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ゲーム実況なのにUI/UXがひど過ぎたテレビの話

昨日(6/26)の夕方にテレビ東京で「最強エンターテイナー Game Live」という、ゲーム実況をテーマにしたバラエティ番組が放送されていました。
(私は私立恵比寿中学の真山りかさんが出るということで観ていました)

番組ホームページはこちら
Google Play presents 最強エンターテイナー Game Live 「今」一番楽しいやつは誰だ!?
http://www.tv-tokyo.co.jp/gamelive/

Google Playが冠で協賛につき、現在行っているGame Festというイベントの告知と、ゲーム実況というマイナーな世界の面白さを伝えるための番組にしたかったんだと思います。
「したかったんだ」と書いたのは、本当に番組の作りが酷くて番組として成立していなかったからです。

番組の概要は、
芸人さん、アイドル、YouTuberの3チームに分かれてゲームを実況しながらプレイし、データ放送による視聴者投票によって勝敗を決するというもの。
プレイしたゲームはボンバーマン、パズドラレーダー、白猫プロジェクトの3つ。

ここまでは、構成としてはよくあるバラエティ番組だと思います。
各チームが競うポイント。ここからが問題でした。

「楽しい」という謎の尺度。
ゲーム実況の"楽しさ"を伝えるところから思いついたのでしょうが、プレイよりもとにかくしゃべることが大事になります。また、この制度のためこの番組は生放送でした。
結果、番組中はプレイしている出演者が同時にしゃべりまくり、何を言っているのかわからないしゲームで何が起きているのかもわからないまま、放送時間が過ぎていくだけの番組になっていました。

ゲームもテレビも好きな身として、あまりに残念で仕方なく、勢いでなぜこの番組がダメなのか、その理由を分析しました。

①「楽しい」を尺度にしたこと
一番の諸悪の根源はこれです。
そもそも、「テレビを見ていて楽しいと思ったらボタンを押す」とはどういうことでしょうか?バラエティ番組なのですから楽しいから見ているはずで、楽しくなかったらチャンネルを変えるかテレビを消します。
「○○だったらそのチームのボタンを押す」の○○がどういう状態か全く定義できていないため、視聴者はいつ何を持ってボタンを押せばいいかわかりません。
「応援したい」「面白かった」という尺度にすべきでした。どうせファン、フォロワーしか見ていないと思ったのでしょうか。


②生放送にしたこと(構成の問題)
複数プレイヤーが同時にゲームをするだけでも収集がつかなくなるのに、そこに実況という要素が加わっています。プレイヤーの数だけトークが発生し、その全てが被ることになります。なぜそれを生放送にしたのでしょうか?統制もとれていないため、どの実況もまともに聞けませんでした。
実況なのだから生放送?そもそもゲーム実況は録画されたものを楽しむものであったはずですが。



④視聴者のことを全く考えていない進行
私は視聴者としてまだゲームに詳しい方です。それでもゲーム実況中は、今何が起こっているか、何を見たらいいかわからない状況でした。
ゲームの開始前、もちろんゲームの説明に時間を割くのですが、どうやったら勝ちで、どうやったら負けで、勝ち負けに関わってくるルールが何かがほとんど説明されません

ボンバーマンで、バクダンで相手を倒すことは説明してしました。しかしプレイ開始直後は全員が無敵状態で始まることを説明しておらず、「あれ、バクダンの炎にあたったけど倒れないぞ?」と視聴者はその時点で勝ち負けに連いて来れなくなります。
白猫プロジェクトの説明で必要なのは「ぷにコン」という操作方法ではなく(この情報本当に不要でした)、クエストの目的は何でHPはどこに表示されていて倒された場合復帰はどうなるか、であったはずです。


理由は大きく上記の4点です。
この番組で本当に趣旨である「ゲーム実況に興味をもってもらう」ができたと思うのでしょうか?だいたいの感想はうるさい、よくわからない、であったのではないでしょうか?

文句だけ言ってもしょうがないので、改善案を書いてみます。

・ゲーム実況の面白さを伝えることを第一にする
生放送にした結果、何を言っているのかやっているのかわからない番組になりました。
実際に試してみればみんな被ってしゃべることはわかっていたはずです。この番組は生放送にすべきではありませんでした。ゲーム実況という、視聴者が新しく触れる文化であるので、実況して面白いポイントをしっかり切り出して、編集して放送すべきです。昨今では過剰に思える番組テロップも、このような番組ではとても有効です。
視聴者参加型データ放送のメリットがこの番組では見えません。これは削除。

・画面構成
同じ画面構成をずっと出すのでなく、要所要所で変えるべきだったでしょう。せっかくのロバート秋山さんの体モノマネも、小さい画面の中で突然行われた形になってしまい本当に残念でした。
せめて白猫プロジェクトは4つの画面全てを出すべきでした。ベストは専用の画面を開発して出力すれば良かったのですが、地上波なんだからそれぐらいやろうよ。。


・ゲームに詳しい解説員の設置
視聴者に対して、何を見たら面白いか、このゲームの見どころが何かを示す存在が必要です。視聴者にとって初見のゲーム画面では、何を見たらいいかの判断なんて無理に決まっています。

・YouTuberの役割
彼らはプレイヤーとしてゲームの面白さを伝える語り部であるはずです。
戦いの感想ではなく、ゲームの感想を言うべきでした。出演者の中では、彼らが本来は視聴者が自分を移入させる相手なはずです。構成自体も、YouTuber対ゲーム名人、芸能人軍団(その場合、本当にそのゲームが強い人になりますが)とした方が感情移入もしやすかったかもしれません。
ゲームの選定も、横スクロールアクションの方が望ましいのですがそれは事情があって無理でしょう。。


まとめると、この番組の視聴者に対してのUI/UX(ユーザーインターフェース、ユーザー体験)が悪すぎることに尽きます。

誰よりもUI/UXを研究しているGoogleが協賛につく番組でこのレベルの番組は本当に無いな、と思いました。もっとちゃんと作って欲しかった。残念でなりません。
(このnoteは個人の感想です)



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