見出し画像

愛の不時着沼の恐ろしさ

多くの人が言っているのと同じように「Netflixで話題だったから」「初めての韓国ドラマを」「試しに」観た。

そして多くの人が言っているのと同じように「生活に支障が出るレベル」で夢中になり「愛の不時着沼」に「ドはまり」した。  


不時着沼に不時着した結果、生活が崩壊した。ひどいときは2時間睡眠でドラマを見ていた。外に出るのも嫌になり、料理も家事も手につかなくなったし、神に半島の統一を願わずには一日を終えることができなくなった。どう考えても何かに憑りつかれている人の症状だった。(あのままあの生活が続いていれば、体を壊していたに違いない)


見終わって1週間がたった今でも起きてる時間の95%はこのドラマのことを考えている。さすがに在宅勤務中に続きが気になりすぎて貧乏ゆすりをすることはなくなったし、料理や家事等の人間的生活は再開したが、今の私もやっぱりどこかちょっとおかしい。


 正直、私は韓国エンタメを舐めてかかっていた。直近で見た韓国作品は「パラサイト」。面白かったけれど、もう一回見るか?と聞かれたらたぶんNOだ。(もともとああいう雰囲気の映画は苦手)韓国アイドルは「東方神起」というワードを知っているのみでメンバーの顔はわからない。韓国ドラマと聞いて思い浮かぶのは、幼き日々に「冬のソナタ」を見て涙を流していた母の姿だ。

私自身、韓国文化に触れてこなかった訳ではない。10年ほど前、海外へ語学留学をしていたことがあり、そこで出会った韓国人の友人が数人いる。留学中は韓国料理を食べに行き、ソジュ(焼酎)を楽しんだりもした。ただ、それはコミュニケーションに過ぎず、韓国という国に関心を持つことはなかった。

 そんな私が、いま、ハングルを勉強している。さんざん韓国人の友人たちに囲まれても一切その気が起きなかった私が、ドラマに出てくる一人一人のセリフをニュアンス通り理解したいという思いだけで勉強を始めてしまった。愛の不時着に出会った私と出会う前の私は全く別人だ。ハングルが分かるようになった、とかそういう技術的なことではなく、価値観がごそっと変わってしまったような気がしている。こんなに人生に影響を及ぼす作品だなんて聞いてなかった。恐ろしい作品だと思う。これが資本主義のやり方か...

なにがそんなに良かったのか?なぜこんなに夢中になってしまったのか。

こんなに長い前振りを読んでくださった方には申し訳ないのだが、実はうまく説明できない。いや、何度も言語化しようと思ったが、どうしても無理だったのだ。魅力はたくさんあるのに、私のつたない語彙力で説明すると、陳腐に聞こえてしまう。本当に魅力が”超やばい”ドラマなのに、”超やばい”以外の表現を知らない自分が情けなくなる。韓国語より先に日本語を勉強しなおすべきかもしれない。

では、なぜこの記事を書こうと思ったのか?

いい加減、沼から片足を抜きたいと思ったからだ。私は普段、悲しい事や辛いことがあると、自分の気持ちを紙に書いて感情を昇華させる。いま、愛の不時着を見終わった私は、例えるなら失恋した直後とほぼ同じだ。あんなに胸をときめかせていた日々が終わってしまった。寂しく悲しく、どうしようもない虚無感と、何度も見返しては涙を流したり恋しくなるような未練を感じながら日々を過ごしている。

在宅勤務中もOTS(ドラマ中の挿入歌)を聞きながら、育ててもいないトマトの成長を祈り、顔も知らない主婦たちの井戸端会議を思い出し、愛おしい4人の友人達や不器用ながらにいつも愛あるまなざしを向けてくれる屈強な運命の人との再会を心待ちにしている。見終わってこんなに時間がたっているのに、今でも信じられないくらい引きずっているのだ。なんなら以前お付き合いしていた人と別れた時以上に未練がましいかもしれない。

ただ悲しくも私は日本の企業戦士である。いつまでも半島の同志たちに思いを馳せ続けることはできない。勤務先の在宅勤務期間もなんとなく終了が近づいてきた。そろそろ現実世界を生きていく準備をしなければならないのだ。 

まだ「愛の不時着」を見ていない人は、ここまででどれほど”超やばい”ドラマなのか伝わっただろうか。いや、そもそも「愛の不時着」を見ていない人はここまで見ていないか。

本当は今日、自分の好きなシーンや自分なりのこのドラマの魅力を拙い日本語でここに記したかったが、そろそろ一日2時間のネット制限時間を超えてしまいそうなのでこの辺りで終えなければならない。前段だけで終わってしまった。また元気があったら、未練が募ってつらくなったら、内容について、しっかり振り返っていきたい。長い文章を読んでいただいたのに、結局自分語りで終わってしまい申し訳ない。

今宵ももちろんかの国へ行ってまいります。アディオス。 

#愛の不時着 #愛の不時着沼 #ヒョンビン沼

いいなと思ったら応援しよう!