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林明日香『隠し物』
昨日、推しリストを作るためにアレコレ思いを巡らせていたら、ふと林明日香さんの歌を思い出しました。
現在は35歳で、デビューは13歳のとき……ということは、私が初めて歌を聴いてから20年以上も経っているのかぁ。マジかぁ。私が高校生のときに、この方は中学生で、もうアルバムデビューしているのかぁ。マジかぁ。
林明日香さんは小柄で細い体型なのに、そうは思えないような力強く安定感のある歌声を秘めていて、そのパフォーマンスが好きです。
あと、楽曲の雰囲気とか世界観もいい!
どことなく和風ファンタジーっぽい曲が多いように思います。それも平安・鎌倉時代っぽいものが(実際『十二単』という楽曲がある)。
私が特に好きなのは『ake-kaze』『「母」』『花結び』『凛の国』『揺想』……これ以上は多いですね、やめときます(笑)。
今回で選んだ『隠し物』ももちろん大好き!
そして改めて、歌詞が琴線に触れたのでございます。
全体的に穏やかでノスタルジックで、でもミステリアスを醸している曲だと思います(どんなやねん)。
タイトルである「隠し物」とは何ぞや?
そう訝しがりながら、1番の歌詞をご覧ください。
隠し忘れた 真珠の貝
青いビー球 庭の小石
小さな箱から顔を出して
広がってゆく
あの空から見た 赤紫色
好きだった 闇に溶ける瞬間
貝殻やビー玉や小石を、箱に入れて隠している。
きっと幼い子どもの頃の話なのでしょうね。
それを隠しきれずに箱から零れて広がっていくのを見て、「アタシ」は思い出すのです。あの赤紫色の空、好きだったなぁ……。
きっと、片づけ中に箱を見つけたんだろなぁ。
箱を落としたのは一瞬、でも永遠のように、懐かしい風景や感情が頭の中に広がっていく。
大人になるほどに、そういう瞬間ってありません?
ものすごく、心がいっぱいになりません?
あ、歌詞を続けましょう(笑)。
一つ思い出を包んで
二つ想いを膨らます
宝物を見つけたのは
きっと昔のアタシなんだろう
君がここに居たんだろう
改めて歌詞を読み込むと、順番があるように思います。まず、宝物を昔のアタシが見つけてから、その思い出を包み、膨らますのです。
その根拠となるのが、歌の終盤にあります。
宝物から 隠し物に
隠し物から 証になる・・・
「宝物」を自分の中に仕舞いこみ、一旦は忘れるというか思い出さずに時を経ると「隠し物」になる。そして「隠し物」を思い出すと、その記憶は自らの「証」として、心に深く刻み込まれるのだ……。
当初より、今の方が、わかりみがあります。
そして「証」のための「宝物」をまた探したい。
そのような普遍的な成長に関する価値観を表現しているのが『隠し物』で、それをまだ個人的には実感できていなかったであろう林明日香さんが、堂々と歌い上げたのです。なんという歌唱力。
これを歌わせた、作詞者の渡邊亜季子さんよ!!
そして昔の私は、わりと単にノスタルジーでステキな歌詞ぐらいにしか思わずに、林明日香さんの歌を聴くだけなのでした。昔の私よー!!
こういう歌って、なかなか歌われないじゃないですか。みんな流行ものばかりというか、目立ったやつしか歌わないというか(※偏見アリ)。
当時、林明日香さん自身の意見がどれだけ入っていたかは存じません。もっと流行曲を歌いたかったのかも。でも、そんな歌を歌いあげていたということは、力がないとできないことだと私は思います。
そして、歌っていたことに感謝したいです。
現在は、あまり新曲を出していないようですが、今でしか歌えないテーマもあるように思います。もしもそれを歌うことがあるなら、聴きたいなぁと私は思うのでした。
ちなみに『「母」』という楽曲を実家で聴いていたら、実の母に「なんかその曲は恥ずかしいわー」と照れられてしまった記憶があります。
まぁ……そういう、もんかな?(笑)。
歌詞はけっこうストレートですよね、うふふ。