保育所における出席停止基準が定められていない感染症の出席再開の目安
(各論に関しては工事中です)
特定の感染症に関しては出席停止の基準が決められているために, どれくらいは休まないといけないのかがはっきりしています.
ところが, この基準に含まれていない感染症はいくつもあります. そういった感染症は独自の基準で判断されている場合が少なくなく, 必要以上に休むことが求められる場合もあります.
少しでも施設内で感染症の流行を防ぎたいという思いから判断されていると思いますが, 根拠に基づいていない基準を作っても効果的ではないかもしれません.
厚生労働省で「保育所における感染症対策ガイドライン 2018年改訂版」が発表され, 登園の目安が提示されていますので, そちらを参考にしてまとめています(*1)
<参考>
*1 保育所における感染症対策ガイドライン 2018年改訂版 (PDFファイル)
はじめに
「症状のあるなし」は感染させるかどうかの目安ではない
これらの目安を用いるのには注意が必要です.
まずよく誤解されやすいのですが
・症状がある = 感染させる可能性がある
・症状がない = 感染させる可能性はない
というのはいずれも適切ではありません.
つまり症状があっても感染させる危険性がない場合もありますし, 逆に症状がなくても感染させる可能性がある場合もあります. 従って, 症状の有無だけを目安にして基準を作るとうまくいかない場合があるということです.
それぞれの疾患については, 次項のまとめを参照して頂ければと思いますが, 大雑把には
・便からウイルスが排出されるものでは, 長い期間ウイルスが排出され続ける傾向がある
・発疹の有無は特に目安となりにくい
という感じです.
便からのウイルスには要注意
手足口病やヘルパンギーナ, あるいはウイルス性胃腸炎では数週間にわたってウイルスが排出し続ける可能性があります.
その間ずっと出席停止にすることは非現実的です. そのため登園再開と目安とはなっていません.
大事なことは, 登園再開となったあとも便の取り扱いにはしばらく注意する必要があるということです.
まとめ
以下の場合がそれぞれの感染症の登園再開の簡単な目安です:
・手足口病: 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく, 普段の食事がとれること
・ヘルパンギーナ: 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく, 普段の食事がとれること
・ノロウイルス胃腸炎: 嘔吐, 下痢等の症状が治まり, 普段の食事がとれること
・ロタウイルス胃腸炎: 嘔吐, 下痢等の症状が治まり, 普段の食事がとれること
・RSウイルス感染症: 呼吸器症状が消失し、全身状態が良いこと
・突発性発疹: 解熱して機嫌良好で全身状態が良いこと
・溶連菌感染症: 適切な抗菌薬(抗生剤/抗生物質)開始後24時間が経過していること
・伝染性紅斑(りんご病): 全身状態が良いこと
・マイコプラズマ肺炎: 発熱や激しい咳が治っていること
手足口病
<登園のめやす> 発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく, 普段の食事がとれること
「発疹がよくなるまで」というのはわかりやすいですが, 基準としては適切とは言えないかもしれません.
これは「発疹がない=感染させる可能性がない」とは言えないからです.
手足口病では回復後も飛沫や鼻汁からは1~2週間, 便からは数週~数か月間ウイルスが排出され, この期間中は感染させる可能性があります.
その期間を出席停止にすることは現実的ではなく, また手足口病にかかった児が登園を控えることは感染防止の方法としては有効性は低いため, 冒頭で紹介したように登園のめやすが定められています.
ヘルパンギーナ
(以下工事中)
記事が気に入ったりしていただけたら、サポート頂けると幸いです。 今後の記事の資料収集の費用にいたします。