七五三着付で思うこと
街で出会うと自然に顔がほころぶ七五三の子ども達。ここでは着付師目線での話を。
子どもの着付は大人よりスピード勝負です。
大変なのは七五三、特に5歳男児! 以前勤めていたフォトスタジオでは着付中に激しく暴れ、袴の相引を裂いてまで脱ぎ、逃げるお子様も…嫌だったのは締めつけ感か、初めて着る形の服だからか? こんなときご両親は「プロなんだから着せられて当然でしょ?」と言いたいでしょうが、病院や歯医者とは違うのだし、お子様がここまで嫌がってるのに無理して着せなくてもいいのではと思った稀なケースです。
別の日、今度はとある着物レンタル店で5歳男児着付をしたときのことですが、袴紐はユルユルにしてサスペンダーで吊り上げていました。まさかのサスペンダー使用に初めは抵抗ありましたが、締めつけ感を嫌がるお子様にはこれもアリかと、今は思っています(でも外出先で羽織を脱ぐのにためらうかも)。
また最近では、角帯と袴紐の一部が面ファスナーやゴムベルトになっていて、着る側と着付ける側、どちらにも楽な作りの祝着さえも出てきています。
3歳児の祝着は、被布があるので兵児帯を締めなくても正面からぱっと見ではわからないです(ぶっちゃけ、私がいたフォトスタジオでは面ファスナー式の伊達締めまでしか締めなかったし)。
7歳女児になるとだいたいのお子様は落ち着いていて、3歳・5歳よりは着付もしやすいです。帯だって作り帯を選べば、難しいことはあまりない。
以前、下の記事で書きましたが、私は和服が時代に合わせて変わっていくことを否定しません。例えば「2ウェイ着物」などの名称で、二部式着物がワンピースとしても着用できる作りの物。女児の浴衣でよく見かけますが、初めて見たとき、”なんで今まで、こういうのがなかったんだろう。これ考えた人スゴイ!” と思いました。
着付にしても、それで和服を着る人が増えるのなら、簡単にできる方法があっていいと思うのです。
でも、こんなに着心地が楽で着付が簡単な和服が普及したら、やがて着付師という職業もなくなっていくのかな…という危機感はうっすらあります。特に七五三着付は少子化の現れか、感覚的に減っている。そういえば今年は、大手フォトスタジオのTVCMを見ていないし(WEBに移行してるだけかもしれませんが)。
11月って、こうしてnoteの記事を書いていられるほど暇じゃなかったのになー。