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変人が動けば、まちは変わる。でも、最初は意識高い系から始まるのかもしれない。
最近、「活動家」という言葉をよく耳にするようになった。
社会課題に声を上げ、変化を求める人が増えたこと自体は良いことだと思う。
でも、その中には「利己的な意識高い系」や、「自分を大きく見せること」を目的にした人もいる。
純粋な情熱ではなく、評価や承認を求めて動く人もいる。
それは、本当に価値のあることなのだろうか。
本当に必要なのは、「意識高い系人間」ではない。
この社会を動かすのは、変人だ。
変人とは何者か。
「変人」と聞くと、突飛な行動をする人、型破りな発想を持つ人を思い浮かべるかもしれない。
でも、私が考える「変人」は違う。
① 現状に満足せず、常識を疑う人。
② 違和感を抱いたら、考えるだけでなく行動する人。
③地域の課題に対して「なんとかなる」と楽観するのではなく、「なんとかする」と覚悟を決める人。
④純粋な情熱から行動する人々
「なぜそんなことをするのか」と問われても、信じる道を進む。
そういう人こそが、閉塞感のある社会に風穴を開け、新たな可能性を生み出していくのだと思う。
意識高い系で終わるのか、変人へと進化するのか。
意識高い系の人たちを完全に否定するつもりはない。
むしろ、何かを知ろうとすること、考えようとすることは、最初の一歩としては必要なことだ。
ただ、そこで止まっていては何も変わらない。
「自分はまだ経験がないから」「もう少し勉強してから動こう」
そう言っている間に、すでに動いている変人たちは次のステージへ進んでいる。
釣りに例えるなら、意識高い系の人は道具ばかり揃えている状態だ。
「この竿は最高」
「このルアーが効果的」と語り、釣りの知識はどんどん増えていく。
だが、肝心の釣り場には行かない。
一方で、変人はとりあえず海に出る。
完璧な道具がなくても、とにかく糸を垂らし、魚が食いつく感覚をつかむ。
思った通りに釣れなくても、試行錯誤しながら経験を積む。
そして、実際に魚を釣り上げる。
社会も同じだ。
どれだけ考えても、どれだけ準備しても、実際に動かなければ何も変わらない。
学生が地域の場に飛び出す時あるある。
私は高校1年生の頃から地域づくりに関わらせていただいており、様々な場に飛び込んできた。
交流会、シンポジウム、ワークショップ……
そのたびに思った。
「学生が、圧倒的に少ない。」
交流会などのイベントに出ると、決まってこう言われる。
「学生なのに、こういう場に参加しているなんてすごいね。」
一見すると誉め言葉だ。
でも、その裏には、学生と大人が対等に議論し、共に何かを生み出す機会がほとんどないという現実がある。
学生が意見を述べること自体は評価される。
でも、学生と大人が本気で力を合わせ、新しいプロジェクトを生み出す場面は、ほとんどない。
この状況を変えたいと思った。
「変人になれる空間」をつくる。
これまでの活動を通して、私は二つの大きな気づきを得た。
① 世代を超えた対話の場の重要性
高校生が地域でアクションを起こすには、大人の協力が不可欠だ。
ならば、大人と学生が対等に意見を交わせる場があれば、
学生のアイデアやアクションは、もっと街に現れるのではないか。
多様な人と話すからこそ、アイデアが生まれる。
アイデアがあるからこそ、行動が生まれる。
② 街を越えた対話の場の重要性
一つの街にとどまっている限り、その枠の中でしか考えられない。
しかし、地域を越え、他の街の挑戦を知ることで、新たな視点を得ることができる。
地方創生の課題は、それぞれの地域ごとに特色を持ちながらも、共通する部分が多い。
他の地域の取り組みを知ることで、自分の街の可能性を広げることができる。
私は、「気になったことは、まず自分の肌で感じる」ことを大切にしてきた。
「人の魅力」は、対話を通じて見つける。
「街の魅力」は、実際に足を運んで知る。
インターネットには書かれていない、地域の隠れた魅力を学んできた。
だからこそ、学生が地域の中で自由に動き、挑戦できる環境が必要だと確信している。
意識高い系で終わるな。変人になれ。
最初は、誰もが意識高い系かもしれない。
考え、語り、発信することから始まるのは、自然なことだ。
でも、そこにとどまっている限り、何も変わらない。
「知っている」「考えている」だけでは、世界は動かない。
変えるのは、いつだって「実際に動いた人間」だけだ。
だから、私は「変人になれる空間」をつくる。
①年齢も立場も関係なく、全員がフラットに議論できる場。
②他の地域の変人と出会い、新たなアイデアを生み出せる場。
③「何かを始めたい!」と思った人が、本気で行動を起こせる場。
道具を揃えるのではなく、実際に海へ出ろ。
考え続けるのではなく、まず仕掛けを投げろ。
アタリを感じたら、迷わず竿を引け。
意識高い系で終わるな。
まずは動け。
変人が動けば、まちは変わる。
変人がつながれば、社会はもっと面白くなる。
そのために、私は動く。