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エンタメにはレイティングの強化が必要だ。

 今回は日本における映画、アニメ、ドラマといった作品の年齢制限レイティングについて記していきたいなと思います。

 突然ですが、今小学生の間で流行っているものが何か知っていますか?
それは『鬼滅の刃』です。まあ、鬼滅の刃は小学生の間だけでなく、学生から大人まで様々な人々の間で話題になっていますね。
  正直言ってこんなに流行ったのには驚きました。元々、私の友達がアニメが放送される前からの鬼滅ファンだったので、少しだけ単行本を読ませてもらったことがありました。しかし、第一話から悲壮感&グロ描写満載で、本当にジャンプ作品か?と思いましたし、絶対万人受けする作品ではないと感じました。
【ちなみに単行本はちょうど蜘蛛山編の5巻あたりで離脱しました……】

 そのような思いはどこかへ消え去り、アニメ化は大成功。主題歌を歌うLISAが紅白歌合戦に出場するなど鬼滅ブームは大旋風を巻き起こしました。
 そんな中、映画化を記念してフジテレビ系の「土曜プレミアム」で10月10日、17日に二週連続でアニメの総集編が地上波全国放映されるようです。
 これはかなり異例のことです。深夜枠で放送されていたアニメが全国地上波かつゴールデンタイム、そして二週連続で放送、鬼滅の刃という作品がいかに注目を集めているのかが分かります。

 この放映で鬼滅の刃という作品に初めて触れるという方はかなり多いのではないでしょうか。しかし、しかしです。いくら世間で大流行していようとも鬼滅の刃という作品にはグロを伴った残酷な表現がある、ということは多くの人に認識しておいてほしいです。間違っても小さなお子さんが気軽に見て、トラウマになるということは起きて欲しくないです。そしてそのためにも、放映する番組側は「残酷な表現がある」ということをしっかりと視聴者側に伝えてほしいです。【劇場版鬼滅の刃はPG12に指定されているようです。】
  なぜ私がこのように過激な描写について敏感なのかというと、私は幼い頃、過激な描写による被害(?)をうけたからです。
 

 その”過激な描写”とはディズニー・ピクサー映画の「Mr.インクレディブル」でのワンシーンです。 

この動画の最後のほうの、大量の黒い球がMr.インクレディブル(ボブ)に迫ってくるシーンです。

 このシーンは「過激な描写」というにはほど遠いもので、たいていの人が特に何も感じないのかもしれません。しかし、私が初めてこれを見たとき、かなり幼かったこともあり、トラウマになってしまいました。熱を出した時に怖い夢として出てくるほどです。(今は克服しています。)

 私の思いは、楽しんで観ていた作品が突然のある1シーンによってその作品全体が不快なものになる、ということがおこって欲しくないということです。また、人気だからと言って精神的なダメージを受けながらも作品の鑑賞を続行するということをしないでほしいということです。そのために制作側や放送局、配給元などの送信側は視聴者側に配慮をしてほしいということです。

 「そんなこと言われても、すべての人に配慮した作品なんてつくるれない、そっちが見なければいいでしょ。」という意見があるかもしれません。これに関しては全くその通りです。作品を制作する側には表現の自由がありますし、見る側にも選択する自由があります。それに”すべての人に配慮”だなんて受け取る側も十人十色であるため不可能だと思われます。

 しかし、過激な描写によって悩まされる人がいることも事実です。
「グロ」を見ることによって精神的にダメージを受けることも事実です。

 私は、過激な描写をするな、と言いたいのではありません。過激な描写があるのなら、しっかりとその趣旨を視聴者側に伝えてほしいといいたいのです。

 「そんなこと言っても、どういうものが過激かなんて人によって感じ方は違うし……」はい、確かに。でも世の中には「レイティング」というものが存在しています。
 劇場で公開される映画はG(すべての年齢層が鑑賞可能)、PG12(12歳未満の鑑賞には成人保護者の助言や指導が適当)、R15+(15歳未満の入場・鑑賞が禁止)、R18+(18歳未満の入場・鑑賞が禁止)と、四つの区分に分けられています。また、ゲームソフトもA(全年齢対象)、B(12歳以上対象)、C(15歳以上対象)、D(17歳以上対象)、Z(18歳以上のみ限定)の五つの区分に分けられています。
 
 「レイティング」をしっかりと行い表記するということは、15歳以上だから鑑賞OK、18歳以上だから鑑賞OKということを表しているだけではありません。その作品がどのような描写を含んでいるのかを表すよい指標でもあり、視聴者への配慮にもなっているのです。

 実際に、私はデットプールやキングスマンといったR15指定の映画を楽しんで鑑賞しています。それが可能なのは事前に「この作品がR15指定であり、グロいシーンがある」と分かっているからです。グロいシーンに慣れている私でも、突拍子もなくそういうシーンが出てきたらかなり精神的にやられます。

 そんなレイティング、日本はかなり緩いものだと思います。アメリカと比べてみましょう。アメリカでは、G(全年齢対象)、PG(視聴制限はないが子どもに見せる前に保護者が内容を検討することを提案)、PG‐13(13歳未満の子どもの鑑賞には保護者の注意が必要)、R(17歳未満の鑑賞には保護者の同伴が必要)、NC‐17(17歳以下の鑑賞の禁止)に別れており、日本のものよりも細分化されています。
 日本とアメリカで公開された映画のそれぞれの国でのレイティングを比較してみましょう。

スクリーンショット (114)

 この図から日本におけるGという区分の映画はアメリカにおいてはG、PG、PG-13という三つの区分で公開されているということが分かります。これってかなり、ひどくないですか?上の図で例えると、GのトイストーリーとPG-13のアベンジャーズが日本に来ると同じ区分で扱われるのです。この二作品の表現が同じレベルだとは思えません。
【ちなみに私がトラウマをもったMr.インクレディブル、日本ではGの区分でしたが、アメリカではPGの区分で公開されたようです。】

 また現在公開中のクリストファー・ノーラン監督作の『テネット』が日本でも絶賛ヒット中です。そんなテネットですが、作中にDVの描写があり、観客への配慮が足りなかったのではと一部で物議をかもしています。
 テネットは日本ではGという区分で、アメリカではPG-13の区分で上映されています。PG-13は上の図のヴェノムからもわかるように、日本ではPG12の区分で扱われるものもあるのです。日本で大規模上映される映画の多くはG指定ですから、PG12指定で公開となると少し過激な描写があるのではと観客側も心構えをします。そのため、もしテネットがPG12指定で公開されていたのならば観客側へ配慮の気持ちを表すことができたのかなと感じます。

 そして、もう一つ。2018年に日本で公開された『キングスマン ゴールデン・サークル』、この映画はアメリカではR指定で公開されました。しかし、日本ではPG12で公開されたのです。(ちなみにこの作品の前作、『キングスマン』はR15+で公開されました)この映画を観たことがあればわかると思いますが、かなり残忍で悪趣味な描写があります。PG12はちょっとおかしいんじゃないかと私も思います。実際、ファンの間でもR15のほうがよかったのではと疑問視されています。(もしも、興味があるのだったら少しググったうえで作品を鑑賞してください。かなりえぐいです。)
 映倫がキングスマンにおけるこの描写はR15には値しないものだ、と判断したのでしょうけど、それはそれで大問題ではないかと思います。レイティングは観客にどういう映画であるかを示すものでもあるのに、観客との間に描写の感じ方の乖離があってはレイティングの意味をなしていません。映倫は観客の意見に沿ってレイティングを行うべきです。

 そして、これは地上波で放送される作品についてなんですが、少し過激では?と感じる描写が多々あります。銃で撃たれた人から大量の血が飛び散る、刃物で刺される様子がアップで映される、切断された体の一部がアップで映される、こういったものを21時、22時から放送されるドラマでみたことがあります。よくよく考えてみると、かなり過激です。意外とアベンジャーズとかのほうが表現がおだやかですね。
 これは劇場公開される作品と違って具体的なレイティングがなされないからなのかなと感じます。そのため私は地上波で放送する作品にもレイティングを行って(規制はできないけれども)対象年齢などを表記するくらいのことはしてもいいんじゃないかと思います。BPOなんていう組織もありますしね。
 

まあ、長々と書いて結局何が言いたいのかというと

・映倫、きちんと仕事してくれ!!!

・BPO、きちんと仕事してくれ!!!

ってことです。

 上にも述べたように、私はただ作品を楽しんで鑑賞してほしいのです。突然の過激なワンシーンによって視聴者がダメージを受けるということがあってほしくないだけのです。

 映倫、BPOにはその存在意義を深く考えしっかりと責務を果たしてほしいです。

 あ、最後に、Netflixにも一言。ストレンジャーシンクスやジョーカーなどのレイティングがしっかりとついている作品がある一方で、どう見てもR15、R18の作品なのに一切表記がされていないものもあります。こちらもきちんとレイティングを表記してください!



かなり長くなってしまいましたが、読んでいただきありがとうございました。



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