財布を無くして思うこと
朝出かけようとして、カバンの中を見ると財布が無い。
あれ?その辺りに置いたかな?家の中の置いて有りそうな箇所をグルグル見遣る、パッと見無さそうだ。
昨日の行動を思い出し、仕事の帰りに車でスーパーに寄って買い物をしたな…そこまではあったよな…あ!じゃあ車の中か!急いで車の中を見に行く。しかし無い…
ん?ん?そんな訳ない…もう一度家の中をくまなく探そう。昨日帰ってきてからの行動をなぞりながら、キッチン、リビング、脱衣所、クローゼット、寝室、トイレ、床の上、ソファの下…どこにもない…この辺りから一気に焦りに変わってくる。絶対こんなとこには無いよなーと思うような戸棚の中や引き出しなど隠れてそうな箇所を片っ端から確認していく…が、無い。
一大事感がどんどん増してくる。さっき見た車の中や玄関周りを何度も往復し無いことが当たり前かのような気持ちになってくる。そしてようやく家の中には無くかなりまずいケースだと気づき始める。
昨日帰りに寄ったスーパーに置いてきた…?その場合、誰かに持っていかれている可能性が高くなる…急いでスーパーの電話番号を調べる。今は開店30分前、もしかしたら開店準備の店員さんが出るかもしれない。急いで電話をかける。昨日の23時頃買い物をした旨と財布を置いてきた可能性を伝え、落とし物が無いか確認する。ここで見つかれば中身の心配はあるが、ひとまず安心だ。お待ちくださいのあとの保留音がとても長く感じる。結果は…無い…。そんなはずは!と思うが無いものは無いのだろう。見つかったら連絡をいただけますか?と携帯電話の番号を伝え、電話を切る。
ここでパターンとしては、最悪の部類に入ってくる。誰かに持って行かれている…!という可能性。その場合、中身のお金はもちろん、クレジットカードの悪用やキャッシュカードの悪用も考えられる。ここでひとつの決断が迫られる。クレジットカードやキャッシュカード、免許証などすべての中身を再発行しなければならない。クレジットカードやキャッシュカードは使用停止にもしなくてはいけない。目の前にいくつものタスクが積み上がるのを感じる。それと同時に今月出たばかりのお小遣い3万円丸々入ってたよな…どう過ごそう…とたあなど現実的な問題も頭に浮かんでくる。
こうなったら、警察にも届けて見つかるのをひたすら待つしかない。時間があったら家の中ももう少し調べるけど望みは薄いな…。と無い前提の思考に切り替わり始める。
駅前の交番に向かう道すがらクレジットカード会社に電話をかけ使用停止の連絡を入れる。生年月日や携帯番号を伝え、財布を無くしカードも無いため使用停止の旨を伝える。調べてもらうと幸い無くしてからカードが使用された形跡はないようだ。しかしカードを止めるということは再発行するしかないことを知る。
再発行…カードが新しくなるということはカード支払いの登録もやり直しか…!また目の前にタスクが積み上がるのを感じる…。それでも無いと不便な世の中。再発行の手続きを依頼し電話に切る。
交番に到着し、財布が見当たらないので紛失届を出したいと話す。用紙に名前や連絡先を記入し、無くした状況や気づいた時間、中身の詳細を伝える。そのときに当たり前だが、あっ!と思ったことがあった。免許がないため、車の運転もできないのだ。現在車で通勤している自分にとっては、再発行しなければ車に乗れない…ここでも財布の中身の重要性に改めて気付かされた。一通り詳細を伝え、紛失番号をもらいこちらも連絡を待つこととなった。
再発行手続きなどやることは山積しているが、初動でしなければいけないことは一通りやった。ぐったりだ。お金を無くしたショックなどもあるが、これだけの情報が詰まったものを毎日携帯していることへのリスクを感じるようになった。毎日持ち歩けばまた無くす可能性も高くなる。昨今携帯電話も重要な個人情報の宝庫である。電子マネーなど金額的なリスクも抱えるようになってきている。しかし、携帯には無くしたときに期待は薄いが探せる機能が付いている。このきのうで見つかるケースもあるのだろう。しかし財布はこれだけの情報がありながら無くしたときに全くの無力なのである。このことを今回最も感じることとなった。今後財布に発信機など入れて追いかけられるようにするサービスが…いや難しいか。
無くしたと認識して3時間が経つ。今思うことは無くなった財布がどうしているかだ…もし持って行かれたのならばどんな人に持っていかれ、中身はどうなってしまっているのだろうか。クレジットやキャッシュカードは使用を停止したし、警察に届けたので免許の悪用も考えがたい。きっとお金が必要であればお金だけ抜いて捨てられてしまうだろう。奇跡的にどこかで見つかるかもしれないが、すべて完全な形で帰ってくることは難しいだろう。せっかくならお金に困ってる若いコが使ってでもくれればいいが、酒飲みのおっさんなんかがビッグマンを買ったりするお金になっていたらと思うとやり切れない。突然蒸発してしまった恋人を思うかのような、そんな気持ちで財布のことを考えながら、スーパーや警察からの連絡を待つのであった。あ、次の財布どんなのにしようかな…。