テント
一番好きな登山スタイルはなんですか?と問われたら、迷いなく「テント泊縦走」と答えます。
アウトドア趣味には活発で陽気なイメージがあると思いますが、僕の場合は引きこもり精神が振り切れた末に山奥へと行き着いたのだと思います。
日常から離れて、より孤独になるために、より遠くへと歩いていく。そして一人泊まり、翌朝また歩き出す。
そんな非日常の要ともいえる存在のテント。僕は現在3張を使い分けています。
表題をテントとしておきながら、今回紹介する3張はすべて ※一般のテントではありません!的な注意書きが記されているアイテムです。
ツエルト2 ロング (ファイントラック)
僕もはじめは一般的なダブルウォールの山岳テントから使いはじめました。ただ、大きくて重たいリュックサックを背負って山に繰り出すには、文字どおり重い腰をあげなければいけませんでした。実際の登山中はもちろんの事、行き帰りの混雑した山手線での移動や、満員の登山バスで膝に乗せた荷物が食い込む事が負担になっていました。
そんな時、型落ちセールになっているこのツェルトを見かけました。装備の軽量化になんとなく興味を持っていて、この商品の評判が良い事は知っていたので、良い機会だと思い購入しました。
まるで絵本に出てくるスナフキンのテント。ドーム型のテントと比べると頼りなく見えますが、天頂部に強靭なテープが使われており、かなり強いテンションがかけられ中間部にサイドリフターもあるので、きっちり張れば十分な耐候性が生まれます。
6〜8ヶ所のペグダウンが必要で手間もかかりますが、そのぶん綺麗に建てられた時は他のテントにはない満足感のようなものが生まれます。自然との距離が近く感じられる構造と相まって、単なる野営の手段ではなく、ツェルトで泊まるという目的になり得るアイテムだと思います。
クロスオーバードーム (ヘリテイジ)
メーカー曰く自立式のツェルト。フロアを含め全体が薄いナイロン生地で作られていて、耐水圧などはダブルウォールや防水透湿素材のテントには劣りますが、縫い目にはシームテープ処理が施されており、通常の雨であれば十分耐える事が出来ます。
オススメは内部床面に薄い防水シートを敷く事。それによって体重がかかった部分から水が染みてくるのを防ぐ事が出来ます。
地面の状況にかかわらず建てられる自立式のシェルターで700gというメリットは偉大で、雪や岩だけではなく舗装されたコンクリートの上でも幕営が可能です。
テント場の滞在時間が長くなりそうな場合や、夜間の降水確率が高い時など、迷ったらコレを持っていけば間違いないという信頼感のあるシェルターです。
ストックシェルター・PRO (信州トレイルマウンテン)
重量200gほどの超軽量シェルター。必要なガイラインやペグの数も少ないのでツェルトと比較しても重量や嵩のアドバンテージは結構あります。
長辺2ヶ所を固定し内部にトレッキングポールを逆V字に組みこめば自立するので、設営が簡単です。雨の中で幕営した事もありますが、短時間で建てられるので内部がほぼ濡れずに済みました。
山岳レース用に開発されたため、短時間の仮眠向けで内部は極めて狭く、ひし形の長辺部分はバタバタと風に煽られます。その分密閉性があり暖かく、音がうるさいだけで耐風性も意外と高く感じられます。
装備の軽量化にはメリットもデメリットもあり、人それぞれ譲れないポイントや削れない装備もあるでしょう。
ただ、軽いシェルターを使いはじめた事により、テント泊登山へ気軽に行けるようになった事は確かです。また、軽量化によって長い距離を歩く事が可能になり、同じ日数で行ける場所の選択肢も広がりました。
幕営時よりも行動時の快適性を重視するスタイルの登山を、今は楽しんでいます。
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