祖母が手作りの朗読CDを聴いてくれた
そもそも朗読作品を作ろうと思い始めたきっかけは、コロナで祖母と会えなくなったからだった。
遠方でひとり暮らしする祖母は、いつも就寝時にカセットテープを流す。
演劇はあまり気が進まないし、朗読作品をつくってCDに焼いたら、
不眠症の祖母が、毎晩聴いてくれるのではないか、と思った。
思い立ったのが4月で、いままで、5つほど音声作品を手掛けた。
せっかく祖母に送るなら、明るい物語がいいな…とおもったのだが、明るい短編小説はあんまりなくて
自分が選んだ短編作品は、梶井基次郎『Kの昇天』とか星新一『午後の恐竜』とか
なんだか天に吸い取られそうな作品ばかりになってしまったので、祖母にCDを送れずにいた。
これなら楽しんでもらえるのでは?と選んだ宮沢賢治作『グスコーブドリの伝記』は、
音声作品の短編というには長かった。
結果、4か月かけて、ようやく物語の半分の制作がおわった。
全部作ってから送ろう…と思っているうちに、8月になってしまったので、
前半の朗読音源をCDに焼いて渡したところ
それはそれは喜んでくれました。
すごい上手ね、びっくりした
これは売れるわよ、売ってみなきゃ
出演している俳優さんはみんなプロ?本当にお上手!
でも朗読作品なら、ほんとうはあげちゃんが一人で読んで創れるようにならなきゃね
あげはちゃんはまだ声が若いから、聞きやすくていいわ
毎晩くりかえし聴いているうちに、物語がよくわかるようになって、
むかしの人もこういう天変地異に襲われていたんだわ、それにしたらわたしたちの災難なんてほんの一部ね、
とか、いろんな感想をくれました。
宮沢賢治『グスコーブドリの伝記』は、ほんわりした自然的な言葉とは裏腹に、
ブドリの生い立ちや生涯は、平成を生きてきたわたしからしたら苦難の連続で、
意外と暗い物語かもしれない、と作りながら悩んでいたので
前向きな感想がもらえてうれしかった。
実は他にも何作か作ったんだけど、暗いお話だったから送らなかったんだ、と話したら、
人生楽しいお話ばかりじゃないんだから、暗いお話があってもいいのよ
暗くてもいいじゃない
と言ってくれた。
青空文庫の作品を声に出して読むようになって
長い時間生き残ってきた言葉や物語って、こんなに強いのか…と感じていたのだけど
自分よりずっと長く生きている祖母にも、同じことを感じるのでした。
音声作品は、家から出られない人にも聴いてもらえるのが、すてき。
演劇は、その場に来れる人にしか渡せないから。
祖母が続きをたのしみにしてくれているので、まずは続編を作ります。
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【朗読】宮沢賢治作『グスコーブドリの伝記』
・宮沢賢治 作『グスコーブドリの伝記』一 森|二 てぐす工場 🎵23:55
🐦配役
林揚羽(しあわせ学級崩壊)…語り/ブドリ/ネリ
大迫旭洋(不思議少年)…おとうさん/籠の男
田久保柚香…おかあさん
篠原正明(ナカゴー)…てぐす飼いの男
・宮沢賢治 作『グスコーブドリの伝記』三 沼ばたけ 🎵19:05
🐤配役
林揚羽(しあわせ学級崩壊)…語り/ブドリ
塩原俊之(アガリスクエンターテイメント)…主人(赤ひげ)
田久保柚香…主人のおかみさん
小熊ヒデジ…おじいさん/水下の沼ばたけの主人