音声作品『隣人』によせて
オリジナルの音声作品を公開しました。
21分20秒の短編作品です。
・音声作品『隣人』
脚本・演出 僻みひなた(しあわせ学級崩壊)
録音・ミックス 深澤大青(しあわせ学級崩壊)
出演 藤本悠希(劇団肋骨蜜柑同好会)、林揚羽(しあわせ学級崩壊)
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ちっぽけな自分の人生で息をするだけでも精一杯なのに、
そんな生活が有象無象とあるという、当然のことを忘れたくないという、小さな抵抗と決意表明です。
壁の向こうと、街並みの中にある、知らない誰かの人生に、思いを馳せてみようとする、壁の中の少女を演じています。
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コロナの影響で、家に閉じこもる時間も増え、
演劇ができなくなったことで、良くも悪くも、自分と向き合う時間が増えました。
それによって、わたしは以前よりも、自身に栄養を与えられるようになった実感があります。
ただもう一方で、会わなくなった人たちへの想像力が減った実感もあります。
自分の部屋だけで完結する世界は、平和で穏やかですが、
壁の向こうで誰かがいなくなっていることを実感できないことが、恐ろしくて仕方がありません。
これはコロナの前もかわらなくて、ただ顕著になっただけなのですが。
自分の想像力が届く世界を広げられたらと
少しずつではありますが、できることをやっていきます。
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所属劇団であるしあわせ学級崩壊の主宰・僻みひなたが脚本・演出を担当してくれました。
しあわせ学級崩壊の舞台作品のPV動画
コロナの影響で、多くの出演予定がキャンセルとなりました。
これを機に言葉と声に向き合おうと思い、今年の5月から、個人で音声作品の制作をはじめました。
最初はひとりで取り組んでいましたが、誰かと一緒にやったほうが面白いので、
同い年の藤本悠希くんをいちばん最初にお誘いしました。
藤本くんは、自分の声質と相性が良く感じていて、音声作品をつくるならぜひ彼と…と思える役者さんでした。
『隣人』を公開するまでにも、藤本くんとは星新一作『午後の恐竜』の朗読作品も創作しています。
もともと藤本くんとは、2月末にしあわせ学級崩壊でも共演する予定でした。
その経緯から、藤本くんが「僻みひなたに演出してもらいたい」と提案してくれて、僻みひなたに持ちかけたところ、「発表時期や〆切を決めない」という条件のもと、オリジナルの音声作品を制作することになりました。
発表時期を決めずに作品制作に取り組むことで、
作品と満足いくまで向かい合える良さを感じています。
(〆切がないと作れないという人もいるので、人それぞれと思います)
それから、「僻みひなたの作品なら」と、しあわせ学級崩壊の音響スタッフである深澤くんも協力してくれて
とてもしっかりした形で、作品制作に取り組むことができました。
わたしはやっぱり、僻みひなたの創る作品世界が好きなので
はやくしあわせ学級崩壊の舞台作品を世に送れるようになりたいなと思いました。
いつになるかはわかりませんが、
それまで、
すこしだけそばにいてください。