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ユリコタイガーが“アニソン”に夢中になったわけ「いろんなジャンルがあることに驚いたんです」海外で『ハルヒ』のCDは高級品だった?

「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。2024年9月の深堀りテーマは“音楽”。うれしい時、悲しい時、幸せな時。そして、ちょっぴりつらい時も。いつも私たちに寄り添ってくれる…「音楽を推す」特集を実施中です。

本稿ではユリコタイガーさんにインタビュー!

イタリアの有名人気コスプレイヤーで、現在は日本でマルチナ活躍を見せるユリコタイガーさん。幼い頃から大好きな日本のアニメや漫画を見て育った彼女が愛するもの──それは“アニソン“!

アニメを音楽で彩り、作品の世界をより深く広げていくアニメソング。その魅力についてたっぷりと語っていただきました。

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言葉がわからなくても、作品の本質を伝えてくれたアニソン

──大の「アニソン」好きとして知られるユリコタイガーさん。ご自身とアニソンとの出会いをあらためてお聞かせください。

ユリコタイガー:
父がかなりのオタクだったので、小さい頃から家にアニメのDVDがあったり、音楽チャンネル「MTV」で流れていた日本のアニメを観たりしていました。「これ何語なんだろう?」とちゃんと気がついたのは、7歳くらいだったと思います。

──あるときふと、言語が違うことに気が付いたと。

ユリコタイガー:
当時大好きだったアニメ『犬夜叉』のオープニング「CHANG THE WORLD」を聴いていて、冒頭の英歌詞から続く言葉に「このMIXは何だろう?」と気になったんです。それからアニメ『serial experiments lain』で、Bôa(イギリスのオルタナティブ・ロックバンド)が歌っている「Duvet」を聴いて、「CHANG THE WORLD」とは雰囲気が全然違うのに、同じアニソンなんだと知って。

ひとくくりにアニソンと言っても、いろいろなジャンルがあるのだと知り驚きました。

──当時、周りにアニソンを聴いている人はいましたか?

ユリコタイガー:
まったくいませんでした! みんなが聴いていたのは、イタリアンポップスやアメリカンポップスといったものばかり。そもそも、私は小さいときからちょっと変わっていた子で。最初に好きになったバンドも、Gorillaz(バーチャルバンドの先駆者)だったんですよ。

そこからリンキン・パークやアヴリル・ラヴィーンといったパンクロック系に入っていった。もともとみんなが好むポップよりも、変わっている音楽が好きだったので、アニソンを好きになるのも自然な流れだったのかもしれません。

──日本語を勉強する前は、アニソンをどのように楽しまれていたのですか?

ユリコタイガー:
最初はリズムが好きだったんですよ。周りにある音楽とは全然違うリズムで、言葉がわからなくてもムードは伝わるので、それを楽しんでいました。オープニング・エンディングの映像の影響も大きかったです。

『serial experiments lain』のオープニングを観たときは「このアニメの主人公は苦しんでるんだろうな」と思ったし、『犬夜叉』も「アドベンチャーでポジティブな感じのアニメなんだろうな」と思いましたね。

──言葉がわからなくても、音楽と映像で作品の本質がちゃんと伝わっていたのですね。

ユリコタイガー:
しばらくは日本語がわからないまま聴いていたのですが、中学校に入ってからちゃん日本を勉強したいなと思って。当時は参考書もなにもなかったから、自分で翻訳して、言葉と言葉を繋ぎあわせて「多分この意味なんだろうな」と想像しながら聴いていました。

わざわざフランスで買ったCDは1枚7000円!?

──19歳のときに来日されましたが、当時はどういう気持ちで日本にやって来ましたか?

ユリコタイガー:
不安は全くなかったです。親の方が不安だったと思います(笑)。でも、日本は安全な国だから、何の問題もなかったです。

──イタリアと日本では、オタク活動に変化はありましたか?

ユリコタイガー:
変わっていないですね。例えば、痛バッグは12歳の頃から作っていました。友達を作ったり、同士を見つけたりするために、いろいろな缶バッジやアニメのグッズをつけるんですけれど、それが自分のアピールだったんですよ。

それこそ今日も、秋葉原の歩道でホロライブの缶バッジをつけた人たちを見つけたので、自分もその人たちに痛バッグを見えるようにして横を通ったりして(笑)。昔も今もやっていることは変わらないし、その一瞬の繋がりでも「同士がいる!」という喜びがありますよね。

──アニソンに関しては、イタリアにいた頃よりもリアルタイムで流行っているものが聴けると嬉しさがあったり?

ユリコタイガー:
それはもちろんあります! イタリアだとCDもなかなかなくて、わざわざフランスまで行ってCDを買ったりしていました。最初に買ったCDは、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』の「God knows...」で、7000円くらいしましたね。

ユリコタイガーさんインタビュー
ユリコタイガーさんインタビュー

──高価ですね…! それだけ入手するのが難しかったんですね。

ユリコタイガー:
日本ではテレビで流れているものがすぐ聴けるし、お店で流れていたりするから楽しい! 来日してから、日本の文化に馴染めるかなとか友達ができないなとか、自分の思っていることを上手く伝えられないとか、そういう不安があったとしても、お店に入って自分の好きな音楽が聴こえてくるだけで、もう幸せになっちゃうんですよ。それくらいアニソンは力を与えてくれるんです。

アニソンとオープニング映像で楽しさが倍増する!

──アニソンのどんなところが人々を惹きつけていると思いますか? ユリコタイガーさんの思うアニソンの魅力をお聞かせください。

ユリコタイガー:
アニソンは、ジャズシンガーでも、ロックバンドでも、アイドルでも、アニソンを歌えば「アニソンアーティスト」になれるんですよ。それって他のジャンルではなかなかないこと。アニソンはいろいろなジャンルからも参入できるし、ジャンルをMIXしたりコラボしたりもできるんです。オペラやJ-POPをMIXしながらロックみたいな面白さを出すといったこともできるのは、本当にすごいことだと思います。

──受け入れる器が大きいですし、それだけジャンルが多岐にわたっていると、聴く側も飽きずに楽しめますよね。

ユリコタイガー:
それと、「作品の本当の心を伝える」こと。アニメを観る前に、アニソンとオープニング映像のおかげで心の準備ができる気がするんです。アニメを観る楽しさがもっと増えるというか。

例えば、たった数カットしか映らないアイテムが、アニメを観たらちゃんと意味を持っていたとか。そうした製作者側の愛情がすごいなと思います。

──歌詞もアニメの内容に沿ったものになっている曲が多いですよね。ユリコタイガーさんが歌詞にグッと来たアニソンを教えてください。

ユリコタイガー:
アニメ『GUNSLINGER GIRL』の第2期オープニングテーマ「たった1つの想い」ですね。このアニメはイタリアが舞台になっているんですよ。子供だった私には話が難しくて、当時はあまり理解していなかったのですが、音楽がすごく心に刺さって。

それとアニメ『Angel Beats!』の「My Soul, Your Beats!」は、最初のピアノの音を聴いただけで泣いてしまうくらい好き! 最初は歌詞がわからないまま観ていたんですけれど、歌詞を読むと、キャラクターの本当の願いや思いを感じられる歌詞なんだなと知って、さらにグッときました。

──では、人生のターニングポイントになったアニソンは?

ユリコタイガー:
ALI PROJECTさんの曲です。アニメ『ローゼンメイデン』の「聖少女領域」とか。ALI PROJECTさんの曲を聴いたときに、女優さんみたいになりたい、ステージに立ってみたいと思ったんですよね。それでコスプレイヤーになれたというのもあります。

89秒の魔法は、今は10秒の魔法に……アニソン界の変化

──『マツコの知らない世界』(TBS系)に出演された際、「アニソンのビジネス化」についてプレゼンされていましたが、昨今のアニソンについてどのように捉えていますか?

ユリコタイガー:
いいものもちろんあるけれど、正直に感じたことを言ってしまうと…良くも悪くも、昔に比べて“一般的”なものが増えているなと感じます。ビジネスという面を考えると、TikTokでバズることが重要になっているのかなって。89秒(一般的なTVサイズのオープニング曲の尺)の魔法は、今は10秒の魔法になっているんですよね。

ユリコタイガーさんインタビュー
ユリコタイガーさんインタビュー

──確かにそうかもしれません。

ユリコタイガー:
それと、最近はすでに有名な人をオープニング・エンディングテーマに起用することが多いですよね。昔はそれほど有名じゃなかったり、ゼロからスタートしていた人も多かった印象なのですが、今は「アニソンシンガーになりたい」という人が表に出るチャンスが少なくなったのかなとも感じます。アニソンシンガーになりたいという方がそもそも少ないのかもしれません。

──最近は、キャラクターソングや挿入歌も減ってきている気がします。

ユリコタイガー:
減りましたし、怒っています!(笑) キャラクターソング、もっと聴きたいのにない!! 『涼宮ハルヒの憂鬱』や『らき☆すた』のキャラクターソングのCDを全部持っているくらい、キャラクターソングも大好きなんです。

キャラクターソングはたとえアーティストみたいに完璧じゃなくても、本当のキャラクターの心を歌っているんだなと楽しめるので、また前みたいに増えてほしいなと思います。ブームは繰り返すものだから、また昔の良きアニソンやキャラクターソングが注目されると嬉しいですね。

──「そんな現代だからこそ、今聴いてほしい!」と思うアニソンシンガーを教えてください。

ユリコタイガー:
KOTOKOさんです。エレクトロを取り入れたJ-POPで、初めて聴いたときに「これ何!? すごい!」と思いました。アニソンというと、ちょっとロックなイメージの楽曲が多いんですけれど、私がアニソンDJをやっているからというのもあってか、KOTOKOさんの楽曲はすごくMIXしやすいんですよ。MIXしやすいし、ノリノリになれる曲が多いですね。

──ちなみに今まで聴いたアニソンの中で、一番ディープだと感じたものは?

ユリコタイガー:
アニメ『カウボーイビバップ』。のオープニング「Tank!」。あれはもうアニソンの粋を超えています(笑)。ジャズで、歌部分は多分ワンフレーズだけじゃないかな? しかも英語。それなのにイントロを聴いただけで誰もが分かるという……。アニメ『ルパン三世』のオープニングと同じくらい影響力のある神曲だと思います。

──ユリコタイガーさんにとって、アニソンとは?

ユリコタイガー:
これは簡単な質問。「愛」です。作品への愛……愛を込めてみんなアニソンを作っていると思います。曲を聴くことで、作り手側の愛を感じます。 ──ありがとうございました! 最後に、ユリコタイガーさんの思う「推し」アニソンを年代別に教えていただきました。推しポイントを語ったコメントと共にぜひ聴いてみてください!

ユリコタイガーの「推しアニソン」はこれ!

曲名:「輪舞-revolution」
作品:アニメ『少女革命ウテナ』
「このアニメの登場は完全に革命でした。主人公が百合という設定は当時かなり衝撃的で、ウテナの独特な美しさも合わさってとても印象に残っている曲です」

曲名:「鳥の詩」
作品:ゲーム『AIR』
「夏と言えばこの曲。毎年絶対夏になると思い出すエモ曲です」

曲名:「空色デイズ」
作品:アニメ『天元突破グレンラガン』
「私が大好きな中川翔子さんが歌うアニソンということもあり大好きな曲です。アニメが大好きなしょこたんがアニソンを歌うということに、感動と憧れを感じています!」

曲名:「VORACITY」
作品:アニメ『オーバーロードⅢ』
「すごく変わってるMIXだと思いました!英語と日本語が完璧に入り混じっている。アニソンっぽくはないですが、『オーバーロードⅢ』に本当にぴったりな曲です。CDジャケットまで作品のイメージに合っていてすごいなと思いました」

曲名:「Go-Getters」
作品:アニメ『異世界スーサイド・スクワッド』
「Vtuber森カリオペが歌う初のアニソン! 私自身Vtuberが大好きなのですが、ついにVtuberがアニソンを担当する時代が来たかと思うとすごく嬉しかったです」

(執筆:新庄圭、撮影:奥本昭久、企画・編集:三鷹むつみ)

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