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4-05 「竜の鳴き声」

7人の読書好きによる、連想ゲームふう作文企画「杣道(そまみち)」。 週替わりのリレー形式で文章を執筆します。前回は葉思堯の「龍の回想」でした。

【杣道に関して】
https://note.com/somamichi_center/n/nade6c4e8b18e

【前回までの杣道】

4-04「龍の回想」葉思堯

4-03「火を吐くドラゴン」親指P

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竜は神話や伝説の中に登場する創造上の生き物であるにもかかわらず、自分でも気付かないうちに竜の鳴き声をイメージすることができるようになったのは一体いつからだろうか。


例えばアメリカのテレビドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」の世界には西洋の竜「ドラゴン」が存在し、戦闘シーンに雄叫びをあげながら空からとてつもないスピードで飛んできて敵を焼き払うが、そのドラゴンの雄叫びに対し特に違和感を持つことなく「あ、ドラゴンの鳴き声だ」と認識できる。もちろん、鳴き声らしき音が出るタイミングと画面に映るドラゴンの口の動きがシンクロしているからというのもあるかもしれないが、これまで自分が遊んできたゲームや見てきた映像作品を通して、それぞれの作品において竜/ドラゴンが発する音のニュアンスは違えど自分の中に「なんとなくの竜の鳴き声」という音のイメージを持っていることが大きいように思われる。


音のイメージは創造上の生き物だけでなく、かつて地球上に存在し絶滅した生物にも持つことができる。スティーブン・スピルバーグ監督の映画「ジュラシックパーク」では数種類の動物の鳴き声を混ぜたものが恐竜の鳴き声として使われているが、作品の大ヒットによって恐竜の鳴き声=ジュラシックパークの恐竜の獰猛な唸り声というイメージを多くの人に植え付け、以降恐竜映画の鳴き声のスタンダードとなったフシもある。しかし、とある研究チームが恐竜の発声法は現代におけるハトのように口を閉じた状態に近い可能性があることから、実際の恐竜の鳴き声は「クークー」声だったかもしれないという学説を学術誌に発表したという。恐竜の鳴き声一つでも違えば映画における恐竜たちの印象も当然大きく異なるため、もしその学説に沿ってティラノザウルスたちの鳴き声を「クークー」声にしていたらあのような大ヒットには至らなかったかもしれなかった可能性を考えると、音のイメージの持つ力の大きさに改めて驚かされる。


音のイメージつながりで思い出すのは、各言語によって動物の鳴き声に相当する擬音語が異なることだ。日本ではニワトリの鳴き声といえば「コケコッコー」が定番化されているが、英語では「cock a doodle doo」、スペイン語では「el quiquiriqui」といったように、原語通りに発音してみると全く違うのがよく理解できる。「ジュラシックパーク」で世界中の人々が持つようになった恐竜の鳴き声に対する音のイメージも「Jurassic Park」、「Parque Jurasico」、「La Parc Jurassique」ではそれぞれ受け取られ方、擬音への結びつけられ方といったところが変わるのだろうか。

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次週は5/9(日)更新予定。担当者は蒜山目賀田さんです。お楽しみに! 

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