振幅
平穏だ。昂っても沈んでもいない、真ん中である。
いつからか思い出せないがずっとそう。
幸せかと聞かれればそうではない
不幸かと聞かれればそうではない
"平穏な心"
仮にHappy/Unhappyゲージがあるのであればそれは50%では無い。
多分55%くらい。幸と不幸の臨界点より少し上の微々たる往来。
平穏のアベレージから大きく逸脱することなく生きていると
大概のトラブルも心を害すことなく受け止めることが出来る。
アンガーマネジメントが上手くなり、直面した壁も冷静に片付けることが出来る。
ただ、1度きりの人生という波を楽しく有意義に乗れているかと訊ねられれば
ゆめゆめそうではない。
外的要因が転じて負の感情に苛まれることを回避する代わりに
脳がセロトニンを上手く出せなくなっているように思う。
心に麻酔を打ったような感覚。
楽しいことも悩めることも出来損ないの脳を通せば全て緩和すべき刺激になってしまった。
人間が感じる感動や幸せの大きさはそれ以前の負の感情との振幅の大きさによって変化する。
負の感情に目を背け、大きな幸せを望まないと嘘を吐き麻痺していく。
これじゃあ本能/煩悩を理性で潰し
人間のあるべき姿から逃げ出したbuddhaと同じだ。
遠い記憶の僕が『それでいいの?』と口荒ぶ。
もう少し"らしい人間"をやりたいと僕は言う。
目を背けたくなる現実も
しかと目に焼き付けなくてはならない。
もう少し
もう少しだけ
涅槃で待ってて