“CRYSTAL*IZ”~IZ*ONE「Highlight」in MGMA 2019.8.1
IZONEは2年半の活動の中で、数々の素晴らしいステージを見せてくれたが、個人的に2019年8月1日に行われたMGMAでの「Highlight」のパフォーマンスは特に印象深いものだった。
この時のパフォーマンスはYouTubeでも公式にアップされており、再生回数は約645万回を記録している。
MVを除けば2018年のMAMAや、活動休止明けで非常に期待が高まっていたBLOOM*IZの時のカムバックショーに次ぐレベルの再生回数である。
この日は同じ『HEART*IZ』の収録曲の「Violeta」のパフォーマンスもしているが、こちらの再生回数は約200万回。
「Highlight」が1曲目だから伸びたということもあるだろうが、同じアルバムの活動曲の3倍以上の再生回数ということは、ファンにとってもこの日の「Highlight」にインパクトを受けた人が多かったのかもしれない。
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2019年8月1日 at OLYMPIC PARK / KSPO DOME
冒頭、会場全体が映し出され、幻想的なインストゥルメンタルと紫の照明が飛び交う中、すでに独特なムードが生み出されている。
この場面で「CRYSTAL*IZ」というテロップが表示されるのだが、これがなんとも意味深である。
当時のTwitterを調べてみると、次のアルバムのタイトルなのでは?という予想をしているツイートを何件か見かけたが、そうではなかったことはすでに証明されている。
となると「Highlight」に入るまでの30数秒の短いインスト曲のタイトルと考えるのが普通だろう。
しかし個人的にはこの日のステージのコンセプトのことだったのではないかと思っている。
MGMAでの「Highlight」のパフォーマンスは、まさに“CRYSTAL*IZ”としか言いようのない特別な輝きを放っていた。
幕が開くとまずチェヨン、奈子、イェナ、ミンジュ、ユジン、ミンジュ、仁美の7人が登場する。
ここでユジンの表情がアップで映し出され、感情を抑制したような表情から柔らかな微笑みに変わる瞬間が魅力的だ。
その後ユリ、咲良、ウォニョン、ヘウォン、チェウォンが舞台の下からせり上がってきて12人が集結する。
この12人が揃った時に放たれる特別なオーラは、まだデビュー1年足らずだったグループとはとても思えない。
彼女たちは確かに魅力的で美しい女性だが、同時にENOZIなどで見せる姿を見れば、ごく普通の女の子たちであることも、ファンであればよく知っているだろう。
しかしひとたびステージに上り12人が揃うと、誰にも真似できないような圧倒的なカリスマ性が放たれる。
これは選ばれたグループにのみ与えられる魔力のようなものなのかもしれない。
この日のステージで特に印象的なのがウォニョンとユジンだ。
当時ウォニョンが14歳でユジンが15歳というのが信じられない。
K-POPにおいては、ローティーンから活躍するアイドルは少ないがやはりこの二人は別次元の存在だと思う。
IZONEがこの時期まではあまりパフォーマンスすることがなかった、大人っぽい雰囲気の曲を、若すぎる二人が牽引して表現している。
アンファンテリブルと言いたくなるような恐ろしさすら感じる。
『HEART*IZ』でのカムバックの時には、「Violeta」はもちろんのこと、「Hey.Bae.Like it」「Really Like You」「Airplane」「Up」といった収録曲は、それぞれの音楽番組でパフォーマンスされていたにも関わらず、「Highlight」は披露されることが無かった。
言ってみれば、アルバムのサブ曲ですらない楽曲でこのクオリティなのはやはりすごいことだと思う。
また振り付けはPRODUCE48でトレーナーを努めたチェ・ヨンジュンによるもので、これが大変素晴らしい。
派手なダンスではなく、腕や手の美しい動作が印象的な振り付けで、この曲の持つ「静」の魅力が存分に引き出されている。
「Highlight」はこれ以前にも1st CONCERTでは披露されているし、これ以降何度もパフォーマンスがされているけれど、このMGMAの時以上に強い印象を受けたことはない。
「Highlight」はコンサートでたくさんの曲をパフォーマンスする流れの中で見せたり、あるいは普通の音楽番組の雰囲気の中で披露するよりも、授賞式のような大舞台にこそふさわしい、ある種の格式を持った楽曲といえるのかもしれない。
衣装やセットもそうだが、この時の空間も含め、曲の可能性が最大限に引き出されている思う。
それにしてもこのステージを見て思うのが、これだけの大観衆の中で不思議な静寂感が立ち上がっていて、それがIZONEの他のアイドルにはない独特な存在感につながっている。
この日の会場だった、オリンピック公園KSPO DOMEは収容人数15,000人の、韓国な中でも屈指のキャパ数を誇るコンサート会場だが、IZONEは会場が大きいほど輝きを増すグループだと思う。
この時期のIZONEはデビューした頃には見受けられたどこかあどけない雰囲気は消え、様々な経験を積んだことでより洗練されたグループに変貌していった。
そういう意味で、この日のステージは個人的に初期IZONEの到達点だったと感じる。
この後活動休止を挟み「FIESTA」以降グループとして、さらに一段とスケールアップしていくわけだがそれはここから半年ほど先の話である。
Highlightという楽曲が持つ意味
「Highlight」は曲を聴いている限りでは、美しい静寂感のある大人っぽい雰囲気の曲だと感じるが、歌詞の内容を知るとまた少し印象が変わってくる。
IZ*ONE「Highlight」
作詞:チェボカド, So Jay
作曲:イ・テフン, Sam Carter, RAMI NU, bK
【訳詞】
暗闇に覆われて霞んでいる原石
輝けそうで輝くことができない
その中に閉じ込められたまま さまようあなたを
導く 毎日 毎日
My own way way way
色あせた姿でも もっと濁った姿でも
完璧にそうYeah
遠ざかっても 少し遅くなっても
いつかはきっと輝けるようにYeah
冷たいSpot Light
その視線さえも結局 私にはSun Light
明るい光に変えていく
Want to know want to know
You want to know
ただ私を見て I make my own
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Oh 私は全てがHighlight Hi Highlight
Oh 私は瞬間瞬間がHighlight Hi Highlight
今のままで飾り気のないこのままで
ありのままで私はHi Highlight
Highlight
まだ気づかれていないあなたという宝石
Twinkle
ようやく気づかれるずはずだよ
きらきら照らせば君は輝き出す
眠っていた君の姿をありのままに見せて
この瞬間Forever
We are at all time together
青いMoon Light
その月明かりさえも結局 私にはPin Light
私の舞台に変えていく
Want to know want to know
You want to know
ただ私を見て I make my own
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Oh 私は全てがHighlight Hi Highlight
Oh 私は瞬間瞬間がHighlight Hi Highlight
今のままで飾り気のないこのままで
ありのままで私はHi Highlight
Highlight
届かなかった君がいる場所に
私のためだけの場所を開けてOh
きらきらと明るく眩しい瞳で
私と目を合わせてLook at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Highlight Look at me
Oh 私は全てがHighlight Hi Highlight
Oh 私は瞬間瞬間がHighlight Hi Highlight
今のままで飾り気のないこのままで
ありのままのあなたは Hi Highlight
Highlight
参照サイト
https://www.youtube.com/watch?v=n-ObTcbPWaA
https://ameblo.jp/happyoko1634/entry-12451435277.html
https://www.hellokpop.site/entry/IZONE-Highlight-lyrics
日本はもちろんのこと、韓国のアイドルソングの中でも相当高級な歌詞だと思う。
同時にIZONEだからこそ、よりふさわしい内容の歌詞とも感じる。
暗闇の中で今はまだ輝くことができない原石。
輝くことを強く願い、冷たい視線や微かな月明りさえ光にして自分の舞台に変えて見せるという強い思い。
しかし「Highlight」は別人に生まれ変わって宝石になってみせるという歌ではない。
歌の中では“今のままで飾り気のないこのままで”であったり“ありのままで”という言葉が何度も繰り返される。
つまり自分は自分のままで輝いてみせるという意思が表現された歌詞なのだと思う。
そういう力強い歌詞でありながらも、美しい静寂感と若干の不穏さも感じるサウンドに包まれると、今にも壊れてしまいそうな繊細さもそこに見ることができて、「Highlight」はとても多様な魅力を含んだ楽曲である。
まだ輝くことができない原石であったPRODUCE 48を経て、デビュー以降あっという間にスターダムを駆け上がっていき、その後も力強く歩んでいったIZONEにぴったりだし、その姿をずっと見てきた多くのファンにとってもジャストな内容だと感じる。
先程書いた、MGMAのステージのオープニングで出た「CRYSTAL*IZ」というテロップも、歌詞の内容を知ると「Highlight」にフィットした言葉だと思う。
この曲によってIZONEのクリスタルのような輝きが存分に引き出されている。
僕は「Highlight」はアルバムが発表されてすぐにお気に入りの曲になったが、咲良もさくのきでこの曲が一番好きと語っており、メンバー人気も多分「Highlight」が一番高いという話も聞き、なんとセンスのいいメンバーたちなのかと嬉しくなったことを覚えている。
仕事帰り最寄りの駅から自宅に歩きながら向かう間に、何度となくこの曲を聴いた。未だに聴き続けている。
自分にとっては夜に歩きながら聴くのにぴったりな曲なのだ。
IZONEの楽曲の歌詞は、例えば特定のシチュエーションのラブソングなどより、IZONEが今置かれている状況だったり、あるいはIZONEというグループについて高潔なタッチで描いた歌詞が一番あっていると思う。
「Highlight」だけではなくその後の「Panorama」もそういう内容だと感じる。
現在のK-POPの中では、ガールクラッシュ系のグループの場合、それぞれのグループとしてのメッセージを歌詞で打ち出すようなケースも多いが、IZONEはデビュー以来、それとは異なるコンセプトの歌詞の世界観で自分たちのブランドを作り上げてきた。
サウンドも含めこの方向性を示すのに最も大きな役割を果たしたのは、なんといっても花三部作をプロデュースしたハン・ソンスであろう。
彼は色んな悪評のある人物ではあるものの、個人的には人材の宝庫である今のK-POPの中でも、二人といない才能の持ち主であると思っている。
またパフォーマンス面でみても、「Highlight」によってIZONEの表現の幅が広がった。
PRODUCE48時代の楽曲である「Rumor」もクールな楽曲でダンスもかっこ良く(振り付けはこれもチェ・ヨンジュンによるもの)、IZONE初期には披露されることもあったが、いま当時の映像を見ると、まだクールな表現を完全に自分達のものにはできていないように感じる。
初期のIZONEは、咲良も上記のさくのきの中で語っていたが、リード曲以外では明るくて可愛い感じの曲が多かった印象だが、「Highlight」以降は大人っぽいかっこよさも自分たちの魅力として表現できるようになっていった。
可愛らしさとクールさを自由に操る術を身につけ、より高度なグループに成長したと思う。
これ以降IZONEのクールな路線は、「Highlight」同様1st CONCERTですでに披露されていた「AYAYAYA」が、『BLOOM*IZ』が発表された時にはさらにブラッシュアップされていったし、最終的には『One-reeler / Act Ⅳ』での「Panorama」や「Sequence」で結実した。
こうしてIZONEは、凡百のガールクラッシュ系グループでは到底及ばないカッコよさを手に入れ、そういったグループには表現できない、しなやかさも兼ね備え、現時点でのK-POPの中でも最強のグループになったと思う。
そのスタート地点が僕にとっては、2019年8月1日に観た「Highlight」なのである。
IZONEが大好きなアイドルグループから、より特別な存在に変貌していく瞬間に立ち会った興奮。
これからもこの日のステージのことはいつまでも自分の胸の中に残っていくと思う。
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