マガジンのカバー画像

108
詩です。
運営しているクリエイター

2023年8月の記事一覧

五行詩 七篇

「くず湯」 くず湯の気泡をすする 恥ずかしいことがずっと つかず離れずの場所にある 耳栓のな…

18

詩:蝉

蝉が降り、土にほんのり波が立ち 蝉が降り、小石たちは微かに弾み 蝉が降り、舗装路は微かに傷…

13

詩:バービー

夏休みに先生が上がり込んで バービー人形の髪で 書き初めをさせられる 金髪美女をつき出して …

21

詩:人形劇

あっちから来た 皆に笑われて ぼくらもう迷子の矜持で さよならしよう 窓に穴をあけて かおり…

17

詩:台風はガラス越しに

自転車のはやさで とおくへ行くらしい 渦はだけど タイヤよりも おそいはずだ 予報士は アイ…

18

詩/川柳:白馬

蹄の音が きこえる ケチャップ貯金を もうすることはないだろう 透明なあしあとが連なり 輪を…

22

五行詩 五篇

「どうぶつ」 しんせんなどうぶつが 一番せつない窓をなでている 正直さをまだなくせないでいる しんせんなどうぶつのせつない 夢のような窓に指をあてがう 「焼けつく」 焼きついたミミズをはがす まっ濃いそのかげは さかさむきにも僕を焼きつけていた 殻ごとふみ潰すことはできる すぼらし、の通り道にいた 「いし」 川辺につみあげたきれいな石 あなたの好きなあなたを 乗っ取りかえす小さな石だ 川のかおいろは鱗みたいで鎖みたいで 騙されてもいいほどきれいな光だ 「レタス」 雨の根

詩:熱中症(気をつけて)

昼があおく いちばん遠くなるところに そんなところに 行くことがあった 照りと返しの 群生地…

23