筋緊張制御系 ”上位中枢支配”
Twitterでスライド投稿させていただいていただいてます。
Konuma@です。
今回初めて投稿させていただきます。
Twitterで投稿したスライドをさらに詳しく説明し、臨床で落とし込めるような解釈を記載できるよう心がけていきたいと思います。
さて、今回は私を含めてみなさん臨床で一度は悩まされた事がある筋緊張について記載していきます。
低緊張、過緊張共に筋緊張を制御している上位中枢支配もしくは抹消の固有受容反射の問題によって生じていると考えられています。(他の要素もあります)
固有受容反射の感度は上位中枢が制御しています。しかし、筋緊張を調節するには抹消からの感覚情報が適切に上位中枢まで伝達されなければなりません。
上位中枢が筋緊張をどのように調整しているのかを詳しく記載していきます。
感覚情報の処理については今後note、もしくはTwitterでスライドを挙げようと思いますので、今回は感覚情報の処理については記載しません。
筋緊張制御系は大きくNeural(神経性)とNon-neural(非神経性)に分けられます。
また、Neuralな筋緊張制御は上位中枢支配と固有受容反射によるものに分かれます。今回はその中でもNural(神経性)の上位中枢支配について詳しく記載していこうかと思います。
網様体脊髄路(橋網様体・延髄網様体)
上図の通り、伸筋には橋網様体脊髄路・前庭脊髄路は興奮性入力が、延髄網様体脊髄路からは抑制性入力がかかっていると言われています。
橋網様体脊髄路は姿勢筋緊張や下肢・体幹の抗重力伸展活動、Core contorolに寄与している。
また、延髄網様体脊髄路は四肢の近位筋や手の外在筋を調整し、抗重力筋に対する制御を解放しているとされています。
上記の図では、本来大脳皮質から橋網様体への投射は記載されていませんが、高草木(2014)によると”補足運動野と運動前野(ともに6野)に起始する皮質-網様体ニューロンは、両側の脳幹網様体に投射する”と報告しており反対側への影響も少なからず出ることが予測されます。
上位中枢の抑制中枢は延髄にあり、延髄網様体は大脳皮質より促通されているため、皮質や内包後脚の損傷により皮質網様体路の損傷が生じ抑制中枢が促通されなくなる。
『抑制中枢が促通されない ⇨ 抑制性インパルスが脊髄へ入力されない』
また、橋網様体脊髄路への経路の損傷で興奮性インパルスが減少するが、前庭脊髄路の損傷は起きないため、前庭神経核からの興奮性インパルスが脊髄へ入力される。
抑制性インパルスがなくなり、興奮性インパルスのみが脊髄へ入力するため、筋緊張は亢進し、抑制が難しくなる。
もう少し詳しくみてみると、脚橋被蓋核(中脳橋移行部に存在)が興奮することで、延髄網様体脊髄路を通して脊髄内にある緊張抑制性介在細胞を興奮させる。
抑制性介在細胞を介して、α運動細胞・γ運動細胞、Ⅰa介在細胞、Ⅰb介在細胞、Renshaw細胞、屈曲反射などの介在細胞の活動を抑制する。
つまり、筋緊張抑制系は、脊髄反射弓の興奮性を低下させることにより筋緊張を減弱させる。
脚橋被蓋核は黒質網様部(基底核-脳幹)から抑制を受ける。
⇨ 抑制されると、筋緊張亢進。
脚橋被蓋核は運動関連野(特に、運動前野・補足運動野からの姿勢制御に関す皮質網様体路)から促通される。
⇨ 興奮すると、筋緊張低下。
これら、抑制、興奮の調節が適切に行われることで、姿勢・動作時の筋緊張がコントロールできる。
大脳基底核ループ
大脳皮質の信号はまずハイパー直接路を興奮させ、視床下核が興奮、黒質網様部・淡蒼球内節が興奮(抑制性)、視床を抑制、大脳皮質への興奮性インパルスが減少することで活動が減少。脳幹も同様に活動が減少。
次いで直接路によって黒質網様部・淡蒼球内節を抑制(脱抑制)するため視床への抑制が減少し、大脳皮質が活動する。脳幹も同様に活動が増加。
最後に、間接路によって淡蒼球外節が抑制され、視床下核への抑制が減少(脱抑制)することで、黒質網様部・淡蒼球内節が興奮、視床を抑制、大脳皮質が抑制される。
適切なタイミングで動きを開始するため、
ハイパー直接路で動きを抑制。
直接路によって脱抑制させることで動き始める。
間接路によって興奮性を調節し、適切な筋緊張の調節と不要な運動の抑制、適切なタイミングで運動を終了させる。
また、黒質網様部/淡蒼球内節から視床に抑制をかけるのと同時に筋緊張抑制系である脳幹(脚橋被蓋核)へも抑制をかける。その結果、筋緊張は亢進し動作は止まる。
簡単にまとめると
では、被殻出血を例に基底核ループの損傷が起こるとどうなるでしょうか?
被殻や尾状核の損傷によって、直接路・間接路の機能が低下し、ハイパー直接路の興奮により黒質網様部/淡蒼球内節の興奮性が増大。
この黒質網様部/淡蒼球内節の興奮により、視床が抑制され大脳皮質への興奮が減少する。
また、黒質網様部/淡蒼球内節から脚橋被蓋核が抑制され、筋緊張介在ニューロンの興奮性が減少し脊髄反射弓の抑制が減少することで筋緊張の制御が困難となり、筋緊張が亢進する。
小脳ループ(大脳-小脳連関)
大脳皮質の運動前野で作られた運動プログラムのコピーを小脳皮質である大脳小脳へ伝達される。
大脳小脳へは筋骨格から上行する無意識的な感覚情報が脊髄小脳路を通して伝達される。
大脳小脳で運動プログラムのコピーと筋骨格からの感覚情報を照らし合わせて運動の予測を立てて「誤差補正」し、運動前野へ伝達される。
小脳は運動をフィードフォワードに制御されているとされてきたが、厳密なフィードフォワード制御とは、フィードバックにて修正できない運動である。
投球やサッカーのシュートは動作中の修正ができずフィードフォワードによる制御である。
しかし、目標物に手を伸ばすなど動作中に軌道の修正をしながら実施する動作ではフィードバックによる要素も必要になる。
小脳には順モデルという概念が提唱されている。
順モデルとはある時刻tの直前の時刻t-1の感覚情報(フィードバック)から次の時刻t+1の状態を予測して運動プログラムを修正すること。
少し先の運動プログラムを生成する点ではフィードフォワードだが、感覚情報を元に生成されることから純粋なフィードフォワードではない。
これらの小脳の機能が障害されると運動中の誤差修正が難しくなり失調症状出現する。
脊髄小脳からの下行路
筋・腱からの感覚情報は脊髄小脳路から脊髄小脳に伝達される。
また、視覚・前庭覚からの情報も前庭神経核から脊髄小脳へ伝達される。
これらの感覚情報を基に、室頂核からは延髄網様体(促通性・抑制性)と前庭脊髄路へ信号を送り、姿勢の抗重力伸展活動の向上と調整を行なっている。
重力によって、各関節には身体の重量がかかり関節を動かそうとする力が加わる。その力により筋・腱が伸長される事で筋紡錘、ゴルジ腱器官の興奮し、感覚情報が脊髄小脳路を介して脊髄小脳へ。
筋・腱からの感覚情報が室頂核・前庭核へ情報を送り、網様体脊髄路・外側前庭脊髄路から姿勢の抗重力伸展活動の向上と調節をする。その事により、重力に抗した姿勢を維持するための筋緊張と、支持基底面内にCOMを保持するための筋緊張を調整する事ができる。
終わりに
今回、筋緊張制御系について話していきましたが、全てを網羅できているわけではないと思います。
バイメカ、精神面、運動プログラムの生成などなど、その他の要素もたくさんあるため随時加筆or新規note作成していけたらと思います。
もしも、何か間違いがあればこっそり教えてください。
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最後まで、ありがとうございました。
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