「具」
年度末の忙しさにすっかりやり込められてしまって、ドタドタ、ダバダバと駆けずり回る日々が続いている。
3月。なんでこんなに慌ただしくてせわしないんでしょうね。
冷静に考えてみれば、3月ってやつは1年間のうちのただの1ヶ月にすぎないはずなのに、たまたま年度の末に位置しているというだけで、ちょっと調子に乗りすぎではなかろうか。
3月に、あとで体育館裏に単独で来てほしい。
わたしの前に正座をさせて、「一気にいろんなこと詰め込みすぎ!日頃からちゃんとコツコツやんなさいよ!」と、こんこんと説教をたれてやりたい。
あとちょっとボコしてやりたい。右の頬にビンタを、手首にきついしっぺを喰らわしてやりたい。
おっと。暴力はいけませんね。
失礼いたしました。
気持ちに余裕がないとだめね。
これを読んでいるあなたはお元気ですか?
わたしは心が荒れ狂ってしまっており、てんでだめです。
せめてあなただけでも、元気かつ健やかに暮らしていてほしいものですね。
さてそんなこんなで、忙しさですっかり参ってしまって、くさくさしておりました。
今日もいつものように、コンビニで買ってきた昼食を広げて食事の準備をしていたのですが。
セブンイレブンで買った豚汁にお湯を注ごうと思って、何の気なしにパッケージから中身を取り出していたら、
「具」だった。
想像以上に「具」だった。
それ以上も以下もなく、ただ「具」とだけ記されていたパッケージ。
飾りもなく、余計な説明も一切なく、ただ「具」ですよという意思表示がそこにはあって。
それを目にしたとき、なぜかほっこりしてしまって、とげとげしていた心がすっかりふにゃふにゃになってしまったのでした。
3月のやつも、もうあとしばらくで終わりですね。
さっきはいろいろひどいこといってごめんよ。
まあ、正座なんかしなくていいからさ。
そこの椅子にすわりなよ。
はいコーヒー。最近さむいから。これでも飲んであったかくしてね。
ただの「具」ごときに救われてしまうような、最高にちょろい人間でよかったわね。
これからも、ささいな「具」に救われるように、何かほっこりするようなものを拾いあげて愛でていける自分でありたいものですね。
いそがしい日々を、とげとげした日常をかみしめて、そのまま、まるごと愛すのだ。