の断面などのグロ写真を見せてもらい、「これが取り出した部分で、中はガン化してなかったので大丈夫でした」と説明を受けました。
卵巣は切ってみないとガン化しているか正確にはわからないらしいので一安心です。
血液検査の腫瘍マーカーが1年以上ず~っと常に200以上を示していたのと実父がガンでなくなっているので、自分がガンでも不思議ではないと覚悟していました。
残した右卵巣は健やかでいてほしい…頼む…更年期の症状出ないでくれ!
余談ですが、術後すぐに付き添いで病室に来ていた夫が医師から説明をうけて、そのときに有無を言わさずグロ画像(さっきの写真)を見せられちゃったそうです。
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男性は血液を見慣れていない人も多かろうし、そういうの見るの苦手な家族を付き添いに呼ばない方がいいかもしれませんね。ごめん、夫氏。
この診察のあと「退院後初の電車にのれたし、カフェに寄って、ちょっと歩いちゃお~!」とうかれて一万歩ほど徘徊した結果、夕方からジクジクと骨盤内の全体が痛み出してOMG。
コンビニでお菓子を買うと夫氏の好きなゲームキャラのクリアファイル貰えるキャンペーンの在庫がある店舗を探して歩きすぎたのが敗因。
コロナ対策の緩和後、魔都TOKYO周辺では名物・ラッシュアワーの肺がつぶれる満員電車が復活していて、しかも優先席には長い脚を大開脚して2席分占拠している強さ・怖さ・社会不適合性をアピールしたいと思われる服装のお兄さんがいて、足を15度内側に曲げて隣を開けてくださいなどと頼んだら男女平等の誤った解釈のもとにこのOBASANすらもボコボコにされて明日ミヤネ屋で紹介されてしまいそうなので怖くて言えず座れず。
子宮と卵巣とったばかりの女性にも平等に厳しいTHE社会。うん。わかってた。
ヨボヨボしながらなんとか帰宅。
筋肉痛みたいに太腿が上がらず、早めに寝たのに翌日の午前中までずっとだるかったです。ワクチン接種後のだるさに似てました。
やっぱり退院後1ヶ月くらいまでは無茶しちゃダメですね。反省。
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禁止事項
退院後の生活について禁止事項の説明を受けました。
ざっくりとこんな感じ。
自転車に乗るのは1ヶ月間禁止。
車の運転は1週間後からOK。
スポーツや旅行などは術後1ヶ月間禁止。
湯舟での入浴、温泉、プールは術後1ヶ月間禁止。
性生活は3ヶ月間禁止(膣が破け大出血する場合があるとのこと)
私、楽器が趣味の一つで、スポーツ並みにぜぇぜぇ疲労するのに許可をとってきませんでした。誰かにぶつかることもないし疲れたらすぐ休めるし、いいかな?
自転車はサドルなどお股や下腹に圧がかかるため1ヶ月もNGなのだそうです。私は車も自転車も乗らないけれど、必須の通勤手段になっている方などは休みのとり方や通勤手段を一時的に変える必要がありそうですね。
退院後の最初の一週間は椅子に座ってパソコンで作業していると時々お腹がズーンと重く痛む感じがしたり、2~3時間で全身の疲労感MAXでベッドに大の字になっていたりもしました。
座っていてもムリは禁物ですね。
※これらは腹腔鏡の場合なので、開腹手術を受けた方の場合はまた回復スピードや症状がちがうと思われます。
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膀胱の限界値がUP!
手術して早い段階から気づいたことですが、小さめの筋腫がたくさん詰まっていた子宮がなくなったことで、膀胱が圧迫から解放されておしっこを我慢できる時間が上がった気がします。
若い人はあまり価値を感じないかもしれませんが、女芸人さんの鉄板ネタになってるほど中年以降の人にとってこれは大事なポイントではないでしょうか。
トイレの付いていないバスツアーとか、車両での長時間の移動とか、3時間越えの映画とか観劇とか。
私の場合はそれほど困ってはいませんでしたが、自宅にいて自然な尿意でトイレに行くまでの時間が術後は1時間くらい長くなった気がします。
大事なことを訂正します
前回の緊急入院時の記事のなかで「人に話さない方がいい」「SNSの無責任意見は見ない」という趣旨のことを書いといて、今でもその通りだと思ってる部分と訂正したいと思った部分があります。
この記事の目次の最後の部分です↓
心を守ることを最優先すべきという考え方は変わっていません。
ただ、同じ病気と戦ってる患者さん仲間、病気に理解がありむやみに否定しない人、信頼のできる友人、想像力があって他者の痛みを嘲らないやさしい人には話していいと思いました。
上記の人たちに不安や弱音を打ち明けたり、はげまされたり、情報共有していると手術や検査の待ち時間など余計なことを考えがちな隙間時間が埋まっておだやかでいられました。
またそのような話をすることがテーマのコミュニティーを見つけ出せたことも、私にとってとても心強かったです。
私は病院選びのヒント(院名や医師の名前は出さない)を頂いたり、常軌を逸する怖い目に遭った時の話を聴いて頂いたり、過去に医師から信じられないような非人道的な対応をされた時に仲間から励ましてい頂けたことで転院を決意できたり、手術体験を教えていただいてるうちに私にも耐えられるかもしれないと希望が見えてきたり、それによって恐怖心も軽減していきました。
プラスになることばかりだったので参加してみてよかったなと感じました。
SNSでも信用できる方々のやさしさに心あたためてもらいました。
怖い人ばかりではないことは強く主張しておきたいです。
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人と関わることに恐怖心を捨てきれていない私のような者でも、わかってくれる人が近くにはいなくてもどこかにはいるんだということ、インターネットのおかげで知ることができました。
人ってあたたかい。やさしい。優しくされると優しくしたい。
そういうことを学んで、いい機会となりました。
ここまで手術と入退院の話を6記事にわたって長々と書いてきましたが、お付き合い下さりありがとうございました。
おそらく病気体験がある方や今後のために知りたいことのあった方が読んで下さっていると思います。皆さんの症状が少しでもよくなることを心から願っております。
次回は番外編的にテーマをしぼり「持って行ってよかったもの」をまとめてご紹介したいと思います。
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