06.本当は教えたくない、社畜のための物件選び・前編
今年ももう11月。時期的に企業から内定をもらってる学生さんも多い事だろう。就職は人生における一大イベント。特に社会人生活と都会での新生活が同時に始まる地方の学生さんは大変だ。生まれて初めて一人暮らしをする人もいるだろう。
今日のテーマは「新社会人の物件選び」だ。だが、仕事は充実、職場はホワイト、自宅に帰れば彼女が夕飯を用意して・・・みたいなリア充向けの物件は紹介できない。手に入れた時は「チョコレート工場へのゴールデンチケット」さながらに輝いて見えた内定通知書だが、実はゴールデンチケットどころか「地獄への片道切符」だった。そんな社畜型ウンパ・ルンパに適した物件の選び方で重要な五つのポイント、①建物構造、②立地、③周辺施設(買い物)、④周辺施設(飲食店・平日枠)、⑤周辺施設(飲食店・ご褒美枠)をご紹介させて頂く。
①建物構造・・・お洒落な間取りや使いやすいキッチン、窓から見える綺麗な夜景、、、そんなものは何も気にしなくてよい。家とは「洗濯」して「寝る」だけの場所だからだ。洗濯物が乾きやすいベランダと、防音がしっかりしてそうな壁があればそれでいい。理想を言えば夜中に洗濯機を回せるほど壁に防音性能があり、乾燥機能がある浴室があれば素晴らしい。日々の疲れから洗濯を疎かにした結果、明日着ていくシャツやパンツがなくなったのでコンビニに買いに行かなければ・・・。往々にして社畜はそのような危機に見舞われる。夜中に洗濯→朝までに乾燥が出来る環境なら大きなアドバンテージを得る事となる。
②立地・・・とにかく駅から徒歩で通える距離を心がけよう。「自宅から駅まで少しバスに乗るだけでかなり家賃が抑えられる」は典型的な罠だ。残業を乗り越え、瀕死の状態で自宅最寄り駅まで帰り着いたのに自宅方面行きのバスがもう無い、なんてザマになる。駅近物件は家賃も高くなるが、収入の許す限り駅に近い物件を選びたい。
自宅最寄り駅と会社最寄り駅は遠すぎたら通勤がしんどくなるが、かと言って近すぎるのも問題だ。部下をポケモンや召喚獣と勘違いしてるのか、簡単に呼び出せると思っているクレイジーな上司がたまにいるからだ。彼らはすでに退勤してる部下に電話して、「ごめん、今から会社来れる?私服でも良いからさ」と、謎の優しさに包まれた無茶ぶりをしてくる怖ろしい生き物だ。とは言え、彼らにも多少なりとも遠慮の心というやつがあるらしく、往復2時間かかる部下を呼び出すなんて事はさすがにない。逆に言うと、往復30分程度ならさも当然かの様に呼び出す。会社まで一駅、なんてのは死地に住むようなものだ。避けておこう。
③周辺施設(買い物)・・・自宅から歩いて行けるコンビニがあるのは必須として、最寄り駅周辺、または通勤ルートにスーパーやドラッグストアがあるのが望ましい。最寄り駅が割りと小さな駅なので家賃が安かったけど、「周りにコンビニくらいしかないので、コンビニでビールを買う習慣がついてしまった」なんてパターンは逆に損をする事がある。ビールや缶チューハイ、バーボンウイスキーのような生活必需品を安く買える環境に住んでいればお財布の負担も軽くなる。
当然、それらの閉店時間は遅い方がいい。ドラッグストアなら残業用のカップラーメンやカロリーメイト、栄養ドリンク等の物資を補充できるし、スーパーなら晩御飯や晩酌のあてを調達出来る。もちろん、スーパーでの狙いは半額シールが貼られたお弁当やお惣菜だ。お財布に優しいし、食品廃棄ロス削減の観点から地球にも優しい。欲を言えば、閉店間際に滑り込んでも毎日のように半額のパック寿司が並んでる、商品在庫管理がガバガバなスーパーだと尚ありがたい。食品廃棄ロス削減の観点からすれば地球に優しくないが、社畜のお財布には優しい。
ちなみに私がおススメするスーパーはマルエツだ。あそこのお総菜コーナーは宝の山だ。特にローストビーフ(※現在、マルエツで販売されてるかは不明)が他の店のそれより群を抜いてる。貧乏人からすればローストビーフなんてどう考えても贅沢品だが、マルエツのはホースラディッシュ(西洋からし)の小袋が付いてて更にゴージャス感が増している。寝る前にこいつで一杯やれば気力も回復する。
④周辺施設(飲食店・平日枠)・・・社畜には料理なんてする時間も気力もない。帰ってきた頃にはスーパーが閉まってるケースも多いし、運が悪い時はコンビニのお弁当の棚もスカスカだ。よって、基本は外食となる。
社畜の食事で何よりも優先されるのは早さ。早さと言えばもちろん牛丼だ。但し、どれかの牛丼チェーン店が一軒だけではダメだ。吉野家、すき屋、松屋の3大チェーン全てが揃っているのが理想だ。プロのサラリーマンはその3つをその日の気分によってエレガントに使い分ける。例えば、私ならこうだ。
吉野家・・・豚丼、牛鮭定食、牛すき鍋御膳
すき屋・・・ねぎ玉牛丼
松屋・・・牛めし、焼肉定食、牛あい掛けカレー
上記は私が良く食べる「一軍」のメニューで、これだけでも色々と選べるわけだが、たまに食べたくなる吉野家の唐揚げ系メニューや、すき屋のまぐろたたき丼、期間限定メニューをバンバン出してくる松屋のシュクメルリ鍋定食、煮込みハンバーグ定食、トマトカレー等を加えると、選択肢は更に広がる。
このように3大チェーンが揃ってるだけで食事の充実度は格段にアップするので、是非ともこの3つが生活圏内にある物件を探して欲しい。3つが厳しければ、最低でも2つだ。
立ち食い蕎麦もマストだ。特に夏場は非常にお世話になる。暑さと残業にやられて食欲がない時も、ざるそばならズルズルいける。どのチェーンかは個人の好みに委ねられるが、私的には「箱根そば」が近所にあったら嬉しい。私が心から愛する「天ざるセット」。海老天が二本もついてる、実に贅沢な一品だ。お腹も心も満たされる。
ちょい飲みが出来る「富士そば」も捨てがたい。少し早く帰れた日に天ぷらをつまみにビールをやって、そこからそばを投入。なんて至福の時を過ごすことが出来る。
とは言いつつ、「小諸そば」や「ゆで太郎」にもそれぞれの良さがあるから難しい。立ち食いそばチェーンに貴賎なし。それぞれが特別なオンリーワンだから実に困る。
牛丼やそばほど早くはないが、ラーメン、中華、定食系も可能ならば少しは押さえておきたいところだ。少し早めに退勤出来た時にゆっくり食事するのも悪くない。日高屋、バーミヤン、餃子の王将、やよい軒、大戸屋。メニューも豊富なので、どれか一軒あるだけで力強い味方となる。特に日高屋とバーミヤンはアルコールも割と安価で提供されるので、次回紹介するご褒美枠にもなりえるオールラウンドさも兼ね備えていておススメだ。
チェーン店だけでなく個人経営のお店も魅力的だが、社畜が残業を終えて帰り着いた時には閉まっている事が多い。個人経営のお店と社畜は別の時間軸で生きているという事だ。
社畜は可能な限り食べたいものを食べれる環境に住んでいた方が胃袋面はもちろん、精神面においてもプラスに働く。何故なら、社畜の日常には運良く訪れた晩酌の機会を除き、通勤電車で小説を読んだり動画を観たりする事と、食べる事以外の楽しみがないからだ。
さて、予定よりも文字数が増えてしまったので、今回はここまでを前編として締めさせて頂く。一応、グルメ系の記事という事になっているので、①建物構造、②立地なんかはそれぞれ数行でサラッと終わらせるつもりだったのだが、「我ながらなんて良いアドバイスなんだ」と悦に入りながら書いてたら結構な行数になってしまった。若い社畜候補の皆様へこのアドバイスが届く事を祈る。
次回は「⑤周辺施設(飲食店・ご褒美枠)」。待望の週末に相応しい、お祭り感溢れるジャンクフードについて書き連ねていこうと思う。ご期待のほどを。
それでは、今回もご拝読ありがとうございました。
【次回予告】・・・週末、それは社畜に訪れたつかの間の休息。だが、休んでいる暇はない。残業に打ちのめされ、KO寸前になっている気力ゲージを回復するため暴飲暴食だ。場所を会社から居酒屋へ、手に持つものをボールペンからビールジョッキに代え、週末も社畜は戦い続ける!
次回、「07.新社会人の物件選び・後編」
「そこんとこ、よろしく!」(※剣桃太郎風に)