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【ヒーリング音楽の探求】東芝EMI「セルフ・コントロール・ミュージック」編

「セルフ・コントロール・ミュージック」(1988、東芝EMI)は、用途別のヒーリング音楽の先駆的なシリーズ企画。医薬品のパッケージを思わせる統一デザインが秀逸。イノヤマランドらの楽曲が収録されており、アンビエント文脈からの注目度も高いシリーズ。ここでは、全5作品を紹介する。

現時点で、「セルフ・コントロール・ミュージック」のうち、鎮静、活力、ストレスの3作はサブスクで聴くことができる。また、OTOTOYでは不眠、疲労も含めた5作全てDL購入可能。



1) INOYAMA-LAND 他『鎮静 〈セダティブ・リラクセーション〉』(1988)

東芝EMI / CZ30-5021

前半はクラシック曲。後半を担当するイノヤマランドは、井上誠&山下康(ex.ヒカシュー)による、エレクトロニクス主体のユニット。幻想的なアンビエント・サウンドの途中に童謡「赤とんぼ」が挿入される。

【補足情報】
・11曲目「STREAM IV 〔せせらぎ〕」
イノヤマランドの2nd『INOYAMALAND』(1997)に収録の「CALCALA」(86年制作)からメロディの借用あり


2) 鈴木さえ子 / INOYAMA-LAND『活力 〈エナジー・リラクセーション〉』(1988)

東芝EMI / CZ30-5022

前半は作曲家、ドラマーの鈴木さえ子、後半はイノヤマランドの楽曲。本作はニューウェイヴ&テクノポップ時代を経た2作家によるエレクトロ・ポップな仕上がり。ヒカシューの坂出雅海も作曲で参加。

【補足情報】
・4曲目「AFTER DREAM」
鈴木さえ子『スタジオ・ロマンチスト』(1987)の「YOU’RE MY SPECIAL」と、「STUDIO ROMANTIC」からメロディの借用あり

・7曲目「FLAME III 〔炎〕」
ヒカシュー『水に流して』(1984)の「魅惑のペイブメント」からメロディの借用あり


3) 田村洋 / INOYAMA-LAND 他『ストレス 〈ストレス・リラクセーション〉』(1988)

東芝EMI / CZ30-5023

前半は作曲家で民族楽器にも造詣の深い田村洋による楽曲。自然音と笛を主体にプリミティヴで神聖な空気の漂うサウンド。後半はイノヤマランドよるエキゾチックなシンセ・アンビエント。

【補足情報】
・8曲目「SUNLIGHT III 〔木洩れ陽〕」
イノヤマランドの2nd『INOYAMALAND』(1997)に収録の「KUPU KUPU」(87年制作)からメロディの借用あり

・10曲目「SUNLIGHT V 〔木洩れ陽〕」
同アルバム収録の「SNOW」(83年制作)からメロディの借用あり


4) INOYAMA-LAND『不眠 〈スリープ・リラクセーション〉』(1988)

東芝EMI / CZ30-5024

イノヤマランドによるアンビエント作品。クラスターを彷彿とさせる「TIDE 〔潮騒〕」は、波の音と柔らかなシンセ、ピアノ・フレーズの反復が美しい。「SEA-BED 〔海底〕」は深海へと誘う神秘的サウンド。


5) INOYAMA-LAND『疲労〈リカバリー・リラクセーション〉』(1988)

東芝EMI / CZ30-5025

イノヤマランドによる作品。「FOREST 〔森〕」では厳かなコーラス風シンセが水の滴る音、鳥のさえずりと溶けあう。「HARBOR 〔港の朝〕」は、波の音と柔らかなシンセが港の風景を描写(港のSEがやや大きめ)。

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