ヴィーガンで補うことが難しいと言われている《ビタミンB12》が海苔で摂取できるのか?調べてみた。
最近ふと気づくと、周りにヴィーガンを公言する方が増えていました。
『ヴィーガンの食生活にしてから体が軽くて調子が良いんだよね。』
なんでも、今はいろんな擬似食品が開発されていて、ほとんどの栄養がプラントベースで摂取できるそう。
例えばこの《NEXT牛丼》。
私も食しましたが、確かに牛丼。
やや肉汁が足りない感もありましたが、言われなかったら気づかないレベルです。
普段の食事としてはもちろんですが、常温商品で製造後からの賞味期限が3年のため、災害が起きた非常時の防災備蓄食料品としても大変おすすめです。
タンパク質などの栄養も摂取でき、植物性なのでコレステロールもゼロと、健康面でもメリットがあります。
非常食と聞くと、もしもの時に食べれる一方で、あまり美味しくないと思われがちですが、この「NEXT牛丼」の缶詰は常温のままでも美味しく、地球にも身体にもやさしい未来の非常食です。
栄養だけではなく"未来の非常食"という理念も素晴らしい。
他にもとんこつラーメンブランド「一風堂」から植物由来の食材で作るラーメン《プラントベース赤丸》が販売されるなど(*現在は販売終了)、
今この時代、このようなヴィーガンフードの出現で美味しさはもちろん"ほとんど"の栄養も摂取できてしまうんです。
ただ一つ、
"ビタミンB12(コバラミン)"だけをのぞいて。
『海苔からビタミンB12を摂取できるって本当?』
知り合いからもらったそんな質問に対して、本日は植物由来の食品中心だと不足する栄養と言われている"ビタミンB12"について。
諸説の通り海苔から摂取することは可能なのか?
色々な文献と専門の皆さんから聞き、電卓パチパチして調べた話。
どうぞゆるりとお付き合いください。
*ヴィーガン=完全菜食主義者と言っても、植物性の食品を中心とし、たまに肉や魚も食べるスタイルで「フレキシタリアン」と呼ばれる方もいます。他にも動物愛護や環境問題の観点など多くの理念からの行動となりますが、この記事の場合は完全菜食主義者でビタミンB12の摂取に悩んでいる方を想定して書いております。
【ビタミンB12とは?】
そもそも"ビタミンB12 "とはどんなものなんでしょうか?
ビタミンB12は、神経および血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助ける栄養素です。また、疲労や体力低下を引き起こす貧血の一種である巨赤芽球性貧血の予防にも役立ちます。
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』より引用。
わかりやすく解説すると「血液や細胞の助けになる、心身を健やかに保つために必要な栄養素」となります。
葉酸との関係性が深く、エネルギー代謝にも必要だそうです。
ただ胃の働きが重要となるため、高齢者や消化器系に問題があると摂取が難しくなるようですね。
ビタミンB12が足りないと、巨赤芽球性貧血の他に疲労、体力低下、神経症状が起こることもあるそう。
また、妊婦さんや授乳が必要な女性に必要な栄養ともされています。
【どんな食べ物から摂取可能なのか?】
ではどんな食べ物から、どれくらい摂取ができるのでしょうか?
引き続き厚生労働省の『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』より引用です。
画像にあるように、ビタミンB12は主に動物性食品中に含まれています。
植物性の食べ物の中では、海苔が含まれていますね!
主に推奨されているのはこちらの食材でした。
●牛レバーおよび二枚貝 (共に最良のビタミンB12供給源)
●魚、肉、鳥肉、卵、牛乳およびその他の乳製品
動物性食品が中心で海苔が入っていなかった...なぜでしょうか?
成分表を確認してみます。
ずらっと動物性食品が並ぶこの表に記載がありませんでしたが、海苔は100gあたりの含有量58μg(mcg/マイクログラム)と非常に高い数値でした。
*マイクログラムにはμgとmcgの二つの表記方法があります。
表に合わせ3オンスにしても52.2μgと3番目に高い数値。
数値だけみるとかなり有効な気がしますね...?
続いて100gあたりの量について調べてみます。
【海苔の100gはどれくらい?】
100gあたりのビタミンB12は58μg。
全型海苔1枚の重さはだいたい3g。
100gということは全型海苔30枚以上!
普段の食事で全型1〜2枚が妥当な量ですので、海苔屋である私にも高いハードルです。(海苔の買い付けの時だけ100枚以上食べますが)
普段食べる量で考えると、やはり動物性食品の方が生産性が良いのか...?
ここでビタミンB12の摂取推奨量を調べてみます。
成人に推奨されている量は2.4μg(mcg/マイクログラム)。
海苔の1gあたりのビタミンB12含有量は0.58μg。
全型海苔1枚3gなので、計算するとビタミンB12含有量は1.74μg。
ということは...
全型海苔1枚と半分で1日に必要なビタミンB12が摂取できる!
これなら現実的な枚数です。
そうすると量ではなく、摂取方法に問題があるのでしょうか...?
【ビタミンB12は海苔から摂取可能なのか?】
ここまで来たらとことん調べようと、大先輩の海苔屋さんの協力もあおぎ様々な論文や学説に目を通してみました。
結果「完全菜食において海苔はビタミンB12の供給源として有効である」というものと、「完全に有効とは言い切れない」というものがあり、正直素人に断言は難しい状況でした。
言い切れない理由としては、海苔を焼くか?焼かないか?でビタミンB12がどうなるのか?様々な研究結果があるようです。
なので「完全菜食において海苔はビタミンB12の供給源として非有効ではない。」という説が強い。
完全に有効とは言い切れないけど、ビタミンB12は海苔に含まれてるいるので、海苔を食べることで摂取できる可能性はあるよ、ということでしょうか。
焼海苔でも十分に摂取できるという学説もあるので、海苔屋的には断言したいところですが...ここまで調べると、実際に自分たちで研究して証明したくなりますね!いつか実現できたら。
【海苔からビタミンB12を摂取する方法とは?】
では海苔からビタミンB12を摂取する良い方法はあるのか?
専門家のお話だと、摂取の確率をあげる方法はあるようです。
まず乾海苔(完全に焼く前の段階)で食すること。佃煮も乾海苔や生海苔を使うことが多いので良い。焼かない方がビタミンB12が強く残るようです。
焼海苔なら細くしたりすることで摂取しやすくなるのでは?ということ。
●乾海苔(焼海苔の手前の状態の海苔)で摂取する
●フレーク状や粉末状にする
●佃煮で摂取する
例えばこんな食べ方、ぬま田海苔の《初摘み海苔のうまみフレーク》もそんな手助けができる一つかもしれません。
"一緒に食べる食べ物の栄養を補いながら、うまみ成分はかけ合って美味しくなる。"海苔はだから何かにふりかけて、何かを巻いて、食べるのが効果的なんだと思います。
古来からそう食べられてきた、日本の伝統食にはちゃんと意味がありますね。
ビタミンB12は間違いなく海苔に含まれています。
その摂取方法を工夫するともっと良いのでは?というお話でした。
ビタミンB12は蓄積性もあるようで、途中からヴィーガンになった方も体内に蓄積された分である程度は補えるようですが、子供の時からヴィーガンの場合は蓄積がない分、何かから摂取することが必要です。
ぜひ毎日の食卓に海苔をオススメしたいです。
栄養面で考えたら、有明海産でも初摘みである必要もありませんね。
大好きな産地の焼海苔、味海苔でぜひ楽しんでください。
私がこの記事を書きたい、と思った時に周りの多くの海苔屋さんが協力してくださいました。心から感謝をお伝えしたいです。
最後に。
実はヴィーガンの方でも使えるオリジナル製品をある料理家さんと開発中です。
"noteフードフェス"で発表予定ですのでお楽しみに!
参加にご興味ある方はこちらよりどうぞ↓
以上、本日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ぬま田海苔へ何かリクエストがあればいつでもご連絡を。note/Twitter/Instagramどこからでもお待ちしております。フォローも大歓迎です。
またこの記事に関しても、質問や疑問に対して私なりに色々と調べたり聞いたりしながら書いてみましたが、何かご意見やアドバイスがあればぜひお待ちしております。
<参考記事>
「厚生労働省 eJIME ビタミンB12」
「日本食品標準成分表2020年版」
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