ワクチン供給不足の年齢別での影響

*2021年5月24日改訂: おたふくかぜワクチンに関連した内容(1歳, 就学前1年)を変更
*2021年10月19日改訂: おたふくかぜワクチンの供給再開に関連した内容を追記 

残念ながら, 2021年になってから子どもたちが関係してくるワクチンが相次いで供給不足となっています.
具体的には1月に日本脳炎ワクチン, 4月におたふくかぜワクチンの供給制限が発生しています.

日本脳炎ワクチンとおたふくかぜワクチンは, 定期接種か任意接種という点や, 標準的な接種年齢などが異なることもありやや複雑な状況となっています(図1).
そこで具体的にどの年齢がどのような影響を受けるか, どのように対応すべきかということについて簡単にまとめます.

なお内容は標準的な年齢でワクチン接種を進めている場合と, 標準的ではない年齢で進んでいる場合に分けています.

(*注意: なお, おたふくかぜは公的機関などの指針の提示などによって状況が変わる場合もあります. その場合には適宜内容を更新しますので, あらかじめご了承ください)

図1: 年齢別の影響の一覧
(2021年10月19日改訂: おたふくかぜワクチンの内容を変更)

画像1


1歳

1歳になったらおたふくかぜワクチンの1回目の接種が推奨されています(ただし任意接種).
ただ, 現在はおたふくかぜワクチンは出荷調整となり供給が止まってしまっているため, おたふくかぜワクチンの接種予約を中止しているところが多いようです.
2021年10月25日からメーカーからの供給が再開されることが発表されていますので, 今後供給の安定化とともに徐々に接種しやすくなってくると思われます.

なお, 2021年5月に予防接種推進専門協議会および日本小児科学会から, おたふくかぜワクチンに関しては1歳での1回目の接種を優先するという指針が発表されました(*1, *2).
従って, 接種予約が可能な施設であればおたふくかぜワクチンを優先的に接種していただいて大丈夫です.

*1 予防接種推進専門協議会. おたふくかぜワクチン供給不足が見込まれる現状での医療施設における対応 -予防接種推進専門協議会からのお願い- (2021年5月10日掲載)
*2 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会. おたふくかぜワクチン接種回数に関するお願い. (2021年5月21日掲載)


4歳

4歳は日本脳炎ワクチンの3回目(1期追加)の標準的な年齢です.
ただ, 日本脳炎ワクチンの供給不足により, 標準的には3歳で接種される1・2回目が優先されることになっています.

従って, 4歳での3回目の日本脳炎ワクチンは1年先(2022年度)まで遅らせることになります.
またそれに合わせて, 本来来るはずの通知も2022年度に届くことになっています.
なお, 遅らせた場合でも当然定期接種であることには変わりないため, 自己負担なく接種できますのでご安心ください.


就学前1年 (年長児)

日本小児科学会は就学前1年(年長児)はおたふくかぜワクチンの2回目の接種を推奨しています(ただし任意接種).
ただ, 現在おたふくかぜワクチンは供給不足によって安定して希望者全員に接種することが難しい状況となっています.

2021年5月に予防接種推進専門協議会および日本小児科学会から, おたふくかぜワクチンに関しては1歳での1回目の接種を優先するという指針が発表されました(*1, *2).
つまり就学前1年での2回目の接種は供給が再開した後に接種するようお願いしたいです.
2021年10月19日に, 10月25日より供給が再開されることが発表されています. 再開後もすぐには供給は安定しないと思われますが徐々に安定化してくると推測されるので, 時間と共に接種機会が得られやすくなってくることが期待されます.

*1 予防接種推進専門協議会. おたふくかぜワクチン供給不足が見込まれる現状での医療施設における対応 -予防接種推進専門協議会からのお願い- (2021年5月10日掲載)
*2 日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会. おたふくかぜワクチン接種回数に関するお願い. (2021年5月21日掲載)


9歳

9歳は日本脳炎ワクチンの4回目(2期)の標準的な年齢です.
ただ, 日本脳炎ワクチンの供給不足により, 標準的には3歳で接種される1・2回目が優先されることになっています.

従って, 4歳児と同様に4回目の日本脳炎ワクチンは1年先(2022年度)まで遅らせることになっており, 接種に関する通知も1年先の2022年度に届くことになっています.
1年先となった場合でも自己負担なしでの接種となる点は変わりありません.



<接種が標準的な年齢で進んでいない場合>

生後6か月以降(3歳前に日本脳炎ワクチンの1・2回目を接種する地域)

生後6か月〜(3歳前で1回目・2回目の接種が考慮される場合)
日本小児科学会では日本脳炎のハイリスク地域では生後6か月での日本脳炎ワクチン接種を推奨しています.
ただ, 標準的な接種年齢の3歳での1回目・2回目の接種は優先となりますが, ハイリスク地域での前倒しでの1・2回目の接種に関して同様に優先の対象となるかどうか明確な指針は提示されていないと思われます(もしある場合にはご教示いただけると助かります)

その点に関しては医療機関での供給によっても変わると思いますので, 必要に応じてご確認頂ければと思います.

1歳半以降〜(既に1・2回目を前倒しで接種している場合の3回目)
この場合には, 3回目の接種は1年先(2022年度)まで遅らせることになります.


4歳以降(日本脳炎ワクチンを受けたことがないか1回だけ接種している)

日本脳炎ワクチンは1回目・2回目は優先的に接種できることになっています.
このため標準的な3歳を過ぎてしまっている場合でも接種可能です.
定期接種の期間は定められていますので, 早い段階で接種を開始していくことをオススメします.


5歳以降(日本脳炎ワクチンを2回接種している)

日本脳炎ワクチンの3回目は基本的に2022年度まで接種を遅らせることになっていますので, 供給が安定したあとに接種することになります.
ただし3回目の定期接種の期間は7歳半未満であることは変更がないため, 2021年度中に7歳半となってしまう場合には, 7歳半になるまでに3回目を接種することをオススメします(それ以降だと自己負担が生じてしまうため. 優先的な接種の対象となっています).


10歳以降(日本脳炎ワクチンを3回接種している)

日本脳炎ワクチンの4回目は基本的に2022年度まで接種を遅らせることになっていますので, 供給が安定したあとに接種することになります.
ただし4回目の定期接種の期間は13歳未満であることは変更がないため, 2021年度中に13歳となってしまう場合には, 13歳になるまでに4回目を接種することをオススメします(それ以降だと自己負担が生じてしまうため. 優先的な接種の対象となっています).


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