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中国広告紹介「超ダサいけどウケる!今時の中国式“ダサい”とは?」
こんにちは!
中国四川出身のSNSで100万中国人フォロワーを持つ冷水です!うちの飼い猫たちは朝から大喧嘩していますね…!
さて、本題に進みましょう!
日本でも耳馴染みのある「ダサかわいい」「ダサカッコイイ」という概念が今、まさに中国で注目されているというお話です。中国語で「ダサい」という意味の「土味(土臭い、という意)」という言葉は、若者の間では「時代遅れ」「いつの時代だよ」みたいな意味でも使われます。
例えば「ありがとう」を表す「谢谢」のスタンプにおける、若者が普段使うものと「土味」なものを比較してみましょう。
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右:「中高年向けスタンプ」(出典:https://www.huxiu.com/article/431389.html)
これは通称「中老年表情包」という、中国の中高年層にSNSで愛用されているスタンプです。インターネット黎明期を思わせる、アクの強い画像であり、また簡単な動きを伴うGIFでもあります。
ピンとこない方のために、もう少し実例を紹介します。
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出典:https://www.huxiu.com/article/431389.html
どうでしょう?独自の世界観にもう一部の方々はメロメロになっているのではないでしょうか?
日本の方々でも恐らく「若干懐かしい」と思ってしまうそのスタイルは、中国人からしてみると、まさに80〜90年代に中国で大ブームになったディスコの雰囲気を感じさせます。SNSでスタンプが中国で流行り出した時、これらのスタンプは若い世代からはダサいとされ「土味スタンプ」と揶揄されていました。
しかし近年、「土味スタンプ」は時代遅れなスタイル故に、かえって面白いと注目され、若者の間で人気が出ています。「土味スタンプ」の趣旨を把握して活用すれば、若者からの関心を集め、高いプロモーション効果が期待できるでしょう。
今日は、その成功例と失敗例を通して、中国の「土味スタンプ」文化を見てみましょう。
まず、多くの支持を得た例を紹介します。
宅配サービスアプリ「美団」は、デリバリーの他にも、映画チケットの購入やホテル予約などもできる、非常に便利なアプリです。今年の母の日に、美団は「母は花が好き、私たちは母が好き」というキャッチコピーの動画をSNS上で公開しました。
美団はこの動画を通じて、母の日にアプリで花束を注文し、母親にプレゼントする宣伝を行いました。
動画に出てくる母親たちには、花好きという共通点があります。生花から花柄の洋服/日用品/SNS上のスタンプまで至るところに花が登場し、花を愛する母親の姿とその母親を愛する子供の気持ちを表現しています。
動画内の母親たちの時代遅れと感じられる格好や、動画内に登場する様々な花柄のアイテムは、若者にとってはどれも「土味」の要素を感じさせます。
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実は、若者が「土味スタンプ」を愛用するようになった理由の一つは、年長者に対する好奇心だと言われています。
美団の広告は、「土味」要素で親子関係を結びつけることをアピールし、「土味」要素を否定せずにむしろ母親に対する愛情を呼び起こさせた作品でした。
この動画はWEIBOで150万回を超える再生回数を記録し、KOLの宣伝により数万回のリツイートも達成しました。
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こう見てみると、確かにダサい要素はあるものの、その中でも可愛さや美しさ、楽しさや自由さなどが感じられる、まさにリスペクトの念を感じられるデザインとなっていますね。
反対に、「土味」要素を濫用してクレームをつけられてしまった例もあります。
2020年の七夕(中国では一般的に恋人の日とされています)に、フランスのファッションブランド「バレンシアガ」が中国風のバッグを販売しました。その際に、中国公式サイトのトップページに「土味」を感じさせるビジュアルを使用しました。モデルが派手な背景の前に立ち、まさに時代遅れなフォントでテキストを添えてありました。バレンシアガは若者向けにプロモーションを展開したかったと思われますが、結果は期待を大きく外れてしまいました。中国の若者からは「醜い」「ダサい」などのクレームが発生し、「中国の美学を侮辱しないでほしい」という批判も起こりました。
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出典:https://weibo.com/6229437737/JfonJ8GRN?refer_flag=1001030103_
(ちなみに、右下のカワイイ〜猫のスタンプは若者に愛用されるものです)
トップクラスのファッションブランドなのにも関わらず、このような結果になってしまった理由を皆さんはどう考えますか?
2つの例はどちらも「土味」要素を含んでいますが、なぜ両者の評価には大きな違いが出たのでしょうか?
1つ目の要因は、「土味」がバズった理由をよく理解しているかどうかだと考えられます。
美団の場合は、「土味スタンプ」が若者間で人気になった理由の一つである、二世代間の感情的な結び付きをベースにプロモーションを行いました。反対にバレンシアガは「土味スタンプ」の意味合いを表面的に使用しました。ネット民からすると「リスペクトが欠けている」と受け取られたのです。
2つ目は、ハイブランドの製品を「ダサい」ものと繋ぎ合わせるプロモーションは、バレンシアガの顧客層が望んでいることではなかったと言えます。最近日本でもハイブランドのモデル起用の件で似たようなことがあったので、この要因については皆さんも理解しやすいかもしれません。
自社のビジネスプロモーションに中国のトレンドを取り入れる場合には、話題となった理由を分析して深層心理を見つけ出し、それを自社商品の強みと組み合わせることが、成功の鍵になると考えられます。
今回は炎上騒ぎにはならなかったものの、ローカライズをする際には細心の注意を払い、専門家と一緒にリスク分析をしながら進めていく必要があります。
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